日立、AIでTwitterから反響を分析 モラルと意外性の分析が可能に

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株式会社日立製作所(日立)は10月7日、AI(人工知能)を活用し、Twitterなどのテキストデータから企業や商品に対する反響を「感情」の観点で分析・可視化する「感性分析サービス」に、新たに道徳の観点で分析する「モラル分析」、意外性の観点で分析する「意外性分析」の2つの機能を追加した。

「モラル分析」機能は、道徳基盤理論(※1)を参考に作成した道徳基盤辞書(※2)にもとづき、東京工業大学 笹原研究室の助言をもとに開発した。

(※1)アメリカの社会心理学者であるジョナサンハイトが提唱したもので、人は生まれつき道徳的な善し悪しに関する五つの普遍的・通文化的基盤を持っているとする理論。

(※2)Moral Foundations Dictionary(MFD)とJapanese Moral Foundations Dictionary(J-MFD)を活用している。

AIでテキストから特徴語を抽出し、「擁護」「公正」「内集団」「権威」「純潔」の5つの道徳基盤のどれにあてはまるか、各道徳基盤に守っているか、破っているかを分類する。うれしさや驚き、不満などの顕在化した感情の背景にある道徳的な価値観を定量的に可視化できる。

  • 擁護:弱者を守りたい、人を傷つけてはならないという道徳観
  • 公正:人は公平に扱われるべきという道徳観
  • 内集団:集団を作り、維持しようとする道徳観
  • 権威:社会的秩序のために上下関係(階級・地位など)を守るべきという道徳観
  • 純潔:理屈なしで汚してはいけないものがあるという道徳観

「意外性分析」機能は、日立独自のアルゴリズムを活用し、大量のデータに埋もれていた小さな反響の変化など意外な反響とその時間帯を抽出・可視化する。ある期間に突然出現する意外な単語や単語の組み合わせが分かるため、新たな気づきを得られる。これにより、商品企画など攻めのマーケティングや、SNS炎上検知と対処など守りのマーケティングといった今後のビジネス活動の向上につなげられるという。



「『声』を定量的・客観的に捉えることは企業活動には重要」

東京工業大学 環境・社会理工学院 イノベーション科学系 准教授 笹原和俊氏は「価値観が高度に多様化している現代、人々の多様な『声』を定量的・客観的に捉え、その知見をタイムリーな意思決定に生かしていくことが企業活動にとって重要」であると指摘している。コメント全文は以下のとおり。

「価値観が高度に多様化している現代、人々の多様な『声』を定量的・客観的に捉え、その知見をタイムリーな意思決定に生かしていくことが企業活動にとって重要です。顧客や消費者の『声』はアンケート調査の回答、チャットを通じた文字によるやりとり、ブログやSNS上での口コミなど、テキストという非構造化データに潜在しています。

今回、開発した技術は、そうした大量のテキストデータを『感性×モラル』という多次元の視点で可視化・定量化し、有用な情報を抽出することを可能にします。

さまざまなコミュニティやステークホルダーたちから寄せられる意見は、企業が適切に対処すべき倫理的課題と関連し、消費者の製品・サービス・企業に対する不平や不満には、具体的な対応策・改善策のヒントが内在しています。感性分析サービスに道徳基盤理論を融合することで、そうした生の『声』がどのような道徳観に根ざすものなのかを客観的に把握できるようになりました。

その知見は、企業が取るべき適切な対策の内容やタイミングに有用な示唆を与え、企業倫理の高さを示すことにもつながると期待できます。今後も日立と協力して、多様な『声』を価値創造につなげる技術の開発に取り組んでいきます」

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