産総研発のAIベンチャーHmcommが、熊本県立菊池農業高等高校と共同で、豚の鳴き声から疾病を早期に発見するための実証実験を開始すると発表しました。
豚の鳴き声から疾病を検知
実証実験は、AIにより熟練者と同等以上のレベルで「豚の呼吸器系疾病の聞き分けをおこなう」というもの。
豚は呼吸器系の病気に罹患すると体重が増えず、そのため出荷が遅延します。近年、畜産業において、家畜の罹患・殺処分や出荷の遅れによる損失は増加しつづけており、畜産物の安定供給に大きな影響を及ぼしていたといいます。
出荷の遅延を避けるため、罹患した豚は早急に隔離する必要があります。しかし、豚の罹患を示す鳴き声は熟練者しか聞き分けることが難しいという現実がありました。
実証実験では、豚の鳴き声をマイクで収集し、Hmcommのディープラーニングを使った異音検知プラットフォーム「FAST-D」で分析。豚舎の罹患区域を特定します。
AIにより24時間にわたって異常音の識別が可能になるため、発病の初期段階での対処が可能になります。
AIは問題山積の畜産を変えるか
畜産業を取り巻く環境は大きく変化しており、
- 原油価格の高騰による生産コストの増加
- 少子高齢化に伴う農業従事者の減少
- 後継者不足
などの問題がますます顕在化してきています。そのため、畜産業が大規模多頭飼育経営へシフトしていると熊本県立菊池農業高等学校 校長の古田氏は語っています。
大規模化する飼育の効率化のためにも、機械化・自動化は畜産農家にとっての喫緊の課題。この実証実験のような取り組みで、流れがいい方向に変わることに期待です。