IBMがディベートチャンピオンを打ち負かしたAI活用のクラウドアプリを発表 ── 複雑な意思決定を助ける

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情報化社会と言われる現代。

ソーシャルメディアの普及で意見が多様化し、フェイクニュースの台頭で正しくない意見なども乱雑に入り乱れやすくなり、意思決定者が適切に意思決定することが難しい状況が生じています。

このような複雑な状況での意思決定を、今後はAIが手助けしてくれるかもしれません。

1月7日に、IBMは人間と議論できるAIシステムである「Project Debater」を活用したクラウドアプリ「Speech by Crowd」を発表しました。人々の意見をまとめて議論を整理することで、私たちの意思決定を助けてくれます。

イスラエルのディベートチャンピオンを打ち負かすAIシステム「Project Debater」

Project Debaterは、人間と複雑な討論ができるAIシステムで、大量のテキストを要約し、与えられたトピックに対して適切なスピーチを作成して相手に反論、聴衆を説得します。

実際にイスラエルの2016年度のディベートチャンピオンと「政府支援の宇宙探査を実施すべきか否か」というテーマでディベートを行ったところ、多数の聴衆がProject Debaterを支持したといいます。

Project Debaterが説得力のある証拠に基づくスピーチを提供することで、感情・偏見・あいまいさといった影響を防ぎ、人々が適切な議論を行う助けとなることを目指しています。

人々の意見の信頼性を判断して整理し、スピーチを作成

Speech by Crowdは、クラウドで大勢の人々から議論を集め、Project Debaterが議論の信頼性を判断。トピックに賛成または反対の立場の説得力のあるスピーチを作成することができます。

こちらの動画では「ソーシャルメディアは善よりも害をもたらす」というテーマの議論で、Speech by Crowdの使用例が示されています。

「ソーシャルメディアは行方不明の家族や友人と連絡を取り合うことができる」という意見は信頼性高いと判断される一方で、

「若者の中には投稿した内容のせいで就職活動で候補から外されている人もいる。姓を変えることになったという話も聞いた。」という意見は信頼度が低いと判断されていました。

収集された大勢の意見の中から特に優れた意見が選ばれ、テーマの似ている意見がクラスタ化されます。

そして、クラスタを元に話の流れが組み立てられ、スピーチが完成します。

動画の議論テーマで作成された賛成スピーチと反対スピーチ全文はこちらからみることができます。

AIが複雑な意思決定を助ける

AIが人々の意見をまとめ作成されたスピーチは、ビジネス・教育・法律・政府などさまざまな分野に適応される可能性があり、

  • 従業員に会社が審議しているトピックについて賛否両論を提出させ、Project Debaterに双方の主要な議論について簡潔な見解を提示させる
  • 新製品に対するユーザーのレビューをまとめる
  • 政治家が、有権者の意見を取り入れたスピーチの原稿を作成する

といった活用が考えられています。

意思決定の助けとなるだけでなく、大勢の意見をまとめ、共有するツールとしての活躍も期待できるでしょう。

この技術は、2月にサンフランシスコで開催されるTHINK 2019でのライブストリームイベントでも展示され、世界チャンピオンの討論者と討論する予定とのこと。どのような討論が展開されるのか注目です。