こんにちは、イイノです。
One to Oneマーケティングの実現に関心を持つ企業ってすごく多いですが、実際やろうと思うととんでもなく難しかったり、めんどくさかったりで、しっかりできてる企業ってほとんどないんじゃないでしょうか。
そんな中、One to Oneマーケティングを行うツールとしてMA(マーケティングオートメーション)が去年あたりから急に騒がれはじめています。
でも、MAって話題にはなってる割には
- 導入の際にどんなことに気をつけるべきか
- 導入してどんなことができるのか(できたか)
- 今後どのようになっていくのか
この辺りの情報がほとんどないんですよね。
でもやっぱり気になるしなー、ってことで4/12にIBMの本社で開催された
「マーケティングオートメーションで最適なデジタルマーケティングを!〜マーケターが、いま行うべきこと、これから考えるべきこと〜」
に行って、オプトの方とIBMの方の講演を聞いてきました。
MAでメール開封率1.4倍、クリック率1.6倍という事例も
最初に登壇されたオプトの伴さんのセミナーは、リアルな事例紹介メイン。今回特に興味深かったのは、以下のアパレルECサイトのケースでした。
まず前提としてアパレル業界では2月と8月はあまり商品が売れないというのが常識。ところが、改めて調査を行ってみると・・・
- 2月や8月に購入するユーザーは確かに少ない…が、実は既存客が多い
- そしてその既存客の多くがリピート率が極めて高い超優良顧客だった
という事実が明確になったんだとか。
これは無視できない。ということで、これらのユーザーに対し新商品の案内と商品のレビューを書いてもらうようにメールを送付。
もちろんただやみくもに送ったり、一斉配信やターゲティングといった送り方ではなく。MAを用いて一人ひとりの生活リズムに合わせて、それぞれの人にとって最もメール開封率の高い時間帯にピンポイントで送ってみたんだとか。
結果は章題の通り。メールの開封率が1.4倍、クリック率が1.6倍。
もちろんカンタンな話ではなく、おそらく
- 通常配信のメルマガ、注文完了メールなどを開封する時間を取得・集積
- そこから「2、8月にリピートする可能性の高い、高頻度リピーター」を抽出
- 「それぞれの人にとって最もメール開封率の高い時間帯」を類推
- 各時間に合わせてそれぞれのユーザーにメールを送付した
ということなんじゃないかと。
とんでもない複雑さですが、開封率1.4倍、クリック率1.6倍って、単純に訪問人数が倍になってしまう計算。
なるほど。MAツール、流行るわけですよねぇ。
自動でA/Bテスト?IBMのコグニティブシステム事例
続けて行われたIBMの森永さんの講演は、IBMWatsonによる例も交えながら、今後はコグニティブシステム(自ら学習して思考するシステム)によるマーケティングに流れは移行していくはずだというお話。
例えば、今までは解析したデータなどから
- どのページに問題があるか把握(学習)して
- どういう施策をうつべきか検討(思考)して
- 施策の妥当性を確かめるためにA/Bテストをする
といったフローを回して、問題解決に当たることが主だと思います。
が、これがコグニティブシステムにおいては上記のフローを勝手に回して自分自身を改善するという事になっていくそう。
なんか遠い未来のような話として聞いてしまいましたが、実はすでにもう一部対応がなされているなんです。勝手に自動でグロースハック・・・。
あとは、訪ねてくるユーザーの属性によってLPを変更させたり、デザインを変えたり、なんてこともすでに実用段階にあるんだとか。
が、しかし。
もちろん伴さんの話でもちょっと触れたとおり、これを実現するためのデータをかき集めて整形して読み込ませて学習させて調整する…という作業は、まだまだ結構手間がかかるもの。という認識で間違ってないそう。
ラストは、そんな「MAがあれば全部なんとかなるかも?!」と浮足立つ僕らへ向けた、伴さんからの現場の声を紹介しておこうかと思います。
そもそもMAは僕らの課題を解決しないかもしれない
「とりあえず流行ってるからMAを導入しよう」
そういう企業が安易にMAを導入し、結果失敗するケースは実際多いんだとか。
導入の前に決めるべき項目として
- 目的:何を解決したいのか
- 使うべきデータ:目的を達成するために必要なデータは何か
- ユーザーとの接点:どこをユーザーとの接点にするか
- 導入後の体制:導入後の保守にどのくらいのリソースを割けるか
これらをとにかく明確に細分化してしっかり認識すること。
MAの導入は、つまり今までひとくくりにしていた顧客を属性やシチュエーション毎に分けて考える必要があるため、それ相応のクリエイティビティやストーリー作成が必要とされるから…とのこと。
当たり前の話ですが、MAを工数削減や効率化目的オンリーで導入しては、結果はでないんですね。
本来人間がやるべき仕事に集中させてくれるモノと認識して、「ユーザーが最も○○しちゃうタイミング」をつかみやすくする。そのためのツールとしての活用がベターなのかもしれません。
準備はかなり面倒でも、人によりそえば人は動く。
とりあえず今回は、事例が聞けてラッキーでしたね。どの程度の効果が期待できるのかわからなければ、なんであれコストのかけようが無いですから。
ではまたー。