世界にはロボットが増え、ディープラーニングはデータ量から種類へ

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出典:ヒストリby♡LOVEGRAPH

2018年12月13日、元ソニーCEO 出井 伸之氏、資生堂CSO 留目 真伸氏、ヘイ代表取締役社長 佐藤 裕介氏、楽天技術研究所代表 森 正弥氏、gumi代表取締役会長 國光 宏尚氏、ドワンゴ専務取締役CCO 横澤 大輔氏など、日本を代表する先端企業や著名人が一挙に集結しました。

開催されたのは、日本をぶち上げるをテーマにした大規模カンファレンス「iNTERFACE SHIFT 2018」。

カンファレンスのAIセッション「グローバルへの挑戦。最先端のAI活用と今後の技術革新。」にて登壇された、AI領域最前線を駆け抜ける、以下3名のお話をお届けします。

岡田 陽介
株式会社ABEJA 代表取締役社長


米倉 千貴
株式会社オルツ 代表取締役CEO


森 正弥
楽天株式会社
執行役員 / 楽天技術研究所代表 / 楽天生命技術ラボ所長


平野 未来(モデレーター)
株式会社シナモン 代表取締役

グローバル展開から見えるのは、フィールドの重要性

セッション最初のテーマは、「事業のグローバル展開で見えてきたこと」です。日本にとどまらず、海外大手企業と連携を進めるなど、活発な動きを見せる中で、良い点、困難な点がリアルな視点で話されました。

――森
「我々は、世界5ヶ国、7都市に研究機関を持ち、合計150人ほどの研究者が在籍しています。興味深いのは、AI技術者の特徴の違いです。例えば、インドは非常に層が厚いということが言えます。

先日、楽天技術研究所でディープラーニングチャレンジという、日本の料理画像をAIで分類するイベント開催しました。参加者みんなが、データオーグメンテーションやトランスファーラーニングといった技術を駆使し、非常に高い精度で画像分類のタスクをやすやすとこなしていました。

今はそういった多様なメンバーと一緒に、今後さらにどのようにグローバル展開しようか考えています」

機械学習やディープラーニングといった技術でも、国が違うだけでアプローチも変わってくるといいます。人材と技術の融合による新たな価値創出を狙う楽天には、世界各国から優秀な人材が集まります。

――森
「当研究所の人材は今まで、ヨーロッパの方が多かったです。ヨーロッパエリアは日本の漫画文化などに愛着を持ち、日本への憧れが強い方が多いためです。

ただ最近は、日本以外の国ではAI人材の給料が非常に高くなり、日本にあまり来なくなっています。

一方で、上から下までレンジが広いインドの人材が増えています」

もともとシリコンバレーでの起業を考えていた岡田氏は、海外と日本で事業を展開する上でのメリット・デメリットを見極める必要があると言います。

――岡田
「ABEJAは、2014年のSalesforceからの出資を始め、NVIDIAGoogleからも投資を受けていますが、ビザ問題や言語、法律面で、乗り越えなくてはいけない壁は多かったです。

日本では通用したビジネスモデルや手法が、海外ではまったく通用しなかったのも、グローバル展開の難しい点です。

一方で、友人であるUSのエンジニアが日本で働けるのは羨ましいと言っていました。日本は国土が狭く、たった数時間の移動で誰にでも会いに行き、対面のコミュニケーションができる点です。国内外のメリット・デメリットはあるので、見極めながら色々やっていけるといいですね」

――米倉
「僕は、自宅で自分の好きなことを始めて、ローカルなところから起業しています。そこから10年ほど会社を経営し、すべての事業を売却して、現在のオルツを作る際には、サンフランシスコでの設立も考えました。

サンフランシスコの難しいところは、すでに地域の中でコミュニティがしっかりできている点です。そこでやりやすいか、やりにくいか、で判断したほうが、スタートはしやすいのではないかと感じました。

我々は結局、海が綺麗だからという理由でお台場に会社を作りました。といっても、非常に難解なものを研究開発しているので、場所は問わない方がスケールがしやすいと考え、研究開発スタッフはほぼリモートです」

海外の巨人には、真っ向勝負では勝てない

グローバル展開をする中で、やはり壁となるのは海外の巨人たち。各企業さまざまな形で戦っています。

――岡田
「我々は、海外の巨人と仲良くする戦略を取っています。例えば、Salesforceは資本業務提携を、SAPジャパンとは業務提携、AWSともAWS Machine Learning Compitencyに弊社を採択いただく形で連携しています。

真正面で戦うのは厳しいですが、隙間で戦うことはできます。ただ、隙間は嫌なので、仲良くして一緒に市場を攻めていく。

結局、海外の巨人たちも、自分たちだけで完結するとは思っていないので、プロセスの中の一部を僕らが担当するといった棲み分けがいい感じにできています」

――森
「僕らも岡田さんと同じで、真正面から戦っても勝てないと思っています。研究についても、楽天にしか取り組めない課題はあるか? という視点で考えています。

例えば、日本語の商品検索の音声認識の精度は、GAFAの半分には勝てているし、トップにも迫っています。なぜかというと、日本酒の『白瀧上善如水純米吟醸』などを正しく認識することに、GAFAは興味がないからです。ただ、日本のEコマースでは必須です。

データやドメインを絞ることで戦えそうだなとは思います」

リアルフィールドにいるベンチャー企業だからこその小回りが効く戦い方をしたり、日本を拠点とした日本企業だからこそのアプローチが、圧倒的なデータとリソースを持つ海外の巨人たちに立ち向かう術、ということでしょうか。

――森
「しかし、2017年の年末から2018年にかけてディープラーニングにおいて、データ量は重要ではなく、AIネットワーク同士を戦わせて精度を上げていく手法に切り替わってきている傾向にあります。

そうなった時に、データ量ではなく、多種多様なデータを持つ企業が有利になります。

その点、楽天は70以上の多種多様なビジネスデータを持っているので、十分に戦えるのではないかと思っています」

3~5年後、世界はロボットで溢れているかもしれない

セッションの最後では、今後3 ~ 5年後、事業そして世の中がどうなっていくか、という問いに対し、全員がロボットの存在が当たり前になり、自動化がさらに進むという意見で一致しました。

――米倉
「NLPの研究をやっているため、コールセンターさんからの関心が非常に高いです。ちょうど1年半くらい前からトップセールスマンを完全に模倣する対話エンジンを開発し、PoCも終えました。現在、実際に夜間はAI導入に完全移行し、昼間は人間が対応しAIがサポートするという体制になっており、新人教育にも活用されています。

1 ~ 2年後は、完全にロボット化するサービスも増えてくると思っています。3 ~ 5年後には、その仕事まだ人間なんだ、なんて会話が出てくるかと思います」

――森
「ここ数年、Eコマースの配送量がすごいことになっています。ただ、配送一回あたり、35%の確率で不在というデータがあります。

数年後は、ドローン配送など、ハードのほうにシフトしていき、ロボットロボットしていく気がしますね」

もはや自動化、ロボット化により人は徐々に労働から開放されていく、というのが数年後にくるであろう未来です。

「労働から開放」という分脈では、「AIが人の仕事を奪う」という声もありますが、おそらくクリエイティブ領域でさらに人は価値を発揮し、8時間労働という基準も変わってくるでしょう。

働き方や制度が変わった時に、我々はどう動くか。そろそろ考え始める必要がありそうです。