画像はGuardianより
2023年5月14日、アイリッシュ・タイムズ紙がAIで生成された虚偽の記事を掲載したとして謝罪したことを英紙ガーディアンが報じた。
「アイルランド女性の偽日焼けへの固執は問題」と見出しに書かれたこの記事は、アイルランド女性が好むフェイクタン(偽の日焼け)について触れ、自然に肌が黒い人々をからかっていると非難した。
プロフィール画像に青い髪の女性を使用する投稿者はAcosta-Cortezという北ダブリンに住む29歳のエクアドル出身の医療従事者とされた。同記事は同サイトで2番目によく読まれ、ラジオやソーシャルメディアでの議論を引き起こしたという。
しかしこの記事は、偽名の投稿者から提出されたもので、プロフィール写真もAIによって生成された実在しない人物であった。翌日、Acosta-Cortezの名前でTwitterアカウントがメッセージを投稿し、アイリッシュ・タイムズの記事掲載について非難した。
https://t.co/UHYCk0lHOe@IrishTimes genuinely sad that a once respectable news source has degraded themselves with such divisive tripe in order to generate clicks and traffic for their website. You need a better screening process than a believable gmail address #buyapaper 🤡
gg— Adriana Acosta-Cortez (@ecuadorian_adri) May 12, 2023
そのメッセージには、1月にメディアがロボットによって侵入されたというアイリッシュ・タイムズの記事へのリンクが含まれていた。同紙は数時間以内に同記事を削除し、検証を開始。このアカウントの背後の人物と対話し、同記事がいたずらであることを確認した。
その人物は、記事の約80%をGPT-4を使って生成し、Dalle-E 2(画像生成AI)で「女性、肥満、青い髪、ビジネスカジュアルの服装、得意げな表情」のプロンプトを使い、典型的な「woke(意識高い)」ジャーナリストのプロフィール画像を生成したとのこと。いたずらの目的は「友人を笑わせること」と「アイデンティティ政治についての議論を掻き立てること」とその人物は述べたという。
同紙編集長の Mac Cormaic氏は、謝罪と声明において、「意図的で組織的な詐欺」に遭ったことを明らかにし、アイリッシュ・タイムズとその読者との信頼を裏切る行為であったと強調した。
また「編集手順におけるギャップと共に、報道機関にとって生成AIが提起する課題のひとつを浮き彫りにした。我々は、他の企業と同様に、学び、適応していく」と述べた。