昨年12月、株式会社アイ・ティ・アールは、「ITR Market View:AI市場2019」として、AI主要6市場(画像認識、音声認識、音声合成、言語解析、検索・探索、翻訳)を対象に、国内33ベンダーへの調査に基づいた2017~2018年度売上げ実績、および2023年度までの売上げ予測を発表した。
2018年のAI市場は199億5,000万円規模
2018年度のAI主要6市場の売上金額は199億5,000万円、前年度比53.5%増と大幅な伸びとなった。各市場ともに、技術的な進歩に加え、各種製品・サービスと組み合わせたソリューションの拡大により活用用途の多様化が進みつつあることが成長の背景となっている。
▲AI主要6市場規模推移および予測(2017~2023年度)(ITRサイトより)
最も伸びたのは画像認識市場
出典:Adobe Stock
AI主要6市場の中で2018年度に最も高い伸びを示したのが画像認識市場だ。
画像認識は工場などで行っている製品の外観検査や作業員の安全管理業務で導入が進んできたが、現在、道路や橋などの社会インフラ、各種建造物の保全業務での利用も急速に進みつつある。また、顔認証や車両の自動運転など、活用シーンの多様化により、今後も継続的な導入拡大が見込まれる。
画像認識に次いで高い伸び率を示しているのが言語解析で、現状コールセンターでの活用を中心に導入が進んでおり、今後幅広い分野に拡大すると予想している。
AI市場は2023年度に640億円に達する
AI主要6市場は今後も継続的な伸びが見込まれることから、2018~2023年度のCAGR(年平均成長率)は26.5%、2023年度には640億円に達すると予測。
ITRの取締役/シニア・アナリストである舘野真人氏は以下のようにコメントしている。
「機械学習、とりわけディープラーニングの進化、カメラやドローンといった周辺機器の充実などに伴い、人間の目の役割を担う画像認識技術の実用化がさまざまな産業に拡大しています。なかでも、これまで目視で行ってきたインフラや設備の点検作業への活用が大きく進んでいます。また、自然言語処理を中核とする言語解析技術も、コンタクトセンターにおける顧客の声の分析や、契約書などの文書管理など実務への適用が進んでおり、市場の伸びを支えています」
Source:2018年度は前年度比53.5%増と大幅な伸び、2023年度には640億円に達すると予測 ITRがAI主要6市場規模推移および予測を発表