松尾豊さん「企業がDXを推進するにはリテラシーを強化しなければうまくかない」 リテラシー強化のための無料講座、JDLAがスタート

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東京大学大学院工学系研究科 教授で、一般社団法人日本ディープラーニング協会理事長も務める松尾豊氏は、2021年4月に開催した「AI・人工知能EXPO」でディープラーニング技術などを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)についての講演「DX時代のAI(ディープラーニング)活用最前線」を実施した。

講演では、昨今の“ディープラーニング時代”において各企業はどのようにDXを推進していけばいいのか、また、DXを実現するためにはどのような意識が必要なのかになどが語られた。

本講演の模様は、「Deep Learning for DX News」のニュース会員になることで、講演内容をノーカットで視聴できる。DXに関心のある方はもちろん、デジタル時代を生きる多くのビジネスパーソンに視聴してもらいたい内容なので、ぜひとも「Deep Learning for DX News」のニュース会員に登録しご覧いただきたい。

「DXはすべての業務を単純化し、ほぼすべてを自動化する」

松尾氏は「DXは『デジタイゼーション』と『デジタライゼーション』のふたつの側面がある」と話す。デジタイゼーションはアナログをデジタル化することを意味し、デジタライゼーションはデジタル化したものを業務効率化や付加価値の向上に活用することだそうだ。

日本におけるDXの特徴は、もともとあるものをデジタイゼーションし、そこからデジタライゼーションする流れが得意なことであると松尾氏はいう。そこで、松尾氏は日本と海外での“流れ”の違いについて次のように説明してくれた。

「たとえば、タクシーの配車を挙げると、もともと客、オペレーター、ドライバー間の連絡はすべて人力によるものでした。ですが、現在の日本では、AIによる配車の自動化を実現に向けて、データ化して効率化をしてから(=デジタイゼーション)、新しいモデルを作る(=デジタライゼーション)というやり方が主流です。しかし、海外だといきなり新しいモデルを作ります。その最たる例が『Uber』です。

また、小売業界においては、日本の場合は紙をデータ化して、顧客データを個別化する流れが一般的です。一方で海外であれば、『Amazon Go』のようにアプリや商品、さらには顔認識などのディープラーニング技術を活用して、いきなり新モデルの店舗を実現しています」(松尾氏)

そして松尾氏は「DXが実現するのは、既存業務の改善ではなく、新しいモデルです。今後はすべての業務が単純化され、ほぼすべて自動化されます」と続けた。

ディープラーニング技術によるDX推進で「新しい付加価値」を発見できる

よく、AI・人工知能からDXが生まれると言われるが、松尾氏いわく「DXのなかにAIやディープラーニングという要素が加わったと考えるべき」。これは、従来技術を使うだけでもDXの実現は可能なものの、AIやディープラーニング技術を使えばさらに可能性を広げられることを意味するそうだ。

「ディープラーニング技術が企業に導入されることで、これまで十分に活用できていなかったデータも大幅に扱えるようになります。たとえば、顔や文字、画像といったリアルタイムな状況データの活用や、データを用いた予想の精度向上、そして自然言語生成や機械制御の自動化も可能です。

AIやディープラーニング技術を使ったDXによる単純化と自動化が進めば、サプライ側とデマンド側がより密接になります。消費者にとっては早くて安い、パーソナライズされたサービスを受けられるなどのメリットが生まれます。DXの実現によって、いままでできなかったことの実現や、新しい付加価値を発見できるのです。こうした変化は今後、あらゆる業界・産業で起こっていくでしょう」(松尾氏)

いま、企業がDXを推進するにあたって、「最終的な目標設定と、DXに関するリテラシーの強化が行なわなければうまくかない」と松尾氏はいう。

「とくに、開発やITに直接関わっていない経営陣や、一般社員に対する働きかけは重要です。AIやDXのプロジェクトを進め、技術に活用してソリューション化するには、全社として理解度を高める必要があります」(同氏)

「データとAI」のリテラシーを強化する無料講座がスタート

講演では松尾氏から「経営層や全社員に向けた新しいAIの基礎講座『AI for Everyone』を開講します」と発表された。これは、企業のDX実現に向けて、経営層の目標設定や全社員のリテラシーに寄与する講座だ。

すでに、AI for Everyoneはスタートしており、AIやデータ活用、そして全社でのリテラシー向上などを目的に受講者が増えているという。しかも、講座の受講料は無料なのもポイントだ。受講形式はオンラインで、全6回。合計で6時間程度。

この講座は、DXが進む産業界において、その基礎となる「データ×AI」のリテラシーをすべてのビジネスパーソンに習得してもらうことを目指し、まず「AIとは何か」「ディープラーニングによって何ができるか」を知ってもらうためのエントリー向けの講座と位置づけている。新講座は人工知能(AI)の権威として知られるスタンフォード大学のAI研究者で計算機科学者でもあるスタンフォード大学のアンドリュー・ン(Andrew Ng)氏率いる、DeepLearning.AIが提供する非エンジニア向けオンラインAI講座をベースにしている。DX推進におけるAI活用の重要性と日本における活用事例などを盛り込み、監修したのは松尾氏だ。

さらに、日本ディープラーニング協会では、ビジネスパーソンに向けて、ディープラーニングのビジネス活用をより一層理解してもらうために、新たなサイト「DL for DX」をオープンした。

新サイトでは、ディープラーニングを活用したDX推進事例の紹介や、「データ×AI」のリテラシー習得に関するニュース、イベントの紹介など、「ディープラーニングとは何か?」「ディープラーニングで何ができるのか?」を理解するためのさまざまなコンテンツを発信していくとのこと。

ちなみに、AI for Everyoneは受講無料だが、49ドルの修了証付きコースもある。この修了証を持っていれば、日本ディープラーニング協会が実施している「G検定」の検定料金が30%引きになる特典がある。つまりは、AI for Everyoneを受講しリテラシーを高め、さらにそこからディープラーニングの基礎知識を有し、適切な活用方針を決定して、事業活用する能力や知識を高めることを考えているのであれば、修了証付きコースを受講することがオススメだ。