訪日外国人には自動販売機が難しい?

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※写真はイメージです

まったく意識したことはなかったが、訪日外国人にとって日本の自動販売機は難解なのかもしれない。ひとえに缶コーヒーといっても、無糖、微糖、カフェオレ……いっぱいあるし(Google検索で「缶コーヒー 多すぎ」って出たのはさすがに笑った)。





株式会社JR東日本ウォータービジネスが訪日外国人を対象にした自動販売機に関する調査では、およそ3割の人が「操作が難しいと感じたことがある」と回答。また、中国からの旅行者は「決済方法が難しいと感じた」、韓・米からの旅行者は「飲料の種類が分かりにくいと感じた」とコメントしたそうだ。

この結果を受け、JR東日本ウォータービジネスは2月13日に、「インバウンド向け多機能自販機」の実証実験を3月19日から開始することを発表した。自動販売機にAIを搭載し、多言語での案内・説明に対応する。

AIが搭載されている自販機のイメージ

商品説明だけでなく天気予報や乗換案内も

インバウンド向け多機能自販機には、15インチのタッチパネルが搭載されている。

タッチパネルには株式会社ティファナ・ドットコムの「AIさくらさん」のバーチャルアニメーションが表示され、タッチパネル操作や口頭での質問に対してAIを活用したさまざまな案内をする。

自動販売機の使い方から、商品の詳細情報、決済方法など、日本語以外に英語・中国語・韓国語で案内できる。また、顔認識システムを備えたカメラの搭載によって、利用者の性別や年齢層など属性の識別が可能だ。識別した属性、外の気温、時間帯それぞれに応じたおすすめの商品を紹介するのも特徴のひとつ。

このインバウンド向け多機能自販機は、高輪ゲートウェイ駅前特設会場「Takanawa Gateway Fest(高輪ゲートウェイフェスト)」に設置されるそうだ。その後、3月中を目途に、東京駅、新宿駅、上野駅、秋葉原駅にも設置予定という。

高輪ゲートウェイ駅での設置場所

都市部の主要駅に設置されるだけあって、自動販売機には乗換や駅構内の案内も表示可能とのこと。大迷宮と名高い新宿駅に迷い込んでしまった訪日外国人の救世主になるのだろうか。

自動販売機に搭載される「AIさくらさん」は何者なのか

今回の自動販売機にも搭載されるAIさくらさんは、東京都内の駅を利用した人は見かけたことがあるかもしれない。東京駅などの一部駅では、AIさくらさんが稼働していて、駅構内の案内などをしてくれる。

そもそも、AIさくらさんは案内をすることはもちろんのこと、社内のヘルプデスク対応や社外問い合わせ対応など、これまで人が対応していた業務を肩代わりする存在だ。

過去にLedge.ai編集部が、AIさくらさんを運営するティファナ・ドットコムに2019年当時に実施された東京駅への実証実験時の取材では

「背景にあるのは受付や案内業務における人手不足です。外国人観光客の案内業務に駅員の工数がかなりの割合で割かれており、2020年のオリンピックに向けてこれから更に増えると予測されています」
「キャラクターデザインの際、親しみやすさにはかなり気を配りました。
AIが受け入れられるには、ユーザーに長期的に使ってもらわないといけません。使い続けることでAIさくらさんは適切な答えを学習し、ユーザーも使い方に慣れていきます。

導入が短期間だと準備に時間がかかるだけで、効果を十分に得られないまま終わってしまう。長期を見据えた導入で、AIだけでなくユーザー側も学び、慣れる必要があります」

と語られている。

個別の問い合わせに対し、それぞれが対応できるのがベストではあるものの、都市部の駅などでは人員問題によって現実的ではない。

今回のインバウンド向け多機能自販機のニュースを知った当初は「自動販売機をそこまで多機能にする必要性あるのか?」と思ったが、自販機がさまざまな案内に追われる駅員さんを肩代わりする存在に昇華したと捉えればいいプロダクトだと感じる。