「AIを実装できない“肩透かし”にはなりたくなかった」AI未経験のエンジニアが挫折せずに半年でE資格を取得するまで

このエントリーをはてなブックマークに追加

「6ヶ月で自走できるAI人材になる」ことを目指し、機械学習・深層学習の基礎からオリジナルアプリへの組み込みまでを学べる、キカガクの「AI人材育成長期コース」。

AIの実装力やデータ解析力が身につくとうたうが、すでにエンジニアとしてキャリアを重ねた人が受講するメリットは何か?独学との違いはあるのか。キカガクのAI人材育成長期コース(以下、長期コース)を修了し、8月にE資格を取得したエンジニアの前田晋弥さんに話を聞きました。

果たしてエンジニアとして「AIを知っている」だけでいいのか?

――前田さんは元々エンジニアとしてのキャリアも長いとうかがっています。

前田 中堅のSIerでWebアプリの開発や、インフラのSEとして18年間勤務してきました。昨年に独立してからは、中小企業のIT導入や、情報セキュリティの推進をサポートさせていただいています。

いまサポートさせていただいている企業さんはどこも昔ながらの職人さんが多く、紙で情報を残すのが当たり前の会社さんも少なくありません。

ベテランの職人さんたちはいずれ退職されるものの、若手の方の採用や育成も難しく、リソースが少ない中でなんとかやりくりしている会社さんがすごく多い。デジタル化もこれから、という環境なので、AIが技術を継承していける余地があるんじゃないかなと個人的には思っています。

――AIがトレンドになるから学ぶ、のではなく「この現場ではAIが役に立ちそうだ」という観点から学び始められたというのはちょっと新鮮味がありました。

前田 私と同じような問題意識を持つ方も、今後も増えていくと思います。

私がE資格の受験を考えたのも、より実現性の高いAI導入を提案できるようになりたいと思ったからです。エンジニア視点でAI導入を提案するなら、AIを作れるレベルになる必要があるんじゃないかと。提案ができても「実装は他のベンダーさんにすべてお願いします」という形だったら肩透かしになるんじゃないでしょうか。

E資格(エンジニア資格)とは

一般社団法人 日本ディープラーニング協会(JDLA)が提供する資格。ディープラーニングの理論を体系的に理解し、適切な手法を選択して実装する能力や知識を有しているかを認定する。E資格はディープラーニングを実装するエンジニア育成を、同じくJDLAが実施するG検定(ジェネラリスト検定)はディープラーニングを事業応用する人材の育成を目指す。

E資格の受験にはJDLA認定プログラムを試験日から過去2年以内に修了している必要があり、キカガクの長期コースも認定プログラムとして登録されている。

ディープラーニング実装技術を持つという客観的な証明になるため、今後は市場で評価され、キャリアアップにつながる可能性がある。

参考:E資格とは – 一般社団法人日本ディープラーニング協会【公式】

コードやローコードでAIを作れるツールを使ってもある程度はチューニングの余地があると思いますし、プログラミング言語としてPythonに興味があった、というのも学び始めた動機のひとつです。

Pythonはライブラリ次第でちょっとしたスクリプト的にも使えますし、インフラの工程をある程度自動化するのにも挑戦したいと思っていました。キカガクの6ヶ月長期コースなら、機械学習や深層学習でのコーディング演習が充実していますので、Pythonもしっかり学べました。

キカガクの「AI人材育成長期コース」とは

「6ヶ月で自走できるAI人材になる」ことを目指す学習カリキュラム。機械学習や深層学習の実装だけでなく、データの収集や整理、アプリケーションに組み込むまでの流れを幅広く、体系的に学ぶ。
前半は機械学習や深層学習の知識やスキルの習得、環境構築から画像分類アプリ他、アプリケーションの開発演習が中心。後半はオリジナルのアプリを企画から制作まで手掛けて完成させる。

E資格対策コースと長期コースで知識と実践の両面から機械学習を身につける

――長期コースで学んだ内容でE資格取得に生きた部分はありましたか?

前田 ほぼ全部、と言っていいかと思います。

前半はE資格取得に必要な機械学習からディープラーニングまでの基本的な知識をインプットできましたし、後半は自主制作するアプリに組み込むディープラーニングを1から作ります。

またE資格は試験時間に対して問題数が多く、試験本番ではじっくりコードを見られる時間はありません。コードを読んで解く問題では、実際のコードに見慣れていたことが回答の助けになりました。

――機械学習やディープラーニングのパートが特に役立った、ということでしょうか?

前田 長期コースでは実際にニューラルネットワーク(NN)モデルを作る体験ができたのが良かったなと思います。E資格の勉強で学んだ内容を、長期コースで作ったアプリに組み込んで動かすことで知識の幅が広がったのを感じましたし、勉強して損はありませんでした。

コーディングの時間が多いだけでなく、メンターからE資格の情報をいただけたり同期の受講生とも勉強し合えたりしたのが大きかったです。チーム学習日で同期の方たちが頑張っている姿を間近で見て、自分も頑張らないと、と刺激を受けました。

――前田さんはE資格対策コースも受講されていますね。

前田 E資格対策コースは解説がわかりやすかったです。「ベイズの定理」「条件付き確率」など学生時代に学んだきりの内容から、TransformerやDenseNetなど近年発表されたNNモデルの図解まで幅広くカバーできました。

交差エントロピーや尤度(ゆうど)関数は理解しにくかったのですが、何度もテキストや動画を見て理解を深めました。この辺を独学でやろうとしていたら、恐らく挫折していたんじゃないでしょうか。

――逆にこれらのコースを受講して苦労された点はありますか。

前田 勉強時間の捻出です。平均して1日1時間、半年で200時間ぐらいは勉強していました。休日も別の活動があってそこまで時間を費やせなかったので、夜中に進めていました。特に基礎知識をインプットしてから自分の中で定着するまでにちょっと時間がかかり、想定スケジュールよりも後ろ寄りになってしまったときは不安になりました。

モチベーションが下がったり不安になったりしたときはメンターの方に個別メンタリングをお願いしました。自分の不安を聞いてもらってからは割と冷静に状況が見られるようになったので、役に立ったと思います。

受講者用のSlackでの情報交換も助けになりました。自分より先の部分を学んでいる同期の方からハマりやすい点や解決につながる情報を聞くだけでなく、コードレビューし合うこともでき、なんとか追いつけました。

独学だったらここまで早くAIを作れるようになれなかった

――これからAIを学ぼうと考えているエンジニアの方へのメッセージをいただけますと幸いです。

前田 独学される方も多いと思いますが、限界を感じたら、キカガクの長期コースがひとつの選択肢になるのではないでしょうか。AIを自分で作れるようになるには、手を動かしてガリガリとコードを書く経験も必要です。

メンターの方もおんぶにだっこで面倒を見てくださるのではなく、受講生自身が自走できるようにサポートしてくれます。

もし私がひとりでAIを学んだとしたら、ここまで早く成長できなかったと思います。勉強し合ったり教え合ったりする仲間がいたからこそ、E資格の合格レベルまで引き上げられたんじゃないでしょうか。

受講者同士で自主的にE資格対策勉強会を実施していた

実務での応用はこれからといった状況ですが、せっかく身につけたスキルですので、うまく自分の仕事に活かしていきたいです。

いま経産省のAI Quest(※編集部注:経済産業省によるAI人材育成プログラム。前田さんは2021年9月から開催されている「AI Quest 2021」に参加している) に参加し、実務に近い課題に対して色々なNNモデルを試行錯誤する経験ができているのも、E資格を学んで知識の幅や深さが広がったことや、長期コースで実装力や自走する力が上がったことが大きいと思います。AI Questの企業協働プログラムでも、実際に企業のAI導入を支援するプロジェクトが立ち上がり、協働チームの一員として活動することができています。

今後はAIを補完する周辺技術としてAmazon SageMakerやAzure Machine Learning Studioをはじめ、クラウドやIoT関連の技術をもう一度勉強し直し、より顧客に寄り添った提案ができるようになりたいと考えています。

挫折せずにAI知識・実装を体系的に学べる長期コース

機械学習やディープラーニングは専門書や動画などのコンテンツも多く、独学で身につけようとするエンジニアも少なくない。しかし数学の知識をはじめ、Pythonや関連ライブラリの扱い方、深い理論などの「挫折しやすいポイント」が数多くある。

キカガクの「長期コース」は充実した解説に加え、メンタリングや同期生との情報交換などで、ハマりやすい点を回避できる要素が揃っている。さらにE資格取得を目標としても、AI実装に必要な知識を効率的に、バランス良く学べる。

知識や実装力だけではなく、「学び続ける習慣」を得られるのも、長期コースを続ける大きなメリットだ。機械学習エンジニアとして活躍し続けるには、常に新しい技術へのキャッチアップが求められる。キカガクの長期コースは、多くの現場で求められる技術と、一生腐らない財産(習慣)を手に入れる一挙両得のルートともいえるだろう。