リズムゲームの譜面制作時間をAIで加速。人工知能分野の国際学会「AAAI-23」で採択

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KLab株式会社と九州大学 情報基盤研究開発センター 附属汎オミクス計測・計算科学センターは、共同研究中の「機械学習(AI)を用いたリズムアクションゲームの譜面制作支援システム」を高度化する新技術を研究開発し、またその共著論文が、人工知能分野の権威ある国際学会「AAAI-23」に採択され、2023年2月にワシントンDCで開催される学会で発表されることを発表した。

背景

同社と九州大学は、ゲーム産業におけるAI活用の可能性を開拓するため、2021年3月より共同研究を進めている。同研究は、同社が独自に研究開発を進めてきた譜面制作支援システムについて、譜面生成に用いる機械学習アルゴリズムを高度化することで、より楽曲にマッチした魅力的な譜面を生成できるようにすることが目的である。

リズムアクションゲームとは、音楽に合わせて画面に流れる譜面をタイミングよく打ちこむゲーム。常に新しいゲーム体験をユーザーへ提供するためには、魅力的な譜面を短い周期で配信し続けることが重要となる。

人工知能の国際学会に採択

同論文で提案した深層生成モデル「GenéLive!」は音の立ち上がり・拍や小節といった様々な時間スケールの音声パターンを抽出する。これにより、似たフレーズの繰り返しに対しては似た譜面パターンを繰り返したり、Bメロからサビに切り替わるところで譜面パターンを変えたりといった、楽曲の特徴を捉えた譜面を生成できるようになった。

同モデルを導入した譜面制作支援ツールにより譜面制作に要する時間が半分になり、1か月の配信楽曲数を倍増させることができた。オープンデータでの評価実験コードと訓練済みモデルは世界に公開している。

GenéLive! Generating Rhythm Actions in Love Live!
https://doi.org/10.48550/arXiv.2202.12823
深層生成モデル”GenéLive!”により、譜面制作に要する時間の50%短縮を実現

同論文は、2023年2月7日から14日にかけてアメリカ、ワシントンDCで開催されるAAAI-23において発表予定。
AAAI:アメリカ人工知能学会(Association for the Advancement of Artificial Intelligence)の年次大会で、人工知能分野において最も権威ある国際学会の1つです。世界最先端のAI研究者が集う、競争が激しい学会としても知られ、本年は世界中から8,777本の論文が投稿され、19.6%にあたる1,721本が採択された。

同社と九州大学は今後も同研究により、生成モデルに関する最新の学術的知見を導入した制作支援システムの構築を目指すとのこと。

>>ニュースリリース
九州大学 https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/861