AIをアイヌ語の継承に活用 1日かかる作業をほぼ完全に自動化、京都大学

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本研究の概要図

京都大学は10月15日、消滅危機言語に認定されているアイヌ語の音声を自動で認識し、合成する人工知能(AI)を研究・開発したと発表。河原達也 情報学研究科教授、松浦孝平 同修士課程学生、三村正人 同研究員らの研究グループによるもの。なお、本研究成果は9月9日の日本音響学会で報告し、10月12日に公表した。

北海道のアイヌ文化は多くが口頭で継承されてきたが、アイヌ語は2009年に国連教育科学文化機関(UNESCO)により「極めて深刻な」消滅危機言語に認定された。以前から口頭伝承を録音・記録する活動が実施されてきたものの、書き起こし・アーカイブ化には膨大な手間とアイヌ語の知識を必要とするため、多くが未整備のままだったという。

京都大学の研究グループは、アイヌ民族博物館と平取町立二風谷アイヌ文化博物館から提供してもらった計10名・約40時間の民話(ウエペケㇾ)の音声データを用いて、音声認識の単位・構成・学習法についてさまざまな検討を実施した。

その結果、音節(子音-母音または子音-母音-子音)を単位として用いることで、深層学習に基づくエンドツーエンド(End-to-End)モデルにより、94%の音素認識率、80%の単語認識率を実現できることを明らかにした。また、音声データのうち、1人当たり10時間以上ある話者について、同モデルにより音声合成を構築している。

実際、アイヌ民族博物館において音声と書き起こし同期のための対応付けに同AIを活用したところ、1時間のデータに対して、人手で1日必要な作業をほぼ完全に自動化できたという。京都大学は本研究により、アイヌ語のアーカイブ構築の効率化への寄与が期待されるとする。

>>京都大学「人工知能によるアイヌ語の自動音声認識・合成に成功(AINU語AI)」

AIを使って子宮頸がんの予防・早期診断を目指す、京都大学ら

京都大学はAIを活用したさまざまな取り組みで知られる。

少し前の話だが、株式会社HACARUSは4月27日、国立大学法人京都大学大学院医学研究科 婦人科学・産科学 教室(以下、京都大学)と「子宮頸がんの予防・早期診断AI支援システム」について共同研究契約の締結を発表した。

子宮頸がんは、婦人科悪性腫瘍のなかでは最も多いとされる。日本国内だけに限っても、毎年約1万人以上が罹患し、およそ3000人が命を落としている。

さらに、子宮頸がんに至る前の“前がん状態”である子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)は、性生活の変化に伴い20代後半~30代と若い年代では爆発的に増加している。

しかし、子宮頸がん検診(一次検診)の日本国内における受診率は、欧米諸国と比較しても明らかに低い状況だとプレスリリースでは語られている。

あわせて、一次検診で異常が指摘された場合に必要となる精密検査(二次検診)が可能な施設は婦人科医師の不足に伴い減少しており、専門的な知識を有する腫瘍専門医による診断は限られた高次医療機関のみなのが現状だそうだ。

これらの背景を受け、HACARUSと京都大学は共同研究を実施するに至った。主な目的は以下だ。

・高画質で診断精度の高いコルポスコピー動画を教師データとして用いたAIモデルを構築すること
・日本国内の診断、治療基準に沿った診断支援AIシステムを開発すること
・専門医の常駐しない施設において、AIによる精度の高い病変同定や組織採取の診断補助を可能とすること

HACARUSと京都大学の共同研究における成果は、論文および関連学会や展示会を通じて啓蒙していく。また、今後は本格的な製品開発につなげ、国内外問わず販売チャネルの構築を目指す。