自社のビジネスを持続、発展するために「何かしないといけない」「AI活用やデータサイエンスに取り組みたい」とは思っていても、AIの投資対効果が読めない、環境構築や開発をできる人材がいない、資金がない……と二の足を踏む企業も少なくない。
あるいは、人材や資金以外にも配慮すべき事情があり、AI投資をしたくても上司や経営層の説得が難しい、という方もおられるだろう。
「ないないづくし」の環境だと諦めずにAIの本格導入を考えたい、AI投資の効果を裏付けられる材料が欲しい、どちらの企業にもぜひ知ってほしいのが「NVIDIA LaunchPad(エヌビディア ローンチパッド、以下LaunchPad)」だ。
2022年5月に開催したレッジ主催のWebセミナー「Ledge.ai Webinar」では、このLaunchPadをメインテーマに、GPUやデータセンターといった、AI開発・運用の環境負荷についても意見が交わされた。
本稿では、同セミナーのレポートをお届けする。
登壇者
エヌビディア合同会社
エンタープライズ事業本部 データセンターGPU営業推進 シニアマネージャ
川井 源 氏
エクイニクス・ジャパン株式会社
Senior Solutions Architect
矢萩 陽一 氏
ゼロ円ですぐに体験できるAI開発環境 OSインストールなどの環境設定も不要
エヌビディアが今年4月に発表したLanchPadは「GPUコンピューティングの民主化」を掲げる同社がリリースしたサービスだが、一体どんなものなのだろうか。
弊社のGPU環境で使用するソフトウェアは外部のソフトウェアパートナーの方々と協業で準備している製品もあれば、自社開発しているものもあります。AI向けではAIをGPUで高速化しながら、出来るだけ容易かつ効率的に使用できるようにソフトウェア環境を整えています。これらのソフトウェアは世界の最先端のAI活用の現場でも多く使われており、日本でも活用が広がりつつあります。
NVIDIA LaunchPadはエヌビディアのソフトウェアを無償で、すぐに、体験いただけるプログラムです。AIのソフトウェアを導入されるお客様はまずは試しに小さな環境からはじめてみたいという方がほとんどですが、たとえ小規模な環境であってもAIのソフトウェアが稼働する環境を構築するのはなかなか大変です。ハードウェアの調達も必要ですし、設計・構築など通常は手間もお金もかかります。
NVIDIA LaunchPadはその様な負担なく、お客様に最先端のAIソフトウェアをお試しいただくためのサービスになっています」
ハードウェアのイメージが強い同社だが、実はグローバルの全従業員のうち半数以上がソフトウェアエンジニアだという。ハードウェアと同等、もしくはそれ以上にソフトウェア開発に力を入れているといえるだろう。
LaunchPadはAIやデータサイエンス、インフラ最適化などの同社が準備したシナリオに沿って、多数のソフトウェアが体験できる。
NVIDIA AI Enterprise環境ではAIユーザーとしての立場とIT管理者の立場の両方からのお試しが可能です。たとえばAIユーザー目線ではエヌビディアのAI用のソフトウェアでデータ準備をGPUで加速するRAPIDSや、AIの推論を効率的かつ高速に実施するためのTriton Inference Serverなど、世界の開発者に広く使われているAIソフトウェアをお試しいただけます。IT管理者としてはvSphere with TanzuやOpenshiftといった既に広く使われている環境をAIに応用した場合にどの様な使い方になるのか体験できます。
またこのNVIDIA LaunchPad環境では、環境の準備は既に弊社側で整えており、たとえばIT管理者のシナリオでOSやハイパバイザのインストールなどの環境は弊社側で構築を済ませているので、お客様はお選びいただいたシナリオの中で実務に直接かかわるところから体験いただける様に作られており非常に効率的です」
体験は手順書を見ながら、操作画面で手順書通りに操作を行う形で進める形になっている。また一つのシナリオの所要時間は数時間程度を想定しており、シナリオは今後も拡充されていく予定との事である。
GPUは環境に良くないというのは大きな誤解
企業の投資判断を決めるのは、人やカネだけではない。ここ数年では、各社で定めるSDGsの取り組みやサステナビリティ経営など、企業が配慮すべき要素が増えている。
川井氏は、「GPUはチップとしての規模や消費電力は大きいと思われがちだが、用途によってはGPUを使った方が環境に優しいITインフラになりうる」と主張する。
ですが消費電力あたりの処理能力、という見方をすると、AIやハイパフォーマンスコンピューティングの用途ではGPUはCPUの数十倍以上の処理性能になる場合も多く、効率が良いとも言えるでしょう。
事実、スーパーコンピューターの電力効率を競うGreen500というランキングでは、トップ30のスパコンのうち9割がGPUで構成※されています」
※2020年時点
LaunchPadが動く場所——グローバルで評価されたAIに最適なインフラとデータセンターは再生可能エネルギー100%
LaunchPadを使い、その後いざ本格導入を、となったときに同じような環境は維持できるのか?LaunchPadプログラムには、そうした導入決定後の懸念も解消する仕組みがある。
LaunchPadのインフラはエクイニクス社のデータセンター内に構築されている。エクイニクスのデータセンターでは、多くのクラウドやネットワークサービスと相互接続が可能であり、物理接続の他にもソフトウェア定義のオンデマンドサービスを利用して接続することができる。
LaunchPadも、Platform Equinixのエコシステムに組み込まれており、本格導入時のパブリッククラウド連携や、スケーリング時にもご活用いただけるのではないでしょうか」
エクイニクスの豊富なサービスにより、利用ニーズに応じたシステム構築を実現でき、データセンターを利用したオンプレミス環境はもちろん、ソフトウェア定義のネットワークサービスやベアメタルサービスを用いることで、利用者として物理的なデータセンターを意識しない運用も可能だという。
エクイニクスはこうしたデジタルインフラとしての機能を十二分に提供しつつ、クリーンエネルギーの活用にも力を入れているという。
我々のようなデータセンターでは、当然ながら電気を使ってITシステムを動かしています。グローバル全体で2030年にエクイニクスのすべてのデータセンターで再生可能エネルギーの導入率を100%にする、という目標を掲げ、積極的に取り組んでいます。さらに、日本国内のデータセンターでは、世界に先んじて100%を再生可能エネルギーを達成しています。
我々のサービスは、持続可能な社会の実現に対していかに貢献していくか、といったお客様の課題解決にも寄り添うことが可能です」
NVIDIA LaunchPadを試すにはLaunchPadの公式ページにアクセスし、「無料のラボを始める」もしくは「今すぐ始める」をクリック。企業の各種情報を送信後、簡単な審査を経て利用可能になる。
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イベント詳細はこちらから:https://www.ai-days2022.com/
■日程
Day 1:2022年6月23日(木) 9:00~17:40 (開場:8:30 予定)
Day 2:2022年6月24日(金) 9:00~17:40
■参加登録無料(事前登録制)