いや、マーケティングオートメーション(MA)ってすごいですね。
国内のマーケティングオートメーションの市場規模は、2020年には、約200億円の規模まで成長する見込みがあると言われています。
たった数年前までは、片手で足りるほどのマーケティングオートメーションツールが海外から輸入されて市場に出回っていると言った印象だったのですが、現在では、ざっと数えただけでも30製品以上が世の中に存在している速度感。
正直どの製品を選べば良いのか考えるだけで、マーケッターの皆様の労力を費やしてしまうのではないでしょうか。
※営業に聞いても自社製品推しが当たり前なので良く分かりませんしね。
というわけで『実際どうなの?』ってところを、9社のツールを選んで調査してみました。
マーケティングオートメーション(MA)って基本的には何ができるんだっけ?
マーケティングオートメーションとは、マーケティング活動における様々なプロセスを一つに集約し、顧客育成におけるアクションの中でも、定義したシナリオごとに自動化させちゃおうぜっていうツール。
今まで連携されていなかったデータが連携できるようになったために、チャネルごとの垣根を越えるだけでなく、顧客の行動プロセスに応じて、最適なコミュニケーションを行い、顧客育成を行うことができます。
具体的には、以下の2つのような機能が備わっていることが多いです。
リードジェネレーション段階
リード獲得までの行動プロセスの解析は大半のツールで実施できることが多い。具体的には、LPの作成やA/Bテストの実施、SEOやSNSといった顧客獲得施策の支援機能など。現在獲得している顧客属性からリード化する可能性の高いユーザー属性を導き出し、そのまま広告のターゲティングに生かす機能などもある。
リードナーチャリング段階
リード獲得後、購買、成約に結びつけるための顧客育成支援機能。具体的には、メルマガ配信やSFA/CRM連携などがこれに当たる。また、RFM分析などのLTVの最大化に向けた分析機能なども備わっている。従来の営業プロセスだと連携しきれていなかった領域を繋ぎ、最終的なマーケティング施策全体の評価などが行えることも魅力の一つ。
さらに、マーケティングオートメーションツールの最大の魅力は、前述にもあるようにこれらの機能を用いて、一度、購買までのシナリオを設計したら、あとは、自動でそれぞれの顧客属性に合わせて適切な施策を実施できることにあります。
このシナリオは、サービス利用者である皆様が設計しなければなりません、繰り返しの作業は、ツールに任せて、俺たちは、頭を使うところにフォーカスして動いて行こうぜ!ってところが、なんだかスマートでいいですよね。
マーケティングオートメーション(MA)ツール徹底比較
- ▼今回ご紹介するツールはこちら
- Marketo (マルケト)
- Probance (プロバンス)
- Hubspot (ハブスポット)
- B→Dash (ビーダッシュ)
- IBM Marketing Cloud (アイビーエムマーケティングクラウド)
- Salesforce Pardot (セールスフォース パードット)
- Salesforce Marketing Cloud (セールスフォース マーケティングクラウド)
- Adobe Marketing Cloud (アドビマーケティングクラウド)
- SHANON MARKETING PLATFORM(シャノンマーケティングプラットフォーム)
- CCMP (シーシーエムピー)
- List Finder (リストファインダー)
Marketo (マルケト)
初期 | 月額 | 課金 | 日本語 | |
Marketo | Ask | Ask | Ask | ◎ |
現在のマーケティングオートメーション市場を牽引する存在といえば、「Marketo(マルケト)」。
日本市場への参入が早かったこともあり、日本語対応はもちろんのこと、サポートやフォーラムも非常に充実しています。
機能面においても、各チャネルの統合管理機能はもちろんのこと、シナリオ設計、リードスコアリング、レポーティング機能なども豊富で、BtoB、BtoCともに実績を積み重ね、業界全体を見ても定評があります。ちなみに、お値段に関しては、記載できませんが、機能と天秤にかけると非常にお手頃とのことです。
他社CRMシステムとの統合については、Salesforce、Microsoft Dynamics CRM Onlineはネイティブ連携、Microsoft Dynamics CRM On Premise、Netsuite、Oracle、SAP Cloud for Sales、SugarCRMとは、認定済み連携機能が備わっているので、すでに導入されているCRMシステムがあっても安心して導入を進めることができます。
これだけの機能が充実していれば、営業、マーケティング部門、カスタマーサクセスチームなどに横串を通し、全社で同じ情報の共有と把握、顧客育成を実施することができるでしょう。まさに、マーケティングオートメーションツールでできることがぎっしり詰まったマーケティングオートメーションツールと言えます。
- 実績について
- ・ 導入実績数:グローバルでは約4,600社、日本では業種業界問わず約300社程度
- ・ 主な導入企業:楽天、Anritsu、日本エスリード、リクルートライフスタイル 他
Probance (プロバンス)
初期 | 月額 | 課金 | 日本語 | |
Probance | Ask | Ask | Ask | ◎ |
ビッグデータ活用/デジタルマーケティングサービスで定評のあるブレインパッドが提供するマーケティングオートメーションツール「Probance (プロバンス)」。
膨大なデータを活用し、オンライン・オフラインを問わず、チャネルの垣根を超えたマーケティングアクションの実行ができるのが特長とのこと。
さらに最も注目すべき機能として、AI(機械学習)を用いたOne to Oneのコンテンツ配信機能です。ユーザーの行動データから興味関心が高い商品やコンテンツを分析し、そのユーザーが最も好反応を示す時間とチャネルにその商品やコンテンツを配信してくれるようです。
もちろん、実店舗の購買データとの連携も可能なので、直近の購買商品カテゴリからそのユーザーが次に購入する可能性が高い商品を予測し、情報を目にしてくれるタイミングに配信するなんてことも可能。特にBtoC向けの施策を実施する際に非常に有益な施策を展開できそうですね。
- 実績について
- ・ 導入実績数:100社以上
- ・ 主な導入企業:コーセープロビジョン、インテリジェンス、ゲオ 他
Hubspot (ハブスポット)
初期 | 月額 | 課金 | 日本語 | |
Basic | Ask | ¥24,000 | ¥12,000 | ◎ |
Pro | Ask | ¥96,000 | ¥6,000 | ◎ |
Enterprise | Ask | ¥288,000 | ¥1,200 | ◎ |
コンテンツマーケティング初期から様々なマーケティング理論を提唱してきた「HubSpot (ハブスポット)」。オウンドメディアからリードナーチャリングを行う際に活用に欠かせない様々な機能などが満載。インバウンドマーケテイングを主軸に据えたマーケティングオートメーションツールとなっています。
機能面としては、SEO対策機能や、SNSと連携してのトラッキング機能など、リードジェネレーションの段階から使用できる豊富な機能が魅力的なものの、その反面かなり高いリテラシーを要求してくるツールでもあります。
また、世界的にも非常に人気を集めており、導入社数は、3,400社を超え、パートナー数も50社以上と非常に多くの企業に利用されているようです。オウンドメディアからのインバウンド施策を展開する企業全般にオススメできます。
- 実績について
- ・ 導入実績数:18,000社以上
- ・ 主な導入企業:element three、iMA、IMPULSE CREATIVE 他
B→Dash (ビーダッシュ)
初期 | 月額 | 課金 | 日本語 | |
B→Dash | Ask | Ask | Ask | ◎ |
デジタルマーケティングにおける全てのデータをまとめることができるデータマネジメント機能を主軸とした国産マーケティングオートメーションツールといえば、「B→Dash (ビーダッシュ)」。アクセスログ、販促データ、ビジネスデータの一元管理だけでなく、広告データ連携することにより、セグメントに一致した属性のユーザーへの広告配信も可能になっています。
また、googleアナリティクスと連携以外にも、独自の計測タグをサイトに導入することにより、ブラウザ上における行動データを取得することもできます。また、SDKを導入するとアプリ内における行動データの取得まで行うことができるようです。
AIを用いて、レコメンデーションやスコアリングを自動化してくれます。まさに至れり尽せりなサービスではないでしょうか。日本の企業らしくサービスに対するフォローは(多分)No1。
- 実績について
- ・ 導入実績数:不明
- ・ 主な導入企業:キリン、ビックローブ、アビバ 他
IBM Marketing Cloud
(アイビーエムマーケティングクラウド)
http://www-03.ibm.com/software/products/ja/ibm-marketing-cloud
初期 | 月額 | 課金 | 日本語 | |
IBM | Ask | Ask | Ask | △ |
メールマーケティングの第一人者ビル・ナッシーがCEOを務めるSilverpopをIBMが買収。IBMブランドから提供されることになった王道ツール。
ユーザー行動に合わせてメールの文面を変えたり、開封時間を学習しユーザーに合わせて配信時間を最適化したりなどなど。メール系機能の充実がすごいです。
ほぼハイエンドモデルなため、やっぱりお値段もグレートです。
- 実績について
- ・ 導入実績数:5,000社以上
- ・ 主な導入企業:ノースフェイス、シンフォニーマーケティング、ディレクタス 他
Salesforce Pardot (セールスフォース パードット)
初期 | 月額 | 課金 | 日本語 | |
Standard | Ask | ¥120,000 | Ask | ◎ |
Professional | Ask | ¥240,000 | Ask | ◎ |
Ultimate | Ask | ¥360,000 | Ask | ◎ |
Salesforse (セールスフォース)が提供するBtoB特化型マーケティングオートメーションツール。既にセールスフォース導入済な場合かなり導入しやすく、SFA一体型マーケティングオートメーションツールといっても過言ではない。このツールでは、ホットリードまで「リードナーチャリング ⇒ 営業にパスして商談 ⇒ クロージング…」という、いわゆるBtoB王道パターンを無駄なく効率的に実施することができる点が魅力の一つ!
細かな機能としては、LPの作成やメールマガジンを配信機能などかなり絞られている。ただし、営業へのパスを出す最適なタイミングのシナリオをして組み込んでおくと、その時点で営業に通知が送られるように設定できたり、最適なタイミングで担当営業の割り振りが行えたりと、あって欲しかった細かな要望が実装されているのが特徴と言えます。
- 実績について
- ・ 導入実績数:不明
- ・ 主な導入企業:Audaxium、Blirt、Brainrider、Cheshire Impact 他
Salesforce Marketing Cloud (セールスフォース マーケティングクラウド)
https://www.salesforce.com/jp/products/marketing-cloud/overview/
初期 | 月額 | 課金 | 日本語 | |
メール、モバイル、Web マーケティング | Ask | Ask | Ask | △ |
ソーシャルメディアマーケティング | Ask | Ask | Ask | △ |
デジタル広告 | Ask | Ask | Ask | △ |
B2B マーケティングオートメーション | Ask | Ask | Ask | △ |
同じく、Salesforse(セールスフォース)が提供するマーケティングオートメーションツール「Salesforce Marketing Cloud (セールスフォース マーケティングクラウド)」。「Salesforce Pardot (セールスフォース パードット)」と比較するとより一人一人の顧客に対して最適な施策を行うための様々な機能が拡充されたツール。もちろんBtoBだけでなく、BtoCにも活用することができる。
GUIが非常に洗練されていて、カスタマージャーニーマップも直感的な操作で作成できるため、複数のシナリオ設計、管理をスピーディーにこなすことができるだろう。
- 実績について
- ・ 導入実績数:不明
- ・ 主な導入企業:三井住友カード、資生堂 他
Adobe Marketing Cloud
(アドビマーケティングクラウド)
http://www.adobe.com/jp/marketing-cloud.html
初期 | 月額 | 課金 | 日本語 | |
Adobe | Ask | Ask | Ask | × |
解析の鉄人。adobeアナリティクスを筆頭にAdobeの8つのソリューションを一元管理できる。つまりマーケティングオートメーションのキモである手持ちデータの横連携が早いことが魅力。
クリエイティブクラウドとの連携もできる為、バナー作成⇒設置⇒レビューまでをクラウドで一括管理することができます。
Adobeユーザーには慣れたUIなのは良いことなんですが、反面初心者には機能が高性能すぎて…という、Adobeあるあるはありそう。
管理するサイトの規模感や、数に応じて、検討してほしい。
- 実績について
- ・ 導入実績数:不明
- ・ 主な導入企業:FORD、Marriott、Panasonic 他
SHANON MARKETING PLATFORM
(シャノンマーケティングプラットフォーム)
初期 | 月額 | 課金 | 日本語 | |
SHANON | Ask | Ask | Ask | ◎ |
「ITR Market View:マーケティング管理市場2013~2017」にて7年連続No.1の地位を獲得しているのが、この「SHANON MARKETING PLATFORM (シャノンマーケティングプラットフォーム)」です。もとは展示会やイベントの受付管理システムの開発から始まったツールなので、展示会やイベント、セミナーの運営に特化した機能も持ちつつ、デジタルマーケティング領域における機能もバッチリ搭載されている優れもの。
セミナーにおけるリードジェネレーション〜リードナーチャリングまでの間に実施しなければならない様々な業務をサポートする機能が実装されています。具体的に言うと、全ての参加者獲得のための申し込みフォーム作成、告知、受講票の発行、管理、イベント後のフォローやステップメールなどリアル集客型イベントに必要な機能が充実。またリアルイベントだけでなく、オンラインイベントにも対応しているそうです。
これらを用いることで、セミナー運営にかかる諸々の間接コストを50%削減した事例もあるので、セミナーを軸にリード獲得が中心の企業であれば、まさにこれ一択と言っても過言ではないでしょう。
また、SalesforceなどのSFAなどと連携させることも可能なので、特にBtoB向け企業におすすめできるツールと言えます。
- 実績について
- ・ 導入実績数:900社以上
- ・ 主な導入企業:ソフトバンクコマース&サービス、NTTコミュニケーションズ、野村総合研究所、立命館大学校友会 他
CCMP (シーシーエムピー)
https://www.marketinggate.jp/ccmp/index.html
初期 | 月額 | 課金 | 日本語 | |
CCMP | Ask | Ask | Ask | ◎ |
“既存顧客”のリテンションに特化させたBtoC専用設計のマーケティングオートメーションツール「CCMP (シーシーエムピー)」。
もちろん、データの一元管理やシナリオ設計、効果測定などは実行可能なのですが、このマーケティングオートメーションツール最大の特徴は、LINE・SMS・メールなどを用いたクロスチャネル配信機能を特化しているため、このツールのみで、一貫性のあるコミニュケーションを実施することができます。
また、ツール内で抱えているユーザー全員に対して一斉に配信を実施することもできるので、まさにBtoCならではの大規模なキャンペーン実施にも耐えうるというわけです。さらにLINEビジネスコネクトとの連携機能などを活用すれば、さらに可能性は広がります。
また、導入時のシナリオもテンプレート化されたものがあらかじめ配布されるので、導入コストも少なくのは嬉しいですね。
- 実績について
- ・ 導入実績数:不明
- ・ 主な導入企業:日本ケンタッキー・フライド・チキン、ワールド、オイシックス 他
List Finder (リストファインダー)
https://promote.list-finder.jp/
初期 | 月額 | 課金 | 日本語 | |
List Finder | ¥100,000 | ¥30,000〜 | ¥10,000 | ◎ |
正直あまり予算を割くことができない。まずは、マーケティングオートメーションツールがどういうものなのか把握したいという中小企業向けのツールといえば、「List Finder (リストファインダー)」。
とにかくシンプルな機能で簡単、お手頃価格で始められる点がおすすめポイント。
機能としても、リードナーチャリング段階のおける必要最低限のセミナー管理機能やメール配信機能などは装備されています。もちろんリード管理面の機能やアクセス解析、スコアリングなどの分析機能も標準装備です。
また、名刺管理サービス「Sansan」で管理していた顧客データを「List Finder (リストファインダー)」内に同期することも可能なので、こちらのサービスを利用されている方であれば、導入をさらに検討しやすいのではないでしょうか。
- 実績について
- ・ 導入実績数:700社以上
- ・ 主な導入企業:All about、freebit 他
マーケティングオートメーション(MA)ツールの検討は慎重に
各社共に一長一短。BtoB、BtoCいずれかに照準を当てた製品もあれば、双方共に使える機能性豊富な機能性を持つものの、膨大な導入コストや、運用者に幅広い施策のリテラシーを必要とするものまで、様々な製品があります。
マーケティングオートメーションツールをお使いになる前に、自社のモデルとマーケットのニーズ、どの部分にリードナーチャリング、LTV改善のキーがあるのか、しっかり考えてから検討を進めたいものですね。
その時、この記事が検討の一助となれば幸いです。
ではまた。