AI研究で知られる長尾真氏が死去 顔認識や機械翻訳で功績

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元・京都大学の総長、元・国立国会図書館長で、人工知能(AI)研究で知られる長尾真氏が5月23日に出血性脳梗塞のため死去した。5月26日に京都大学は現・総長の湊長博氏によるコメント、国立国会図書館は現・館長の吉永元信氏によるコメントをそれぞれ公式サイトに掲載している。

長尾真氏は1959年3月、京都大学工学部電子工学科を卒業。新聞各紙によると、専門は情報学。画像やことばの情報処理に関する研究を続け、AI、顔認識、機械翻訳の分野で多くの功績を残した。手がけた文字認識は初期の郵便番号の読み取り装置に、顔の識別技術は防犯カメラに活用された。

長尾真氏は1936年10月4日、三重県生まれ。京都大学工学部教授などを経て、1997年12月に京都大学総長(第23代)に就任。1997年に紫綬褒章、2005年にフランスのレジオンドヌール勲章、2008年に文化功労賞を受賞した。

なお、詳しい経歴については日本認知科学会が掲載する該当記事や、豊橋技術科学大学が掲載している同氏の講演の様子をレポートした『人工知能を目指して』が詳しい。また、同氏の講演は公式YouTubeチャンネルで公開している『危機に直面して』などで確認できる。

現・京都大学総長の湊長博氏によるコメント

「長尾真 元総長の訃報に接し、我が国全体のみならず、京都大学にとっても大きな損失であり誠に残念でなりません。京都大学の教職員を代表して心からご冥福をお祈り申し上げます。

長尾真 先生は第23代総長として平成9年12月16日に就任され、平成15年12月まで6年間、長期的な将来計画に基づき数々の取組を推進されました。

特に、新キャンパスの実現に当たっては、現在の桂の地に、最先端の研究を行い景観や環境にも配慮した地域社会と協調する開かれた新キャンパスを作り上げるとともに、平成16年4月からの国立大学の法人化に当たっては、国立大学協会会長(平成13年4月~平成15年6月)として円滑な国立大学法人制度への移行に向けて尽力されました。

また、平成10年4月に大学院アジア・アフリカ地域研究研究科及び大学院情報学研究科、平成11年4月に大学院生命科学研究科、さらに平成14年4月に大学院地球環境学堂・学舎といった従来の学問の枠を越えた先進的かつ意欲的な教育・研究を行う独立研究科を設置するとともに、平成10年4月の再生医科学研究所の設置は、その後のiPS細胞の発見など我が国を代表する優れた成果、また、世界的な研究成果に繋がりました。

長尾真 元総長は、教育・研究者としても、大型計算機センター長、附属図書館長、工学研究科長・工学部長等を歴任され、情報学という専門分野において優れた研究成果を挙げ、学術の進展に貢献されました。

総長ご退任後は、情報通信研究機構理事長及び国立国会図書館長等の重職を歴任され、平成9年に紫綬褒章を受章され、平成20年に文化功労者に選ばれ、平成30年には文化勲章を受章されました。

総長ご退任後も大きな後ろだてとなっていただき、私が総長に就任後も、法人化後の多くの課題を有する大学運営について、多くの貴重なご意見とご指導を賜ってまいりました。これからも様々な分野でご指導・ご支援いただきたいと思っていたところ、このたびの訃報に接し、京都大学の大きな精神的支柱を失ったような痛惜の念でいっぱいです。

これまでのご指導とご支援に心からお礼申し上げますとともに、ご冥福をお祈りしたいと思います」

>>「長尾真 元総長逝去に関してのコメント」

現・国立国会図書館長の吉永元信氏によるコメント

「長尾真 元国立国会図書館長の訃報に接し、謹んで哀悼の意を表します。

長尾元館長は、情報通信技術の急速な発展を踏まえた『デジタル時代の国立国会図書館』の在り方を大きなビジョンとして示され、インターネット資料の制度的収集、所蔵資料の大規模なデジタル化などを実現され、図書館界の夢でもあった電子図書館を現実のものとされるなど当館の諸事業の発展に多大な尽力をされました。

長尾元館長のご貢献に感謝申し上げるとともに、心よりご冥福をお祈り申し上げます」

>>「2021年5月26日 長尾真 元国立国会図書館長が5月23日に逝去されました。」

そのほか、SNS上などでは岩波新書編集部弁護士/ニューヨーク州弁護士の福井健策氏東京大学大学院情報理工学系研究科AIセンター教授の松原仁氏らもコメントを掲載している。

>>コトバンク「長尾真」

>>DH-JAC2011「長尾 真(ながお まこと)」