野菜や果物の色から味を可視化。“AIのおいしさ審査を通過した野菜”という新たな基準も?

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AIのおいしさ審査を通過した野菜」という新たな基準ができれば、農作物の売り方や買い方が変わりそうです。

2018年11月22日、スマートアグリ技術展2018が開催され「スマホ画像からAIが解析する野菜・果物のおいしさ」をテーマに講演がおこなわれました。野菜や果物の味を食べずに可視化でき、客観的な味の評価ができるスマホアプリが紹介されました。

野田 博行
山形大学学術研究院准教授

幕田 武広
マクタアメニティ株式会社 代表取締役

RGBヒストグラムや形を分析、AIで味を可視化する

――野田
「一般的に農作物のおいしさを測るには近赤外線センサーなど、高価な設備が必要とされています。

しかし、マクタアメニティが提供するアプリを使えば、スマートフォンで野菜や果物を撮影した画像から、色の構成を表すRGBヒストグラムや形をAIが分析し、おいしさがわかるようになります」

農作物の色の濃淡や味のデータをおよそ3万件以上分析し、AIで味を測定できるようになりました。気になるのは、なぜ農作物の外見だけで味がわかるのか、という点です。

熟練の目利きでなくても、見た目から味を推測

――野田
「農作物の色は、アントシアニンやカロテノイドなどの色素によって発現します。赤色を表すアントシアニンは甘み、黄色を表すカロテノイドは旨みと関連しており、この相関を利用して、野菜や果物の色から味を分析しています」

確かに、トマトは赤い方が熟れているので甘くて生食向き、青みがあればまだ酸っぱいので炒め物に向いているなどとよく聞きます。これは色素が味と関係していることを示しています。

――野田
「特にトマトやさくらんぼなどは、色と味の相関関係が強く、この技術と相性が良いです。葉物野菜でも、冬のほうれん草は緑色が濃いので、冬は旨みが強く、夏は苦味が強いことがほうれんの色からわかります」

現在、16種類の野菜と果物に対応しており、対応する品目は順次増やしていく予定とのこと。熟練の目利きでなくても、簡単に農作物のおいしさが判別できるようになると、野田氏。

誰でも簡単に野菜や果物の味がわかれば、食品に関わるあらゆる場面でこのアプリが活躍します。また、アプリではなく、中のAIエンジンをそのほかのデバイスやAPI連携を可能にすることで、さらに活用の幅が広がります。

おいしさ審査を通過した野菜?野菜や果物のブランド化も簡単に

――幕田
「生産者による品質チェックから外食産業での食材の選択、小売店舗での差別化した販売など、食品に関係する幅広い分野でAI利活用が期待できます。

たとえば、個別農家で導入すれば、生産品をブランド化し、さらに出荷前に味の保証をつけて売り出せます。スーパーでは、売り場の表示などに取り入れられる予定です」

野菜は見た目や重量でランクづけされて出荷されるのが一般的ですが、そこにおいしさという基準が加わりそうです。

今後、選別ロボットなどと組み合わせ、サイズとおいしさによってAIが自動選別してくれる未来も遠くはありません。個人消費者向けのリリースも、流通・販売の準備が整い次第、進めていくとのこと。

「食」という、私たちの身近なところでAI活用が進んでいます。