日本では人手不足に直面している。
パーソル総合研究所が発表した「労働市場の未来推計 2030」によれば、2030年には、7073万人の労働需要に対し、6429万人の労働供給しか見込めず、「644万人の人手不足」とも言われている(外部サイト)。
そこで、TRUST SMITH株式会社は2月29日、製造業・物流業における在日外国人労働者の発見・採用をサポートするハンティングAI「Work in Japan」サービスを開始することを発表した。現在はβ版リリースに向けて開発を進めている。
SNSやWebのデータをAIが解析し求職者を探す
Work in Japanは、企業が求める人材要件にあわせ、SNSやWeb上のオープンデータを解析し、外国人求職者を発見できるAIだ。
特定のキーワードなどから、候補者の属性データや興味・関心、日本語能力レベル、仕事を探しているタイミングなどを割り出し、適切なタイミングでアプローチ可能になる。
主な特徴は以下の3点。
マッチング精度の向上
企業が求める条件にあわせた求職者を選考して自動探索するため、企業と外国人求職者の双方の満足度を高める。同時に、費用対効果も向上させる。
潜在的な転職希望者層にアプローチ
スカウト型のアプローチによって、これまでリーチできなかった、もしくは難しかった潜在的な転職希望者にコンタクトをとれる。
就職活動タイミングの見極め
ユーザーの投稿などを分析することで、就職活動をしていると思われるタイミングを検知。そのため、適切なタイミングでのアプローチが可能になる。
製造業におけるAIソリューションの課題
製造業はAIの導入や検討が活発だ。これは、本稿冒頭でも触れたように人手不足が理由のひとつ。
TRUST SMITHのAIは外国人求職者を探すというものだが、当然、人に代わる存在として工場で活躍するAIも増えている。しかし、超えるべきハードルが多いのも事実だ。
2020年1月にLedge.aiに掲載したALBERTへのインタビューでは「組み立て作業や検品作業などAIを導入して効率化しても、精度が低く不良品を見逃してしまえば信頼を失う」「データを漏洩させないように高いセキュリティ性を要求されるケースが多い」という課題があるそうだ。
そのため、ALBERTは工場内でAI処理をする「エッジAI」を提案している。
AIが工場内で処理をすれば、外部にデータを流出させないセキュリティ性と、クラウド型と異なりローカルネットワークで完結できるAIなので、検品なども低遅延になるという。
TRUST SMITHもALBERTもアプローチこそ違うものの、両社ともに製造業などでの人手不足の解消が目的なのは共通している。
AIが人を探すのか、AIが人の代わりを務めるのか。製造業側からすれば、AIを活用する選択肢が増えた、と考えてもいいのかもしれない。