自社のサービス戦略について試行錯誤していると、他社のマーケターがどんなことを考えて、どんなことをしてるかって気になったりしませんか?
他社のマーケターと腹割って話せる機会って滅多になさそうですが、実はひっそりとイベントが行われたりしています。しかも、イケイケのスタートアップのマーケターばかりが集まっているイベントが。
そんな素敵すぎるイベント「Marketo Marketing Up」にありがたいことに呼んでいただいたので、レポートします。
全56社、今イケてる企業のデジタルマーケターが集うシークレットイベント
Marketo Marketing Upは、急成長スタートアップのマーケターが集うシークレットイベントです。その数、全56社計63人。
参加企業のロゴを見るだけでも迫力があります……。
イベントは「これからの時代のマーケティングを共有できる場」という趣旨で、パネルディスカッション形式で行われました。登壇者は以下の方々です。
- 株式会社マルケト 大里さん(>>インタビュー記事はこちら)
- ラクスル株式会社 田部さん
- ランサーズ株式会社 根岸さん
- Sansan株式会社 石野さん
他社がやったらウチがやる。ではなく「参考にして先行する」という考え方
ディスカッションの中では、気になる他社のベンチマークの話もありました。企業名も含めて聞けることってなかなかないので非常に勉強になります。

僕らはリンカーズを見ていますね。製造業のマッチングサービスですが、なんというか「胃袋の掴み方が上手い」んです。本質的なものをグリップできているなあと。
リンカーズを通さないと損するっていう気持ちになるんですよね。

モノタロウさんですね。ニッチなものを売るための入り込み方が上手い……。
僕らもそうですが、ターゲットが中小企業なので相手側のリテラシーは高いとは言えないんです。
モノタロウさんのサイトデザインは決して今っぽくはないんですが(笑)、きっちりパーソナライズドされています。これもコミュニケーションのうまさだと思ってます。

例えば、うちはMAを入れてるんですけど、MA入れてるところでうまくいってるところはどこか?みたいな施策ごとでベンチマークがある感じです。イベントやる際はIBMさんだとかセールスフォースさんを参考にさせていただいています。
各社に共通するのは後出しで真似施策をしようというベンチマークではなく、「なぜ?」を探って自分たちのマーケットの先行事例にしてしまう、という考え方でした。
みなさんがベンチマークであげられた企業って、面白いことにいわゆるライバル会社って感じじゃないですよね。違う分野の企業の「成功事例」をベンチマークしているのが興味深いです。
自社に関連するマーケット内だけでなく、アンテナを張っていろいろな企業の成功事例を追っていく。その成功事例を自社だったらどう活かせるのか考える。というところがマーケターのビジネススキルの肝なのかもしれません。
ユーザーのエンゲージメントはデータだけだと見えない
マーケティングってのは結局ユーザーありきの「愛されアクション」みたいなモノだと思うんですが、各社のユーザーエンゲージメントを拡大するための考え方の違いも面白かったです。その中でもランサーズの根岸さんの話は少し考えさせられました。

データが取れるのはデジタルマーケティングのいいところだとは思うんですが、一方でデータが取れるからこその強引な意味付けとミスリードは起こりえます。
パネラーとして参加されていたみなさまは、そこは強く意識されていて、定量調査だけでなく、現場にインタビューにいくなど、定性調査も行っているんだそう。
数値的なデータ以外もシームレスに取り入れていく、というのがこれからのマーケティングの重要なポイントのひとつになると強く感じました。
次のブレイクスルー、ダムの水門を開けるトリガー
ディスカッションの最後は「今後チャレンジしたいと思ってるマーケティングの取り組み」についての質問でした。
その中で面白かったのが、KPIだけを追いかけていてもブレイクスルーは起きない、という話。

圧倒的に勝つためには、小さなKPIを繰り返し達成するだけではどうしてもダメなんですよね。
僕らは5年後にマーケティングコストをゼロにするためにどうするか?をすごく真剣に考えています。今はそのために売り上げに対して過剰な投資かもしれないけど、認知拡大に力を入れています。
もちろんKPIをきっちりと追っていけば堅実な成長はできていくけれど、圧倒的に勝つブレイクスルーを生むためにはKPIとかではない部分に着眼していかないとダメだと。どちらの軸が欠けても、企業として急成長はできないんでしょうね。
ランサーズ根岸さんも同じような話をなさっていて、「マーケットを変える!」というスタートアップの意気込みを感じました。
テクノロジーの進化と共に増える「取れる数字」と「変わるKPI」
ディスカッションの締めは、数々の企業のコンサルティングをしてきたマルケト大里さんのこんな話でした。
- 今までKPIって縦割りになりがちだった
- 最近はMAでとれる数字も増え、部署を超えて同じKPIを追える環境が整った
- つまり今までとは違うKPIを立てる必要がでてきた
- 何をKPIとすればいいのか、で悩んでいる企業が多い

ゴールをどう観るか?からKPIの設定をするべきだと思っていますね。そしてそれはチーム内で全力で納得するまで悩むべきです。
これからも新しいツールがでるたびに、KPIって変わっていくんだとは思うんです。設定したKPIにいかにメンバーひとりひとりが納得感を持てるかが、チーム一丸で戦うための必須条件になるのかもしれません。
そしてKPIをしっかりと立てる一方で、ブレイクスルーを起こすための企業のビジョンやら、理念やらも強く理解しておくことが大事なんだろうなーと改めて感じました。
参加してみてわかったマルケトのコミュニティの強さ
もともと僕自身大企業にいたので、「世界を変えてやろう」みたいなスタートアップの勢いってすごくいい刺激をいただくんですよね。
もちろん来ていた企業の面々もすごいんですが、その方々を集めてイベントをやってしまうマルケトのコミュニティの強さをひしひしと感じました。
懇親会でもざっくばらんに「MA入れてどんな感じですか?」「MA導入迷ってるんですよね」なんてことを未導入企業が導入企業に聞いていたり、「MAどんな風に使ってますか?」なんて導入企業同士のノウハウの共有もしたり……。シークレットイベントとは言えども、中ではフラットな目線でオープンに議論がされていることにも感動したのでした。
ではではー。