松尾豊さん、2020年の大きなトピックの1つは「GPT-3」

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『人工知能は人間を超えるか』(KADOKAWA)などの著書でも知られる松尾豊さん(2020年 年頭所感)より

一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)は2021年1月4日、人工知能(AI)研究の第一人者で、JDLA理事長も務める東京大学大学院工学系研究科 教授の松尾豊さんによる年頭所感を発表した。

年頭所感のなかで、松尾豊さんは2020年を振り返り、コロナ禍に進んだデジタルの浸透に触れ、2020年の大きなトピックとして、Open AIが開発した言語モデル「GPT-3」および、「ディープラーニングを含むAI技術の立ち位置が問い直される年であったこと」の2つを挙げている。

「デジタルに関しての浸透が一気に進んだ年でもあった」

──松尾豊さん

「皆様、あけましておめでとうございます。

昨年は、コロナ禍により社会全体が大きな変化を余儀なくされた年でした。人々の日常生活や仕事に大きな影響があり、さまざまな産業セクターに負の影響がありました。一方で、テレワークやオンライン会議が普及し、デジタル庁の設置が決まるなど、デジタルに関しての浸透が一気に進んだ年でもありました。

日本ディープラーニング協会では、在宅時間の増えるコロナ禍をオンラインでの学習の機会と捉え、『認定事業者の協力を得てオンラインの講義コンテンツを無償で提供する』『G検定の受験料を半額にする』などの活動を展開しました。結果として、一昨年までは累計で約2万人だったG検定・E資格の受験者数は、昨年末までに累計で約5万人まで拡大しています」

「高専DCONは昨年度の上位入賞のうち2チームが起業」

また、松尾豊さんは年頭所感のなかで、高専生が高専生が日頃培った「ものづくりの技術」と、AI分野でとくに成果を出す深層学習(ディープラーニング)技術を活用して、事業の評価額を競うDCONについて言及し、「昨年度の上位入賞のチームのうち2チームが実際に起業に至ったのは、事業創出コンテストとして大きな躍進」と述べた。

──松尾豊さん

「高専DCONも大きく躍進しました。一昨年と比べて倍に近い数のチームがエントリーし、決勝戦では大変レベルの高い争いが繰り広げられ、その模様はNHK Eテレ『サイエンスZERO』で2回に渡って放送されました。また、昨年度の上位入賞のチームのうち2チームが実際に起業に至ったのは、事業創出コンテストとして大きな躍進です」

「大きなトピックの1つはOpen AIが開発した『GPT-3』」

また、松尾豊さんは年頭所感のなかで、2020年におけるディープラーニングの分野での注目すべきトピックを2つ紹介している。1つ目は英語圏を中心に大きな話題になった、Open AIが開発した言語モデル「GPT-3」だ。

──松尾豊さん

「ディープラーニングの分野で昨年の大きなトピックの1つは、Open AIが開発した『GPT-3』だったでしょう。かつてないほどの大規模なtransformerのモデルは、自然言語処理分野でさまざまな驚くべき実例を生み出しました。また、自己教師あり学習の威力を改めて見せつけ、画像や映像における応用にも大きな可能性を開きました。2021年は、こうした分野でさらに大きな進展が期待できると思います」

2つ目は「ディープラーニングを含むAI技術の立ち位置が問い直される年であったこと」であるとし、「企業におけるデジタル化、さらには業務改革全体のなかで、AIがその部分的な役割を果たすという立ち位置がより明確になってきました」と語る。

──松尾豊さん

2つ目の大きなトピックは、2020年はディープラーニングを含むAI技術の立ち位置が問い直される年であったことです。2019年ごろから顕著になってきましたが、企業におけるデジタル化、さらには業務改革全体のなかで、AIがその部分的な役割を果たすという立ち位置がより明確になってきました。

そういった意味ではディープラーニングとAIは、さまざまな他の技術と組み合わせてはじめて大きな価値を社会に対して提供できるものであると考えます。他の技術とは例えば、ウェブやDB・UI/UX・SaaS関連技術などのIT技術を指します。

もともと本協会では、ビジネス層をターゲットとしたG検定や産業活用促進の取り組みを重点的におこなってきましたが、社会全体でこうした取り組みのニーズが高まっていると感じました」

最後に、松尾豊さんは今後、これらの流れが加速すると前置きし、「日本全体でデジタル化が進み、そのなかで重要な技術としてAIならびにディープラーニングがますます社会の中に浸透してくる」「新たなイノベーションが起こることも引き続き大変楽しみ」と述べている。

──松尾豊さん

「2021年は、以上2つの流れがさらに加速することでしょう。日本全体でデジタル化が進み、そのなかで重要な技術としてAIならびにディープラーニングがますます社会の中に浸透してくると思います。また、『GPT-3』のようなディープラーニングの技術起点の新たなイノベーションが起こることも引き続き大変楽しみです。

本年も日本ディープラーニング協会は日本全体の産業競争力に資するため、人材育成・産業活用の促進・政策の提言など、さまざまな活動を加速させていく予定です。引き続き協会へのご支援・ご指導を賜れますようお願い申し上げます。新年が皆様方にとりまして良い年となりますようにお祈りいたします。

>>ニュースリリース

「今後『GPT-3』で多くのタスクが実現される可能性がある」

なお、2020年11月27日に実施された講演「人工知能エコシステムが変える社会」のなかで、松尾豊さんは2020年の大きなトピックの1つ「GPT-3」について、「非常に多くのタスクが今後、『GPT-3』によって実現される可能性があります。法務、人事、調達などなどはもちろん、ヘルスケアの分野でも、たくさんテキストを使う仕事があります。こういったものを次々と自動化していく可能性があると思います」と言及していた。

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