【独占取材】世界唯一のオープンソースMAツールMauticのFounderにあれこれ聞いてきた

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こんにちは。ひろきです。

以前Ledgeでも取り上げてすごく反響があった、世界唯一のオープンソースMAツールの『Mautic

世界のMauticユーザー(マウティシャンと呼ぶそうです)が自主的にミートアップを開催するほど、各地で盛り上がっています。

日本でもミートアップは行われているんですが、なんと東京でのミートアップに合わせて本国アメリカからFounderのDavid Hurleyさんが来日。この機会にいろいろ聞いてしまえ!ってことで多忙なスケジュールを少しだけ空けていただき、取材をさせて頂きました。

Davidさんが語ったオープンソースだからこそできるMAの価値とは。

マーケターには必須のツールなのにオープンソースがないから作った

―早速ですが、Mauticの開発をされた背景を教えていただけますか?

―David
もともと僕はMAとは関係ないウェブデザイン関係の会社をやっていたことがあって、そのとき使っていたツールの多くがオープンソースのものだったんだよ。

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Davidさん自身、オープンソースのCMS「joomla!」のコミュニティマネージャーをやっていたり、オープンソースがもつコミュニティの力に可能性を感じていたそう。そういったなかで、大きな注目を浴びているMAの分野にはオープンソースのものがないことに気付いて、そこには大きな需要があると思ってMauticを作ってみたんだとか。

あ、オープンソースのMAってないかも。そう思うまでは理解できるんですが、実際に作ってしまうあたり、凄まじい行動力ですね。

ところで、MAが大きな注目を浴びているという話がありましたが、アメリカにおけるMAツールとマーケターの関係性ってどういったものなんでしょうか?

―David
アメリカでは、100%といえるぐらいほとんどのマーケターがMAのバリューを理解しているし、その必要性を感じているよ。けど以前は皆MAツールに対して不満を持っていたんだ。

Davidさん自身、会社を経営するまでにその問題点を認知していなかったそうですが、自社に導入しているマーケティングソフトウェアを使ってみて、マーケターの苦悩をしみじみと感じたんだとか。

具体的には、やりたいことにすぐにたどり着けない複雑なインターフェースと、本当にマーケターの課題を解決するような機能が実装されていなかったこと。

Mauticはそれを解決するためにものすごく使いやすいシンプルなインターフェースと、いままでマーケターが必要とし、実際に使うことができるものを目指して作られたそうです。

ただ単に今まであるものをオープンソースで作ってみたわけではなく、他のMAを超えるツールをさらにオープンソースで作ってしまおう!という熱意…。インタビューを受けていてもひしひしと感じます。

営業や宣伝は無し。口コミのみで導入10万社達成

―現在のMauticの評価はどうですか?

―David

マウティシャンからはすごく好評だよ。まあ、おかしなところがあったらオープンソースってこともあって誰かが気付いてくれたりしてすぐに直せるしね。

導入規模でいえば、現在約10万社が導入してくれていて、毎日約250社ずつ増えているよ。

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日本でNo.1のシェアを誇るMAツールでさえ国内導入社が1,000社ぐらい。そう考えると10万社という数字は本当に驚きです…!1日250社ずつということは、4日で1,000社ですからね…。

さらに驚きなのは、なんと今まで営業無し、宣伝無しの口コミのみで広がっているんだそう。

オープンソースということもあり、ユーザーコミュニティも相当盛り上がっているようです。そのコミュニティ発信でMauticの魅力が伝わっていく…なんていう流れにもなっているんだとか。

実際にLedgeでもMautic試してみましたし、今後もそういった需要はまだまだ増えていきそう。導入企業もまだまだ増えていくんでしょうね。

MAを導入する際の2つの壁。唯一超えられるMAツールがMautic

―中小企業からするとMAツールの導入ってあまり踏み切れないところがあるとおもいます。その対応とか、思われることってなにかありますか?

―David

中小企業へのMA導入には大きく2つの壁があるんだよね。資金面と技術面。

この2つの壁をMauticはどちらもクリアしているんだ。MAを導入するには大きな壁を乗り越えなければならないと感じている人がたくさんいるけれど、Mauticは他の競合とは大きく違うんだ。

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確かに。よく最近話は聞くんだけど、試そう!って軽く言うには少し値段が高い…。そして使いこなせるような人も社内にいない…。というのはよく聞く話。

無料であることで、気軽に試せる。コミュニティが活発なので何かわからないことがあったら「使える人に聞く」ということができる。安心して導入することができる環境は揃っていますね。

コミュニティが活発になるのは、もちろん製品が素晴らしいことも前提としてあるのですが、オープンソースであるということが何よりも大きいでしょうね。

ただ、Davidさん曰く、一方でオープンソースならではの苦悩もあるんだとか。

―David

日本でもそうだと思うんだけど、例えば大企業だとまだまだオープンソースツールを導入することに慎重になることが多いね。

まだまだオープンソースへの理解が進んでいないことが問題だと思うんだけれど、その良さが広まってきていることもまた現実で、これからどんどん進んで行ってほしいと思っているよ。

そうですよね。これからもっと浸透していけば、大手企業でもどんどん使われるようになっていくのかもしれないですね。

ここまで伺ったところで、一番気になっていたこともストレートに聞いてみました。無料でオープンソースでどうやってMauticはマネタイズしてるんですかね……?

―David

よく聞かれる質問だよ(笑)
それに答える前に言っておかないといけないのは、現在無料であるMauticをどこかの段階で有料化する予定はないし、そこから利益を得るつもりはないってことだね。

いまいまのマネタイズは、有料のMautic cloudのpro版だけなんだそう。若干心配になりましたが、今後は有料ツールの開発も視野に入れているとのことでした。

具体的には、各マーケットに合わせたアディショナルなサービスを開発しようとしているんだそう。Mauticを導入している企業がそれぞれの規模や扱っているマーケットによって、より効率的で効果的なマーケティングが行うことができるようなツールを作ろうとしているとのこと。

なんだかあまり想像はできませんが、期待は膨らみますね。確かに無料である程度のシェアを取った後に、より一層便利に使えるサービスをアディショナルで出す、というのはビジネスとしてもいい戦い方な気もします。

日本ユーザー歓喜!近々LINEとも連携?

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―David

あとマネタイズの話ではないけれど、今後の展開としてもう一つ考えていることがある。先日AdTechに参加してきたんだけど、そこですごい盛り上がりを見せていた「LINE」との連携ができないか今考えてるんだよ。

日本の主流SNSとMauticが使えるようになれば日本のユーザーにとってはすごく効果的だよね。こういった展開がすぐ実装できるのもまたオープンソースの利点だね。

まじですか・・・!MarketoもLINEビジネスコネクトとの連携を発表して盛り上がったのが記憶に新しいところ。無料であるMauticがLINEと繋がるようになれば、日本でも一気にマウティシャンが増えそうです。

MAに投資するだけの予算がないから、しょうがなく無料のMauticを使おう…ではなく、他のMAと機能面で比較してもMauticいいじゃん!Mautic導入だ!となっても全然おかしくないですね。

今後のMauticがどんなことを仕掛けてくれるのか。ますます楽しみになりました。

さいごに

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Davidさんへのインタビュー後、同日開かれていたミートアップへ参加させて頂いたのですが、参加人数は100名以上も。Davidさんによる講演や新しい機能の発表なども行われ、非常に盛り上がっていました。

参加者同士で、Mauticの使い方や機能について語り合う場面もちらほら。日本でもじわじわとコミュニティが広がってきているのを感じました。

MA業界もどんどん盛り上がっている今。すぐに試せるMAツールとしてMauticは、今後もユーザー数がどんどん増えていくことが予想されます。

そうなるとより様々なユーザーが触れることになるため、オープンソースという武器を使ってより一層洗練されていきそう。Ledgeでも引き続き情報を追っていきます。

Davidさん、本当にお忙しい中ありがとうございました!