Microsoftは、アジアにおいてAIが大きな成果を挙げている以下の5つの分野を6月29日に発表しました。
- アクセシビリティ
- 農業
- 気候変動
- 教育
- ヘルスケア
具体的にどのようにAIを活用し、どのような成果を挙げているのか、Microsoftの取り組みをそれぞれの分野でみていきましょう。
アクセシビリティ
視覚障害や聴覚障害、身体障害を持つ人々が、より社会に参画しやすいようにするため、AIによる視覚・聴覚情報の識別などの技術で支援する取り組みがおこなわれています。
Microsoftはそのひとつとして、顔、感情、手書き文字などの視覚情報を識別してくれる「Seeing AI」を提供しています。(以前Ledge.aiでもこの記事で取り上げました。)
- カメラに映されたテキストの読み上げ
- バーコードの位置を音で知らせ、スキャンすることで商品情報を提供
- 友達をみわけたり、周りの人の様子のや感情の識別
- 現金で支払うときの金額の確認
などで障害を持つ人々を支援します。
Seeing AIにより、通常であれば介護者を必要とする場面でも、AIによる視覚情報の提供によって自力でこなすことができます。
農業
アジアの人口は現在45億人を超えています。人工は今後も増え続けると予想されているため、より深刻な食糧不足が懸念されています。
そこで、農業という分野でAIを用い、収穫高の大幅な向上を目指した取り組みが行われています。
Microsoftは天候や土壌などの指標に基づいて作物の植え付けに最適な日を助言する「AI Sowing App」を開発。こちらは過去30年間の気象データを分析し、リアルタイムのデータと天候予測モデルを使用しているそう。
センサーなどの設備が不要なため、多額な投資が難しい農家でも利用ができるとか。農業の効率化は食糧供給の面だけでなく、農家の生活の安定にも結びつきますね。
気候変動
アジア各国が経済成長を遂げる一方、それに伴う工場・建物の増加で炭素の排出による気候変動が問題になっています。
MicrosoftはAIの支援によるデータセンターの運用とインフラの管理をおこなうことで、環境への影響の削減を試みています。
こちらの一例では、従来のデータセンターをMicrosoftのクラウドサービスと置き換えた結果、エネルギー効率が93%アップし炭素効率も最大98%アップしたそう。
教育
教育の分野でもAIの活用で教育を強化しようという試みがあります。
Microsoftは退学する可能性が高い学生を予測するアプリを開発。すでに南インドのアーンドラ・プラデーシュ州の1万校以上の学校で使用されているそう。
AI、クラウドを活用し、成績から教師スキルなど幅広いデータを分析してパターンを検出しています。退学する可能性が高いと予測された場合、早期にカウンセリングなどで対応することで、退学を防ぎ教育環境を改善できます。
インドでは人口増加による教員の相対的な不足により、生徒全員に注力できないといった問題もあるそう。こうした問題もAIで観察し分析することで解決されることが期待できます。
ヘルスケア
AIはヘルスケアの分野にも活用されています。
Microsoftはインド最大の医療組織Apollo Hospitalsと協力し、心臓病の克服を目指してAIにフォーカスしたネットワークを開発しました。
MicrosoftのAI技術とApollo Hospitalsの心臓病における経験と知識を組み合わせ、機械学習モデルを用いることで心臓病のリスクを予測。医師の治療を支援することを目標にしています。
人口が増え続けることで、医師不足に陥っているインド。AIによる分析が医師の負担を軽減し、診察の質を高めることが期待されています。
アジアのさまざまな問題にAIで解決を図るMicrosoft
さまざまな分野でAIを用いているMicrosoft。アジアにおけるAI活用は介護士・医師・先生といったプロフェッショナルの人手不足や食糧不足、そして膨大な炭素の排出などの、人口増加に起因する問題を解決しようとする分野に多いように思います。
アジアの人口増加はまだまだ続くと予想され、問題解決への道もまだまだ長いようにも思えますが、AIの技術を駆使して問題が解決へと向かうことが望まれます。