マイクロソフトが非営利団体などを支援する医療向けAI事業を発表、規模は5年で4000万ドル

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マイクロソフトは米国時間1月29日に、世界中の人々と地域社会の健康に貢献する「AI for Health」を発表した。AI for HealthはAIによって研究者や研究組織を支援し、世界中の人々や地域社会の健康を向上することが目的のプログラムだ。

この発表は、マイクロソフト内のブログ(外部サイト)で公開されている。





世界中の人々や地域社会の健康向上が目的

AI for Healthは、ヘルスケア分野におけるマイクロソフトの広範な活動を補完する慈善活動のひとつ。AI for Healthを通して、特定の非営利団体や大学などと、マイクロソフトの主要なデータサイエンティストとのコラボレーション、AIツールとクラウドコンピューティングへのアクセス、および助成金などのサポートを提供するという。

注力するのは次の3つの分野。

  • 発見の探求: 疾病の予防・診断・治療を推進する医学研究を加速する
  • 世界的な医療に関する知見: 世界規模の健康危機から保護するために、死亡率と長寿に関する共通の理解を深める
  • 健康の公平性: 健康状態の不平等を減らし、人々が十分なケアが受けられるようにアクセスを改善する

このプログラムは堅固なプライバシー、セキュリティ、倫理の基盤に基づいており、重要な医療の課題に取り組む専門家との協業によって遂行されるとのことだ。なお、規模は5年間で4000万ドルとされている。

ちなみに、AI for Healthは、「Microsoft AI for Good」の5番目のプログラムだ。AI for Goodは、先進的テクノロジーにより、研究者、非営利団体、企業による、今日の社会が直面する重要課題の解決策の開発を支援する1億6500万ドル規模の取り組みだ。

医療関係におけるAI人材不足に悩まされる

マイクロソフトは、医療の課題にはAIが重要な役割を果たせる領域があると考えている。それこそ、営利目的の医療産業から軽視されていた領域において新たなソリューションの開発の加速と拡大を支援することは同社が進むべき道である、と発表内容に記されていた。

同発表では、テクノロジーによって医療の改善を見込めるとしている。

たとえば、糖尿病網膜症のスクリーニングを効率化の可能性。4億6300万人の人々が直面する課題だが、世界には眼科医が21万人しかおらず、そのリーチの拡大を支援する必要があるとされる。また、乳幼児突然死症候群 (SIDS) のケースでは、影響を受ける人口を考慮すると、営利目的企業では十分な研究投資が困難だったものの、テクノロジーによる連鎖効果によって乳幼児の全体的死亡率を低下できる可能性があるという。

これらのテクノロジーの価値を最大限に引き出すには、医療専門家を支援してくれる技術専門家との連携が必要だ。しかし、AIを専門とする職に就いている人は、過半数がテクノロジー業界で働いている。そのため、医療関連組織や非営利団体で働く者は5%以下だそうだ。世界中の医療関係の研究者は、AI関連の人材不足に悩まされている。

AI for Healthは他組織との協業により遂行されている

先にも記載しているように、AI for Healthは医療上の発見、健康に関する洞察の獲得、世界の医療の不平等の解消を目指している。マイクロソフトの業界最高レベルのAIツールと技術専門知識を活用し、他組織との協業によって遂行されているようだ。同ブログでは、現在進行中のプロジェクトが明かされた。

  • Seattle Children’s Research Instituteとの協業により、乳幼児突然死症候群 (SIDS) の原因と診断に関する研究を進めています。
  • Novartis Foundation との協業により、ハンセン病の伝染を防ぎ、根絶する取り組みを加速しています。
    失明を防ぐための初期診療に活用できる、糖尿病網膜症の総合診断ソフトウェアを Intelligent Retinal Imaging Systems (IRIS) と共同開発し、展開しています。
  • 組織横断型のデータアクセスによって癌の防止と治療を加速するブレークスルーを Fred Hutchinson Cancer Research Center と Cascadia Data Discovery Initiative と共同研究しています。
  • マイクロソフトブログより転載)

進む医療でのAI活用、大腸ポリープ検出にも

いま、医療分野におけるAI活用は日々進んでいる。

サイバネットシステム株式会社は1月29日、人工知能(AI)を用いて大腸内視鏡診断におけるポリープなどの病変の検出を支援するソフトウェア「EndoBRAIN-EYE(エンドブレインアイ)」について、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」に基づき、クラスII・管理医療機器として承認の取得を発表した。

大腸内視鏡で撮影された内視鏡画像をAIが解析し、ポリープなどを検出すると警告を発し、医師による病変の発見を補助するソフトウェア。臨床性能試験では感度95%、特異度89%の精度で病変の検出が可能で、内視鏡医の支援に足る十分な精度を達成した。

内視鏡検査に携わる医療従事者の負担を軽減させ、ポリープなどの検出率を更に高めることも狙っている。