画像はUnsplashより
米Microsoft(マイクロソフト)が故人の個人情報を使い、チャットボットを作成できる技術について特許を取得していたことが明らかになり、物議を醸している。
英インデペンデント(The Independent)の報道によると、同チャットボットは画像や音声データ、SNSの投稿、電子メッセージなどの個人情報に基づき作成できる。自分自身はもちろん、友人や親戚、知人、有名人、架空の人物、歴史上の人物なども再現できるという。
I'm looking into this – appln date (Apr. 2017) predates the AI ethics reviews we do today (I sit on the panel), and I'm not aware of any plan to build/ship (and yes, it's disturbing)
— Tim O'Brien (@_TimOBrien) January 22, 2021
一方で、米CNNが報じているとおり、Microsoftの人工知能(AI)プログラム担当ゼネラル・マネージャーを務めるティム・オブライエン(Tim O’Brien)氏は、1月23日に自身のTwitterアカウントにおいて、「私は(特許に関して)生産/出荷するという計画は認識していない」と反論した。
ティム・オブライエン氏によると、本特許を取得したのは2017年4月であり、「われわれが現在実施しているAI倫理審査より前」とのことで、物議を醸していることについては「そうだ、不穏(気がかり)だ」と理解を示している。
すでにさまざまな報道機関で言及されているが、故人を再現できるテクノロジー技術と言えば、Netflixで配信中のSFドラマシリーズ『ブラック・ミラー』におけるシーズン2の第1話「ずっと側にいて」を思い出させる。
『ブラック・ミラー』は近未来を取り扱うSFドラマで、オムニバス形式で毎回さまざまな物語が繰り広げられる。「ずっと側にいて」は、恋人のアッシュを事故で失った主人公のマーサが、恋人を再現するテクノロジー技術にのめり込んでいく、というストーリーである。次第に、マーサは生前のアッシュとテクノロジー技術による再現との細やかな差異に、違和感を覚えていく……。
ネタバレを避けるため詳しくは記さないが、同エピソードには、愛しい人間の死という避けられない現実と、AIのような革新的なテクノロジー技術による喪失感の充足、またそれにともなう違和感など、故人を再現するテクノロジーについて深く考えるきっかけとなり得る要素が詰まっている。
なお、Ledge.ai編集部でも、故人を再現するテクノロジー技術および、その賛否について、過去に詳細を取り上げている。気になる人は『ブラック・ミラー』の「ずっと側にいて」とあわせて、以下の記事もチェックしてほしい。