米マイクロソフト(Microsoft)は現地時間4月12日、医療向けのAI技術などを手がけるNuance(ニュアンス)を197億ドル(約2兆1448億円)で買収すると発表した。本買収提案はNuanceとマイクロソフト両社の取締役会において全会一致で可決されたという。買収は2021年中に完了予定としている。
マイクロソフトは業界向けクラウドを提供する取り組みを実施してきた。2020年には急速に変化するヘルスケア業界のニーズに総合的に対応することを目指し、「Microsoft Cloud for Healthcare」を発表した。今回の買収はマイクロソフトの業界向けクラウド戦略の最新のステップと言える。
マイクロソフトによると、現在、Nuanceのサービスはアメリカの医師の55%以上、放射線技師の75%以上が使用しており、アメリカ国内の病院の77%が使用しているという。2020年9月までのNuanceのHealthcare Cloudの関連収益は、同社の会計年度において前年比37%増加したとのこと。
マイクロソフトCEOのサティア・ナデラ(Satya Nadella)氏は今回の発表に際して、「Nuanceはヘルスケアの現場にAI機能を提供するというエンタープライズAIの現実的応用分野のパイオニアです。AIは最高優先順位のテクノロジーであり、ヘルスケアは最重要の応用分野です。Microsoft Cloud for HealthcareとNuanceの組み合わせにより、パートナーのエコシステムをさらに拡充し、先進的AIソリューションをあらゆるプロフェッショナルに提供することで、意思決定や連携の向上を目指していきます」と語る。
NuanceのCEOであるマーク・ベンジャミン氏(Mark Benjamin)氏は「過去3年間にわたり、Nuanceは自社ポートフォリオの合理化により、ヘルスケアとエンタープライズAI分野へのフォーカスを強めてきました。先進的な対話型AIへの需要がもっとも高まっている領域であったからです。この市場機会を獲得するために、当社はお客様やパートナーが人々と医療をより安価かつ効果的につなぎあわせられるための適切なプラットフォームを必要としていました。進むべき道がマイクロソフトとの協業であることは明らかでした」とコメントする。
同氏は続けて「マイクロソフトは、大規模なクラウドベースのインテリジェンスサービスを提供しており、テクノロジーで世界をより良くしていくという理念も当社と同じくしています。同時に、この組み合わせは、今まで両社を支援してくれた株主に対して確実に価値を提供する機会ともなるでしょう」と述べている。
NuanceのCEOであるマーク・ベンジャミン氏は現在のポジションに留まり、マイクロソフトのCloud&AI担当エグゼクティブバイスプレジデントのスコット・ガスリー(Scott Guthrie)氏の直属になる。
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