三菱電機、根拠を明示する制御AI技術を開発 推論過程のブラックボックスを解消

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三菱電機株式会社は12月14日、国立研究開発法人理化学研究所と共同で「制御の根拠を明示できるAI技術」を開発したと発表した。

多くのAI技術は計算が複雑で推論過程がブラックボックスとなるため、プラントや工場などの社会インフラ、空調機など信頼性や説明性が求められる制御分野に適用する上で大きな課題となっている。これまでは、AIが過去の学習結果と現在のセンサー値をもとに根拠を明示せずに機器を制御していたため、導入がためらわれるケースがあったそうだ。

本技術は、AIが制御した際にその根拠や将来の状態を明示し、ブラックボックスを解消することで、人が理解しやすく安心して使えるAIの実現に貢献するという。

 従来技術と本技術の比較

本技術では、AIが機器の設置環境の特性を推定することで、センサーで計測できていないシミュレーター上の物理パラメーターを特定し数値化する。シミュレーターを利用することで、理論的に意味のある物理量を段階的に計算し、この物理量を見ることで人が機器の周辺で起きている現象を理解できるという。

さらに制御対象機器のセンサー値など過去の実働データをAIが学習し、将来のセンサー値とともにセンサーでは計測できない将来の物理量が予測可能。

これにより、将来の機器の設置環境の状態変化をより正確にシミュレーション可能となり、スケジューラー上でAIが最適な制御を計画できる。制御計画とそれによる将来の状態を可視化し、AIのブラックボックスを解消することで、ユーザーが制御の根拠を理解できる。

たとえば、空調機ではセンサーが計測していない、設置環境の特性を示す部屋の大きさや断熱性などの物理パラメーターをAIが数値化。過去のセンサー値などの実働データ(部屋の在籍人数など)を学習し、将来の各時刻に出入りする人数や、センサーでは計測できていない将来の室内熱量などの物理量を予測する。

その結果、空調機が動作した場合に、設置環境の状態を表す室温がどのように変化するのかシミュレーションでき、スケジューラーが最適な制御計画(機器の稼働率など)を導く。

ユーザーは、将来の出入りする人数などのシミュレーション結果と制御計画を見ることで、制御の根拠と制御計画の妥当性を理解できるとしている。

また、AIにより今までセンサーで予測できなかった物理パラメーターや将来の物理量を予測できるようになったため、「予測したセンサー値や物理量、設置環境の状態、制御計画」と「実測したセンサー値や推測される物理量、設置環境の状態、実際に運転した制御量」が比較可能になった。

機器が正常に稼働しなかった場合、予測と実際のセンサー値の乖離を調べ、不調の根拠となっているセンサー箇所や物理量を特定し、明示できるようになった。

予定どおり制御しているにも関わらず、計画どおりの状態にならなかった場合は、機器の異常や設置環境の変化が発生している可能性があるとわかるので、早い段階でのメンテナンスや素早い復旧ができるという。

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