2017年5月23日、MicrosoftとPreferred Networksが、AIの実社会での活用促進を目的にディープラーニング分野における戦略的協業を発表しました。
さまざまなAI研究・AIソリューションでおなじみMicrosoftと、Chainer開発元でもあるPreferred Networks、この2社の協業発表は多くのニュースサイトでも取り上げられ、話題になっています。
そして、AI界隈で超有名なこの2社が立ち上げたコミュ二ティが『Deep Learning Lab』です。
でも、具体的に
- どういう目的で立ち上げられたの?
- どういう活動をしていくの?
って、ちょっとベールにつつまれている……
気になるこの2社の動き。一体どういう展開が待ってるのか?
というわけで、キックオフイベントに潜入してきました!
タイムスケジュールは下記の通り。
タイトル | 発表者様 |
---|---|
Preferred Networks と Microsoft の業務提携が意味するもの | 株式会社Preferred Networks 取締役 最高執行責任者 COO 長谷川順一 様 |
ディープラーニング技術の最新事例と導入の課題 | 株式会社Ridge-i 代表取締役社長 柳原尚史 様 |
DIMoの操作実演とSCSKが提供するプログラム | SCSK株式会社 AIビジネス推進室 課長 島田源邦 様 |
トレーニング展開のご紹介 | 日本マイクロソフト株式会社 廣野淳平 様 |
Deep Learning Labのご紹介 | 日本マイクロソフト株式会社 新井浩之 様 |
※スライドも公開されていますので、全貌が気になる方は下記URLをご覧ください。
https://dllab.connpass.com/event/57981/presentation/
本レポート記事では、なかでも「2社提携の概要」「トレーニングプログラム」「コミュニティの今後」といった部分にフォーカスしてお届けします!
技術面の連携だけじゃない。人材育成・マーケティング方面でも連携発表!
気になる2社の連携内容については、Preferred Networks 取締役 最高執行責任者 COO
の長谷川様がお話してくださいました。
MicrosoftとPreferred Networksの大型連携ですが、具体的には以下の3本の軸に連携をしていくそうです。
- テクノロジー
- 人材育成
- マーケティング
順に説明しますと……
テクノロジー
Azure上でChainerのディープラーニング環境を、ワンクリックで構築できるようにしたり、Chainer自体もWindows OSを積極的にサポートしたりしていくとのこと。
ビジネス現場ではWindowsマシンは多いですし、けっこうインパクトになりそうですね。
人材育成
随時、MicrosoftとPreferred Networksが認定したトレーニングプログラムを展開していくという発表もありました。この2社認定って、なんかもう安心感がすごいですね! ※詳細は後ほどご紹介。
マーケティング
DIMoとAzureを連携させAIビジネス活用の促進や、課題解決やマッチングの場としてのDeep Learning Labといったコミュニティ運営の分野で、協力していくとのことです。
Preferred Networksの研究成果を活かした、実務向けの製品。映像解析や異常検知といった用途で活用ができる。
これまでディープラーニング環境といえばLinux系OS一択だったので、Windows環境でつかえるようになると、AI開発に参加できる人口がかなり増えそう。
さらに技術以外の連携も注目。トレーニングプログラムとコミュニティについては、エンジニアではない方も参加できる部分です。
MicrosoftとPreferred Networksの連携によって、AI開発の敷居が下がり、一気にビジネス活用も世の中に広まっていきそうですね!
大注目! MS×PFN 2社認定の最強トレーニングプログラムの全貌
人材育成の連携については、日本マイクロソフト株式会社の廣野様から発表がありました。
ビジネスにおいても非常に大きな可能性を秘めているAIなんですが、AIを扱える人材が足りないのが大きな課題のひとつ。そこで、MicrosoftとPreferred Networksが連携し「ビジネス・経営企画」「エンジニア」「アカデミック」の3軸でトレーニングプログラムを展開していくとのこと。
詳細なスライドは下記の通り。
注目なのが、ビジネス層向けのプログラムもあるということ。
エンジニア向けのディープ・ラーニングのイベントなどってよくあるんですが、ビジネス層に向けて「ビジネス活用には、AIをこう使えばいい」ということをトレーニングしてくれるようなプログラムってほとんど聞かないですよね。
しかもこの2社認定という安心感。こういうプログラムを待ってた方、多いのではないでしょうか。
トレーニングプログラム体制については、下記のようなカンジ。
実務に携わってきた開発会社のRegde-i、SCSK、UEIといった企業も参加。アカデミックの面では、ドワンゴ人工知能研究所も参加するとのこと。
さらに、基礎だけではなく、応用・実務といったステージも用意されています。これは嬉しい!
現在よくあるハンズオンイベントって「環境構築+MNISTを学習させるサンプルコードを試しておしまい」という初歩的な部分しかやらないものも多いんですが、MS×PFNのプログラムではさらにその先の、より実務的な内容でのハンズオンを用意しているとのこと。
いや、ちょっとコレ豪華すぎじゃないですか。筆者も受講したいです……
手書きの数字を集めた有名なデータセット。学習しやすい単純なデータなので、ディープラーニングライブラリのチュートリアルでよく使われる。
さっそくトレーニングプログラムの第一弾も!
そして先日、トレーニングプログラムの第一弾がキカガクから発表されました。
こちらはエンジニア向けのプログラムとなっています。
もちろん、これだけじゃなく今後もどんどんトレーニングプログラムは公開されていくとのことなので、非常に楽しみです。
コミュニティが目指すのは、とにかく“実社会での実用”
イベントの最後には、日本マイクロソフト株式会社 新井浩之様がコミュニティの指針・今後についてお話してくださいました。
新井様が強調していたのは「とにかく実社会での実用を広める。ユースケースを集め、AI導入検討の後押しをしたい」ということ。AI活用事例をどんどん紹介していく場にしたく、Deep Learning Labで登壇してくれる企業も絶賛募集しているのだとか。
たしかに、「ビジネスの現場において、AIに何ができるか?」って、まだまだ見えてこないところです。ゆえに、AIに対して夢見がちな誤解が広まっているのも事実。
実務に寄り添った知見を得られるコミュニティの存在は、非常にありがたいですね!
さっそく、7/25(火)には第二回目のイベントが開催予定。
https://dllab.connpass.com/event/60223/
さらに今後は、ハッカソンやアイディアソンといったイベントも企画しているのだとか。ワクワクが止まらないですね!
Ledgeでは、今後も2社の動きに注目していきたいと思います。
Deep Learning Lab – Connpass
https://dllab.connpass.com/
Deep Learning Lab 事務局
dl-lab@microsoft.com