精度は90%以上、NECがAIでバレット食道を検知「非常に感銘を受けた」

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「WISE VISION Endoscopy」の画面のイメージ(プラディープ・バンダリ教授提供)。内視鏡機器から映像を入力すると画面左に表示され、解析を実行する。解析した結果、腫瘍があると判断したときには静止画を画面右上に表示し、画面右下にはAIが予想したエリアをヒートマップとして表示する。

日本電気株式会社(NEC)は5月28日、AIによる内視鏡画像解析で、バレット食道に発生する腫瘍(しゅよう)を検知する技術を開発し、ヨーロッパの安全規格であるCEマーク表示の要件に適合したと発表。臨床評価の結果、本技術を搭載したAI診断支援医療機器ソフトウェア「WISE VISION Endoscopy(内視鏡画像解析AI/※)は90%以上の腫瘍を検出できたという。

(※)WISE VISION Endoscopyは主要内視鏡メーカー3社の内視鏡に接続可能。既存の内視鏡と本ソフトウェアを搭載した端末およびモニターを接続するだけで、すぐに利用開始できる。病変候補を通知音で伝え、通知音の種類や音量は利用者の好みにあ合わせていつでもカスタマイズ可能。視認性の高いユーザーインターフェースで直観的に操作でき、専門医はストレスなく検査を進められるとしている。

NECは欧州消化器内視鏡学会(European Society of Gastrointestinal Endoscopy)研究委員会委員長である、イギリスのプラディープ・バンダリ(Pradeep Bhandari)教授と連携し、100万枚以上のバレット食道の内視鏡画像を専門医の所見とあわせてAIに学習させた。腫瘍候補を検査中に検出するAI技術を開発し、製品としてCEマーク表示の要件に適合した。製品としてCEマーク表示の要件を満たすのは世界初とされる。

NECは「WISE VISION Endoscopy」に本技術を搭載し、今年中にヨーロッパにおいて発売する。本ソフトウェアは既存の内視鏡機器に接続することで、内視鏡検査時に撮影した画像からAIが腫瘍候補をその場で検出し、内視鏡医による腫瘍の発見を支援するという。

バレット食道は、食道の粘膜が胃の粘膜に似た組織に置き換えられてしまう病気で、食道がんを患う危険性が高くなるという。バレット食道の有病率は世界人口の約1%、胃食道逆流症を持つ人では約7%にのぼり、発がんリスクは30~40倍になると言われている。

バレット食道に発生する初期の腫瘍を摘除することで、進行がんの発症を防げるため、罹患者には定期的に内視鏡検査受診を推奨している。しかし、初期の腫瘍は病変としての特徴が軽微であり、内視鏡での発見が難しいとする。

欧米では無作為に実施する生体検査(ランダム生検)を標準の検査方法としている。だが、コストと時間がかかり患者の負担も大きいため、順守率が30~51%と推測される。その結果、最大40%のがんを見逃す可能性が指摘されている。

プラディープ・バンダリ教授は「AI技術の世界的リーダーであるNECが内視鏡分野に参入し、消化器病変の検知と対処を助ける『WISE VISION』を開発したことをうれしく思っています。バレット食道腫瘍は非常に平坦で、複数回の生検を実行しても内視鏡検査中に見逃されやすいものです。NECと共同で『WISE VISION』」のバレット食道腫瘍検知AI技術を開発しました」とコメント。

続けて、「これはバレット食道腫瘍検知としてCEマークを取得した世界初のAI技術であり、NECが実用化したスピードに非常に感銘を受けました。『WISE VISION』は、非常に平坦で捉えにくいバレット食道病変を検知でき、かつ、ほとんどの内視鏡医よりも先に検知します。『WISE VISION』は、バレット食道病変の内視鏡での検知と対処に革命をもたらすものです。内視鏡医たちはこの新しい“WISE”な時代の幕開けを楽しみにしていることでしょう」と述べている。

なお、本技術は英国消化器病学会(British Society of Gastroenterology、BSG)のGut Awardを受賞し、BSG Campus内のプレナリーセッション(全体会議)で発表された。欧州消化器病学会(United European Gastroenterology)2020では内視鏡に関する最優秀研究発表にも選出された。

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