トマトの収穫量を平均の約1.3倍 熟練と同等にするAI、環境が異なる状況でも安定した収穫量を実現

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画像はUnsplashより



日本電気株式会社(NEC)とカゴメ株式会社は6月7日、人工知能(AI)を活用する農業ICTプラットフォーム「CropScope」を強化し、これまでとは異なる環境下での検証でも安定した収穫量を実現可能になったと発表した。

「CropScope」は、センサーや衛星写真を活用したトマトの生育状況や圃場(ほじょう)環境(土壌の状態)を可視化するサービスと、AIを活用して営農のアドバイスをするサービスで構成している。

生育中のAI営農アドバイスサービス適用圃場

営農プランにAI営農アドバイスが土壌水分の傾向や今後の予測から適量を示唆

熟練栽培者のノウハウを習得したAIが水や肥料の最適な量と投入時期を指示するため、加工トマト生産者は栽培技術の良し悪しにかかわらず、収穫量の安定化と栽培コストの低減が期待できるとする。

実際、NECとカゴメが2019年にポルトガルの圃場で実施した営農実証試験では、窒素肥料は一般平均量の約2割の投入量で、ポルトガル全農家の平均収量の約1.3倍であるヘクタールあたり127トンの収穫量を実現した。熟練栽培者の栽培とほぼ同等の結果とされる。

今回、両社は2020年に、オーストラリアのカゴメ子会社(KAGOME Australia Pty Ltd.)と共同で「CropScope」の実証試験を実施した。オーストラリアはこれまで本プラットフォームを適用してきたポルトガルとは土壌や品種、灌漑設備など栽培条件が異なる。

そのため、両社は地下灌漑(かんがい)での土壌水分シミュレーションやオーストラリアでの熟練栽培者のデータを学習し、分析手法などを強化した。これにより、北半球から南半球まで、環境が異なる状況下でも熟練栽培者と同等の収穫量を実現可能になったという。

土壌水分変化などの圃場異常を通知する機能

圃場間のデータ比較分析画面

また、本プラットフォームを活用する世界各国の大規模生産現場ユーザーの声をもとに、土壌水分変化などの圃場異常を通知する機能、営農判断の優先順位を圃場毎にリスト化してデータをシンプルに表現する機能、蓄積データを活用して営農改善や振り返りに活用できる圃場間比較分析機能などを搭載した。

NEC 執行役員 兼 コーポレート事業開発本部長の中島輝行氏は「NECはカゴメとの戦略的パートナーシップにおいてトマト市場でのデジタル化を広めながら生産現場の抱える課題に寄り添い、NECの得意とするAIを活用した営農アドバイスの汎用性を高め『CropScope』を強化してまいりました。NECは地球規模で広がる気候変動や食の安全をめぐる社会課題に対し、対応作物や地域を広げ、サステナブルな農業を実現します」とコメント。

カゴメ株式会社 スマートアグリ事業部長の中田健吾氏は「当社は、グローバルでの加工用トマトの栽培において、環境に優しく収益性の高い営農の実現を目指しており、2020年よりNECの最先端技術を活用して共同開発したAI営農支援ツール『CropScope』を広めております。21年4月に本ツールをリニューアルしてソリューション力を強化しました。これからさらに、生産者が抱えている営農現場の課題の解決を加速させ、サステナブルな農業の実現を目指します」と述べる。

両社は今後、主に欧州や米州などのトマト一次加工品メーカーやトマト生産法人に向けた提案を強化すると意気込んでいる。

>>ニュースリリース「NECとカゴメ、豪州での実証成果を踏まえ、農業ICTプラットフォーム「CropScope」を強化」(2021年6月7日)

>>ニュースリリース「NEC、カゴメとグローバル加工用トマト市場における戦略的パートナーシップ契約を締結」(2020年3月31日)