NEC、衛星SARとAIを活用して橋のたわみをミリ単位で発見する技術を開発

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画像はUnsplashより

日本電気株式会社(NEC)は7月6日、衛星SAR※を用いたリモートセンシングとAI技術を組み合わせることで、橋の「異常なたわみ」をミリ単位の精度で検知し、橋の崩落につながる重大損傷を発見する技術を開発したと発表した。
(※)衛星SAR:地球を周回移動する衛星の動きを用いて、レーダアンテナの大きさ(開口長)を実質的に巨大化することにより、高解像度なレーダ画像を得る技術。例えば、NECの小型レーダ衛星ASNARO2では地上数百キロの高さから解像度1m程度の高精細な画像を得ることができる。

本技術は、衛星を利用したリモートセンシングで得られた変位データと橋の構造や気温の変化を独自AIに学習させることで、橋の変位予測モデルを作成する。

変位予測モデルを用いて、点検期間にリモートセンシングで得られる変位データを分析することで、重大事故につながる可能性のある垂れ下がりなどの異常なたわみを発見できるという。

背景

現在、国内では経年劣化が進行する橋など道路構造物において、5年に1度の定期点検が義務化されている。しかし、全国72万の橋を点検する必要があるため、担当する専門家の人員が不足しており、点検の効率化や代替手段となる新技術が求められている。

橋は構造や温度などによる影響を受けやすく、従来は異常性を見つけるための閾値を設定することが困難だった。特に橋のたわみは、数ある点検項目のなかでも特に発見が難しかったという。

リモートセンシングとAIを組み合わせることで、目視では気付きにくい程度の異常なたわみを検知でき、近接での目視点検が困難な河川・海・谷などに架かる橋の点検業務を効率化する。

本技術について

リモートセンシングで得られる変位データをNECの独自AIが解析し、橋の変位予測モデルを作成することで、”いつもの状態”を理解し、予測から大きく外れる変位がある場合にいつもと違う「異常なたわみがある」と見なす。

また、定期点検の期間外において、橋の異常なたわみの有無を継続的に遠隔から確認し、異常なたわみがある橋を優先的に点検できるようになる。

変位予測モデルは、橋の長手方向の位置によって異なる変位値をまとめて扱うことで、橋全体に対する異常なたわみの閾値を簡単に設定できるという。

評価事例 崩落事故の予兆と考えられる水管橋の異常変位を検知

2021年10月3日に和歌山県の六十谷水管橋が崩落したことを受けて、同社は六十谷水管橋を撮影した崩落前2年間の衛星SAR画像を入手し、本技術を使って崩落前の六十谷水管橋の変位を過去にさかのぼり評価した。

その結果、崩落個所において崩落1年前から他径間と比較して1.5倍程度の大きさの崩落の前兆現象と考えられる変位が継続して観測されることがわかった。これにより、橋の崩落がわかるという。

NECは、本技術を強化し、2025年度を目標に、橋の管理者や点検従事者向けの製品化を図るとともに、橋を含むインフラ施設管理全般のDX推進に取り組んでいくとしている。

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