練馬区は2023年3月27日、富士通Japan株式会社と共同で、住民税と国民健康保険料の滞納整理にAIシステムを活用する2つの実証実験を開始すると発表した。滞納者の財産調査業務へのAI活用は、全国で初となるという。
住民税等の滞納整理ではベテラン人材の不足が課題
住民税等の滞納整理では、滞納者の所得や資産等の有無を見極めるため、地方税法に基づきさまざまな財産調査を行っている。滞納者の過去の調査履歴等の多岐にわたる情報を整理して、調査先を的確に絞るにはベテラン職員が持つノウハウの活用が不可欠だ。しかし職員は3年から4年で人事異動することが多く、ベテラン人材の不足が課題だった。
そこで練馬区は富士通Japan株式会社に働きかけ、ベテラン職員のノウハウ等をAIに学習させ、最適な調査候補をAIが瞬時に提示するシステムを開発することとなった。システムの活用により、調査先の選定時間の大幅な短縮等、経験が浅い職員でもベテラン職員と同等の成果が得られることを目指すとのこと。
これに加え、富士通株式会社が研究開発する職員の習熟度に応じて滞納案件を振り分けるAIを用いた案件マッチング支援システムも活用する。職員が習熟度に適した案件を担当することで、収納業務全体の効率化と底上げにつながるかを検証するという。
4億円以上の徴収効果を目指す
練馬区では実証実験の結果を踏まえ、住民税等の収納率と徴収額を向上させ、4億円以上の徴収効果を目指し、住民間の税負担の公平性を高めていくという。富士通Japan株式会社は今回の実証実験の知見をもとに、サービス化し全国展開を目指すとのこと。
共同実証実験の概要
(1) 財産調査先候補の最適化(共同実証実験Ⅰ)
滞納者の所得や税務情報、過去の調査履歴等のデータと、ベテラン職員の財産調査の進め方をAIに繰り返し学習させ、調査先とすべき銀行や保険会社等の候補を提示する支援システムを開発する。これにより、滞納案件1件あたり職員が平均約30分要していた調査先を決める判断を、約5分に短縮することを目指す。
(2) 調査の難易度と職員習熟度のマッチング最適化(共同実証実験Ⅱ)
難しい案件ほど調査時間や作業工数がかかることから、過去の財産調査の作業記録をもとに、調査時間や作業工数の相関関係をAIに学習させる。案件の難易度と職員の習熟度をAIが推定し、職員の習熟度から作業効率や負担を考慮して案件の割り当て候補を提示することで、職員ごとの業務効率の最適化を目指す。
【 スケジュール 】
効果測定:令和5年3月27日から令和5年6月末まで
検証と考察:令和5年7月から令和5年9月末まで
■練馬区 収納課長 北原 豊
電話:03-5984-5819
■富士通Japan お客様総合センター
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受付時間:9時~12時、13時~17時30分(土曜日・日曜日・祝日ほか当社指定の休業日を除く)
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