I love how today has been reclaimed as a day of celebration 🙂 Thank you all for your support. I'm gonna write a thread right after this talk at @WomeninAIEthics
This is what I plan to be working on for a while: https://t.co/8eAAiq64JX, which you can also follow @DAIRInstitute
— Timnit Gebru (@timnitGebru) December 2, 2021
米Google(グーグル)の元・倫理的AIチームの共同リーダーで、2020年12月に同社を解雇されたティムニット・ゲブル(Timnit Gebru)氏がその1年後にあたる2021年12月、世界的に支配力をもつIT企業に対抗することを目的としたAI研究機関「Distributed Artificial Intelligence Research Institute(DAIR)」を設立することを発表した。ゲブル氏は利益よりも倫理や個人の幸福を優先する環境の構築を目指す。
DAIRによると、ゲブル氏は世界中の研究者が議題を設定でき、彼らのコミュニティや生活体験に根ざしたAIの研究ができる独立空間の必要性を感じている。AI技術が及ぼす被害は予防でき、多様な視点と慎重なプロセスでAIが生産・展開されればAIは人々に敵対することはなく、人々のために働くようになるとも主張している。
同研究所は、フォード財団(Ford Foundation)やマッカーサー基金(the John D. and Catherine T. MacArthur Foundation)などから資金援助を受けている。これらの財団らは、公益のためにITを活用することに焦点を当てた新興分野の構築に取り組むゲブル氏などの個人や組織を長年にわたり支援している。財団らはDAIRがより多くの公益技術者を呼び込み、包括的で公平な技術を目指す運動をさらに発展させる機会になることを期待しているという。
ゲブル氏は「AIを地に足が着いたレベルに引き戻す必要があります。AIを現実に引き戻す必要があります。AIは超人的なレベルまで高められ、必然で、人間の制御を超えていると信じられています。AIの研究や開発、配備が最初から人々とコミュニティに定着すれば、こうした危険を防ぎ、公平性と人間性を重んじる未来をつくれます」と述べている。
ゲブル氏はスタンフォード人工知能研究所(スタンフォードAIラボ、SAIL)の出身で、AI倫理研究の第一人者である。
とくに、米マイクロソフト研究所(Microsoft Research)に所属していた2018年には、マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者であるジョイ・ブオラムウィニ(Joy Buolamwini)氏と共同研究した、AIによる顔認証が白人男性では高い精度を発揮できるものの、アフリカ系(黒人)などの有色人種では精度が低くなってしまうことを明らかにした論文が大きな話題となった。
ところが、ティムニット・ゲブル氏は2020年12月、自身のTwitterアカウントで、同社に解雇を通告されたとツイートした。
ゲブル氏はグーグルの従業員4人を含む計6人とともに、同社の自然言語処理モデル「BERT」のような、大規模な言語モデルの倫理的な問題を取り扱う論文を共同執筆していた。ティムニット・ゲブル氏は上司から論文の撤回を求められ、同僚らに送るメールのなかで状況を説明したところ、グーグルから解雇されるにいたったとされる。