日本経済新聞、AIが生成した人物で動画を制作 数日〜10日程度かかる作業がわずか1日に

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AIが自動生成したバーチャルヒューマンの例

株式会社日本経済新聞社は10月4日、同社の研究開発組織である日経イノベーション・ラボにおいて、データグリッドと共同で、AI(人工知能)が生成した人物(バーチャルヒューマン)を用いて動画を制作するシステムを開発したと発表。AIが作り出した実在しない人物や実在する人物をベースに、自由に発話する内容を指定し、動画を制作できる。

人物をキャプチャーしてCGを作る従来の手法とは異なる技術で、AIに人間の写真の特徴を学習させ、より自然な人物データを自動生成することを可能にした。人物データに対して、入力した音声データにあわせて自然な形で唇の形を生成するリップシンク技術、表情を変化させる技術を組み合わせることで、バーチャルな人物ながらも写実的な動画を作成できる。

リップシンクは入力する音声データの言語を問わずに多言語に対応している。本技術により人種、年齢、性別、言語を問わない多様性のあるバーチャルヒューマンを利用できるという。

従来のCGから人物を制作する手法では専門家が時間をかけてCGを制作する必要があった。これまで人物を撮影し、3Dモデリングや音声を収録して動画を作成する場合、最低でも数日〜10日程度、高い品質を求める場合は数カ月の時間が必要だった。本システムを利用することで、1日で動画を制作可能になる。

本システムでは写真や動画を用意することで、実在する人物をもとにして自由な動画を制作可能。実在する人物の顔のみをバーチャルヒューマンにも置き換えられる。将来は自分の動画をアップロードし、自分のデジタルアバターを生成することも可能になる予定という。

今回、日本経済新聞社は若手社員約160人にAIで顔写真を利用することに同意を得て、若手社員の中間的な特徴を持つ男女のバーチャルヒューマンを作成した。本システムは日本経済新聞社グループ内で利用開始する。報道での利用やオンラインイベントの司会など、さまざまなシーンでの利用を想定している。

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