熟練医師の視診を再現 AIを搭載した新医療機器「nodoca」が製造販売承認を取得

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アイリス株式会社は4月26日、咽頭カメラを含むAI搭載システムnodoca(ノドカ)の製造販売承認を取得した。

nodocaは、咽頭(のど)の画像と診療情報をAI解析し、インフルエンザ感染症に特徴的な所見等を検出することで同感染症の診断に用いることができる。

本システムのAIアルゴリズムは、1万人以上の患者から収集した50万枚以上の咽頭画像を元に開発されている。また、AI解析に適した咽頭画像を撮影するための咽頭撮影専用カメラを独自に設計・開発しており、口腔内・咽頭を鮮明に撮影できる。

対応疾患は「国民的感染症」ともいわれるインフルエンザ感染症だ。

インフルエンザ濾胞(ろほう、患者特有の喉の奥に見られる症状)がインフルエンザ感染症の診断に有用であることは知られていた(※)が、インフルエンザ濾胞を視診で見分けるには熟練の医師による診察が必要とされていた。
宮本 昭彦, 渡辺 重行, 咽頭の診察所見(インフルエンザ濾胞)の意味と価値の考察.日大医学雑誌72巻(2013)1号 p.11-18より

そこで、熟練医の視診をAIで再現することを目指し、nodocaを開発した。

nodocaは今回、「新医療機器」として厚生労働大臣による承認を取得した。AIを搭載した医療機器が新医療機器として承認された日本初の事例となった。

医療機器の製造販売の年間承認件数は約1100件だが、そのうち新医療機器の承認件数は年間約20件程度で、日本国内で開発された新医療機器は年間わずか2〜3件程度だ。アイリス株式会社は機器本体・AIともに日本国内で自社開発しているという。

現在はCOVID-19をはじめとする複数の疾患について、大学病院を含む医療機関と共同研究を進めており、今後は論文化・学会発表を通じて研究成果の還元や、製品化による医療現場への貢献をめざすとのことだ。

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