株式会社Novera(ノベラ)は6月13日、AIを使って画像を分析する画像認識の分野において、学習時間の短縮と、高精度化および汎化性能の向上を実現できるブレイクスルー技術「CNN層追加学習法」の特許を取得したと発表した。
本特許技術は、AIの精度向上の鍵を握る教師データのモデル作成にあたり、モデルをゼロから作成するのではなく、学習済みモデルのパラメータを活用することで、AI学習コストを抑えながら効率よく精度アップを図れると同時に、高度AI人材を必要としないところがブレイクスルーのポイントだ。
Noveraによれば、本特許技術が社会に実装されることで、日本がこれまで培ってきたノウハウや技術のAI化が大きく進むという。たとえば、日本が強みを持つ農業や製造業、伝統工業に活用すれば、人手不足や技術継承に悩む産業の解決策になるとのこと。
AI活用の課題「コスト」「精度」「人材不足」を解決する?
AIの社会実装には、多くの日本企業において「社内にAIの専門家がいない」という課題がある。そのためデータを集める環境が整っていても、「何を目的に」「どのようにデータを集めるのか」を設計できず、AIを活用して新たなビジネスに発展させていくことが難しい。また、AIの専門性と企業のビジネスに深い理解を持つ外部パートナーとともにデータを利活用していくことで、企業が持つノウハウや価値がはじめてAI化されるが、そのようなパートナーを見つけることは容易ではない。
たとえば日本の化粧品業界の美容スタッフは、肌に関する知識やノウハウに長けているが、その価値は、直接肌を診てもらいアドバイスを受けることでしか享受できなかった。
それを解決するのがAI技術であり、NoveraのAI技術と蓄積された経験を組み合わせることで、時間と場所を選ばず、非接触で、誰もが価値を受けられるようにする、としている。
Noveraは、今回取得した特許技術「CNN層追加学習法」により、AIの社会実装をさらに推進できる、とする。本特許は、AIの社会実装の大半を占める画像認識AIの分野において、画像分類モデルの学習時間の短縮と、高精度化および汎化性能の向上を実現できる基幹技術であり、本技術を使えば、エンジニアがいなくても、多額のコストをかけずに、AIモデルの開発ができるという。AI活用に置いて長年課題とされた「コスト」「精度」「人材不足」を解決する技術ともいえるだろう。
本特許取得に関して、株式会社薬王堂 取締役常務執行役員 営業本部長の西郷孝一氏は、以下のようにコメントしている。
AIで小売業は大きく変わると思い、優秀なメンバーと先進的な特許を持つNoveraさんとの協業に力を入れてまいりましたが、その仮説が正しかったと実感しています。さらに今回のブレイクスルー特許を活用することによって、リアル店舗でのお客さまや商品の動きの解析など様々な部分で革新が起きると思います。
この革新で当社もさらにお客様、お取引先様、従業員などの課題解決や価値の提供を進めていきたいと思います」
株式会社Novera 代表取締役CEOの遠藤国忠氏は、以下のようにコメントしている。
これをAI化できたことにより、多くの方々が時間と場所を選ばずにプロレベルの診断を受けられるようになりました。
しかし、肌のプロの方々の目に近づけるための精度上げは苦労の連続で、工夫が必要でした。そこで活用したのが今回の特許技術になります。
美容に限らず様々な分野において本特許を活用することで、日本の持つ素晴らしいプロの技術をより多くの方や世界に向けて提供できるようになれば幸いです」
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