“人・社会・地域・環境に配慮し、支え合う”エシカル消費はもはや一部の人だけが使う言葉ではなくなり、環境に配慮するメッセージを発信する企業も増えている。今年の4月から発足された東証プライム市場の上場企業には「気候変動によるリスク情報」の開示が義務づけられた。
そんな中、日本全体の発電量の約1%を利用しているというNTTグループは「NTT Green Innovation toward 2040」を掲げ、2030年度にグループ全体の温室効果ガス排出量を2013年度比で80%削減し、2040年度にはNTTグループのカーボンニュートラルを実現すると発表した。
本稿は、Ledge Webinarで無料公開されている動画「脱炭素社会を実現するグリーントランスフォーメーション(GX)とDXの融合による、これからの企業のIT戦略について」の見どころを紹介していく。
NTTコミュニケーションズ株式会社ソリューションサービス部イノベーションオフィサー 熊谷彰斉氏
NTTコミュニケーションズにて、業務アプリケーションのSE/PM業務、コンタクトセンター業界向けのSI業務およびクラウドサービスの企画、AI事業「COTOHA」の立ち上げ業務に従事。その後、LINEにて、 AI事業「LINE CLOVA」「LINE AiCall」のAI事業の立ち上げを実施。 現在はNTTコミュニケーションズにてGXおよびHR領域の新規事業の立ち上げに従事している。
株式会社ゼロボード 代表取締役 渡慶寺道隆氏
JPモルガン・三井物産を経てA.L.I Technologies社へ転職。2021年に同社のエネルギーソリューション本部をMBOし、株式会社ゼロボードを設立。東京大学工学部卒、CMS(日本証券アナリスト協会認定アナリスト)、CFA(米国証券アナリスト)
データセンターの空調エネルギー消費が従来の4割に
国内GX市場は2021年度は4900億円、2025年には1.1兆円にのぼるとも言われており、NTTコミュニケーションズでもCO2排出を抑える移動手段の提案サービスの開発や、通信設備のGXを進めているという。最先端のデータセンターでは、外気冷房システムによる省エネ(従来の平均的な空調設備の60%程度を削減)や、AIによる自動空調制御システム、太陽光パネルによる発電といった低炭素化技術を導入している。
以下の記事では、同社の脱炭素の取り組みがより細やかに紹介されているのでご覧いただきたい。
渡慶寺氏は、「DXがGXに関わっていくようになる」と主張する。
ESGではCO2排出量に限らず、児童労働や人権侵害問題も、サプライヤー単体ではなく最終メーカーの責任として問われはじめています。製造経路をトラッキングするブロックチェーンなどのデジタル技術の発達と寄与という意味で、DXはGXにも深く関わっていくと思います」
GXは会社のPLに貢献するか?
一般消費者はすぐにでもCO2削減に向けた行動ができる一方で、企業側の対応はそう簡単ではない。さまざまな企業の支援に携わる熊谷氏と渡慶寺氏は、今後の企業とGXの関係をこう話す。
今後、日本でも有価証券報告書にCO2排出量を開示していく流れができると思います。『他の企業と同じようにすればいいや』ではなく、各企業が環境への配慮を企業の成長に落とし込んでいかないと、経営陣が株主から糾弾されるようになってくるでしょう」
動画はこちら
他にも動画では、はじめてGXに取り組む企業がとるべきアクション、中小企業がGXに取り組む余地・メリットなどが語られている。少しでも興味を持たれたという方はぜひ動画を見てみてほしい。
■タイトル
脱炭素社会を実現するグリーントランスフォーメーション(GX)とDXの融合による、これからの企業のIT戦略について
■概要
昨年10月に「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」と政府が発表を行い、また、グローバルでのESGへの取り組みの高まりもあり、現在、各企業が進めているDX戦略に合わせて、企業成長と環境対応を両立する総合的なIT戦略が必要不可欠になってきています。
環境問題へ対応するグリーントランスフォーメーション(GX)とDXの総合的など取り組み方など、環境問題へのITの活用方法と今後のGX/DXの潮流をパネルディスカッションにより探っていきます。