「AIでタバコのポイ捨て監視したろ!」大阪の会社がアイデアを考案

このエントリーをはてなブックマークに追加

沖電気工業株式会社(OKI)は9月3日、「​​AIエッジ・カンファレンス&ソリューションコンテスト2021」の予選をオンライン開催した。

本コンテストは、OKIのAIエッジコンピューター「AE2100」を使い、さまざまな業種における社会課題を解決するためのアイデアや技術を競う。本コンテストの本選には賞金が設定されており、1位に200万円、2位に100万円、3位50万円が贈られる。メディア露出などの副賞もある。

予選では12月15日に開催予定の本選への出場を賭け、出場企業19社/22チームがグループA(Smart City)/グループB(Manufacturing)/グループC(Technology)に分かれて、プレゼンテーションを実施した。審査は応募書類とプレゼンにより実施する。

審査員はグループごとにOKIの社員それぞれ5名が担当した。特別審査員にはテンソル・コンサルティング株式会社 代表取締役会長 藤本 浩司 氏、国立大学法人 名古屋工業大学 准教授 大塚 孝信 氏、中央大学研究開発機構教授 AI・データサイエンス社会実装ラボ 石橋 雄一 氏を迎えた。

この記事では、予選を勝ち抜いた11社/11チームのソリューションのなかから、Ledge.ai編集部が読者のみなさまに注目してほしい3社/3ソリューションを紹介したい。

「AIでタバコのポイ捨て監視したろ!」大阪の会社がアイデアを考案

東亜無線電機「非喫煙エリアでの喫煙者・ポイ捨て監視」

幅広い意味での都市の抱える課題解決を目指すアイデアや技術を競うグループA(Smart City)において予選を勝ち抜いた4社/4チームのなかで、Ledge.ai編集部として紹介したいのは大阪府大阪市に所在地を置く販売商社、東亜無線電機株式会社が考案した「非喫煙エリアでの喫煙者・ポイ捨て監視」だ。

本ソリューションでは、喫煙者監視映像をAE2100でリアルタイム解析する。喫煙者を検出・識別したうえで、非喫煙エリア内かどうかなどを検出。非喫煙エリアで喫煙者を検出した場合は、スピーカーや表示板との連携で注意を喚起し、ルールの徹底を支援できる。

タバコのポイ捨ては身近な範囲の問題だけではなく、タバコ由来の有害物質は地球環境に悪影響をおよぼす。吸い殻からはニコチン以外にヒ素、重金属類などの有害物質が検出されている。本システムにより、SDGs(持続可能な開発目標)に掲げられる「すべての人に健康と福祉を」「住み続けられるまちづくりを」といった目標の達成にも貢献する狙いだ。

ただし、本ソリューションは非喫煙エリアで喫煙をした人の映像を解析し、街中の大型ビジョンでリアルタイム画像配信し、SNS配信で非喫煙エリアでの喫煙回数が多い人を順番に表す「週間ランキング」を発表して「さらす」ところまでアイデアがおよんでおり、この点は賛否が分かれるだろう。

質疑応答のなかで審査員を務めるOKIの社員からは本コンテストは応募要件の1つとして「OKIグループAI原則」に則ったものを求めているため、非喫煙エリアでの喫煙者を「さらす」ところまで実施すると、本原則に反する可能性があると指摘していた。東亜無線電機は予選を勝ち抜いたものの、本選までにこのアイデアだけは見直す必要がありそうだ。

AIが豚のくしゃみ・せきで呼吸器系疾患の兆候を検出

Hmcomm「異音検知ソリューション」

製造分野でのアイデアや技術で競い合うグループB(Manufacturing)において本選に進んだ3社/3チームのなかで、Ledge.ai編集部として注目してほしいのはHmcomm株式会社が考え出した本コンテストではめずらしく音声データに着目した「異音検知ソリューション」だ。

本ソリューションでは、マイクで集音した音声データをAE2100でリアルタイム推論する。事前に学習した「正常音」と異なる音や「特定の異音」を検出し、ユーザーや業務アプリケーションに通知することで、検査の省人化・品質安定化・スピーディな異常対応を促進できる。

本ソリューションの興味深い点はユースケースとして機械の異常検知・品質検査だけではなく、豚のくしゃみ・せきを検知することで、呼吸器系疾患の兆候を検出するというユースケースも挙げていることだ。

これまでも豚の吸器系疾患の兆候は熟練者がくしゃみ・せきから判断していたことはあまり知られていないが、本ソリューションでは熟練者以外でも時間や場所を問わず、豚の吸器系疾患の兆候を把握可能になる。

本ソリューションが実現すると、将来的にはヒト・動物の遠隔聴診も可能になるかもしれない。本コンテストにはさまざまな魅力的なソリューションのプレゼンがあったが、本ソリューションはもっとも将来性を感じさせるものの1つだと言えるだろう。

AIでオムツ内にあるのが「尿」か「便」かを区別

東海エレクトロニクス「”におい”の見える化による予防保全・見守り」

テクノロジー分野でのアイデアや技術で勝負するグループC(Technology)において予選を勝ち抜いた3社/3チームのなかで、Ledge.ai編集部として紹介したいのは東海エレクトロニクス株式会社がプレゼンした、においに着目する「”におい”の見える化による予防保全・見守り」だ。

本ソリューションでは、医療分野や介護分野においてオムツの「においの持続性」をAI判定し、「尿」か「便」かを区別できる。継続的にデータを収集することで、排泄(はいせつ)のタイミングを予測し、トイレへの誘導介助も可能になる。

日本のような少子高齢化社会が抱える社会問題にテクノロジーを活用して解決しようとしており、本ソリューションは極めて重要なものだと言えるだろう。以前から、病院内では離床事故が問題になっていた。なぜ離床するのか動機を確認すると、トイレに行くためということが多かった。トイレに行く理由は「オムツ内が気持ち悪いから」「恥ずかしくて自分で交換したいから」などだ。

本ソリューションを活用することで、離床事故を防いでオムツを付けている人に不快な思いをさせずに、オムツを素早く交換できる。現在はまだオムツは関係ないと感じている人でも、いずれは年を重ねてオムツが必要になる可能性がある。本ソリューションは少子高齢化社会の現実に向き合ったものと言える。

本ソリューションにはオムツ以外にも、工場などプラント設備においては振動や異音などの発生から耐久による摩擦などの熱、焼き付きが発生し、焦げ臭くなるため、新しい変化点での発見を実現するといった活用例もある。ますます今後の取り組みに期待が高まる。

本選は12月15日に東京ポートシティ竹芝 ポートホールで開催予定

OKI ソリューションシステム事業本部 IoTプラットフォーム事業部 事業部長 西田 慎一郎 氏

OKI ソリューションシステム事業本部 IoTプラットフォーム事業部 事業部長 西田 慎一郎 氏は閉会挨拶のなかで、「コンテストにご参加の各社の皆さま、応募のご検討やその後の準備など、大変力を注いでいただいたと感じています。本日のソリューションの紹介を拝見して、魅力的で興味深い内容に尊敬と感謝の念を強く感じている次第です」とコメント。

西田 慎一郎氏は「これからもOKIの活動、パートナーさまの活動を掛け合わせて、世の中の課題の解決に向けてより広く深く活動していくことを進めていきます」「それでは、本選の場でまたお会いしたいと思います」と、視聴者にメッセージを送った。

AE2100を使い、さまざまな業種における社会課題を解決するためのアイデアや技術を競う本コンテスト。12月15日に東京ポートシティ竹芝 ポートホール(予定)で開催される本選にもぜひ注目してほしい。