OKIとNTT Com、製造業のDX支援に向けた事業共創開始 データを一元管理・分析で社内外のリスクマネジメントを実現

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沖電気工業株式会社(以下、OKI)とNTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)は3月10日、製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援するソリューション提供に向けた事業共創を開始することを発表した。

近年、多発する自然災害やセキュリティインシデント、労働人口の減少、設備の老朽化など、製造業を取り巻くリスクは多様化している。さらに、新型コロナウイルス感染症による需要・受注の急激な変動で調達や物流への影響が出るなど、サプライチェーン全体のリスクマネジメントの精度向上も求められている。

高度なリスクマネジメントの実現には、多種多様なデータを収集し、適切に管理・分析することが重要だ。しかし、ITとOT(制御機器を制御し運用するシステムやその技術)のデータは別々に管理されているケースが多く、さまざまな角度から複合的にリスク要因を分析する上での課題となっている。

今回の協業では、このような課題を受けて、OKIの製造DXソリューション「Manufacturing DX」とNTT Comのデータ利活用基盤「Smart Data Platform(以下、 SDPF)」を連携する。これによって、ITとOTのデータを一元的に管理・分析し、サプライチェーン全体にわたる社内外のリスクマネジメントを実現するソリューションの提供を4月から開始する。

本ソリューションは、実施内容を段階的に高度化する。1段階目では、「Manufacturing DX」を活用し、生産数や不良品率など、自社工場の状態を示す工場KPIを収集する。販売・生産計画やその実績といった全社KPIとともに、収集したKPIを「SDPF」上に収集・可視化する。

2段階目では、1段階目に加えて、サプライヤーの生産状況や外部データにもとづくサプライヤーの評価(社外KPI)も考慮し、社内外に潜む生産性や品質悪化、事業継続性などのリスクを確認可能にする。

本ソリューションの導入例として、以下のような用途があげられる。

  • 調達部門:発注前にサプライヤーを評価し、最適なサプライヤーへ発注する
  • CSR部門:サプライヤーのリスク状況を確認する
  • 経営層:社内外のリスクを把握し、すばやく対策を決定する
  • 生産管理部門:物品調達や不良在庫のリスクを解消する
  • 生産現場(工場長):生産の効率化と品質向上を促す

また、サプライヤーに対しては、自社のリスクへの対策状況をアピールし、本ソリューションの導入企業との信頼関係を強化できる。消費者は製品購買時に原料調達・製造・流通の各フェーズで納期遅延などのリスクに配慮している製品を選択し、必要な製品を必要なタイミングで入手できるようになる。

今回の協業の役割として、OKIは工場DXにおけるノウハウ提供や「Manufacturing DX」を活用したOTデータの収集システムを構築する。NTT Comはビジネスコンサルティングや「SDPF」をはじめとする分析ソリューションを提供する。

両社は4月のソリューション提供開始後、順次ソリューションを拡充する予定だ。さらに、2023年度以降、環境分野などへもリスク指標を拡充し、社会全体のサステナビリティに対する取り組みの加速にも貢献するとしている。

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