ファッション専門学校でAI人材育てる 需要予測やデータ分析に挑戦

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長引くコロナ禍と、SDGsやエシカルといった環境保全の観点から、大きな転換を求められているファッション業界。大量消費・廃棄モデルからの脱却、リアル店舗とオンライン店舗との接続……そうした変化のカギを握るのは「AI人材」かもしれない。

デザイナーをはじめファッション人材を育てる専門学校、大阪文化服装学院は、2021年度から「AI概論」というAIを活用した画像解析やデータ分析の講義を開講した。ファッション専門学校としては異例のカリキュラムだ。

コーディングではなくAIのビジネス活用が主眼

「AI概論」の講義が行われるのは、同校のブランドマネージメント学科2年次。「AIをいかにビジネスで活用するか」を重要視し、画像解析AIのほか、トレンド分析やレコメンドを活用したマーケティング(MD、販促含む)、発注・在庫管理最適化などにも挑戦する。アパレルや小売の現場で日々直面する課題や疑問を膨大なデータから検証し、結果を導く。

提供:大阪文化服装学院

アパレル販売員は減っても、ファッションECでは人手不足

講師を務めるのは株式会社ニューロープ代表の酒井聡氏だ。同社はファッション特化型AIの「#CBK scnnr(カブキスキャナー)」を使った画像解析やファッションのトレンド分析、需要予測などを手掛け、顧客にディノス、JUN、PARCO、講談社等をもつ。

講義では、#CBK scnnrを使ったトレンド分析をはじめ、ファッション領域でのAI活用、ファッションテックの失敗事例などを語る。

提供:大阪文化服装学院

―― 酒井
「デジタルシフトの流れに追い打ちをかけるかたちで、コロナがファッション業界の労働市場に大きな影響を与えました。

具体的に言うと「業界への入り口」であった販売員の採用が激減しているのです。一方で、私がお付き合いしているさまざまなファッション企業のITチームからは人手不足の声を聞きます。ECでの売上比率が高まるにつれてSNS運用、自社EC運用、モール運用、コンテンツ運用、基幹システム、物流の管理システムなど様々なポジションが新しく生まれているためです。

AIやテクノロジーのことを理解している人材育成を通して、この労働市場のリバランスに貢献しながら、何よりも自分が関わった学生さんたちが混迷の中より良いキャリアを歩めるよう、意義のある講義をお届けしていきます!」

「テクノロジーを正しく理解し、活用できる人材」をファッション業界に送り出す

大阪文化服装学院が、カリキュラムにAIを導入する目的は以下のとおり。近年は特にDX教育に力を入れているという。

  1. ”ビジネス系学科”領域における、「DXを正しく理解し、活用できる」新しい付加価値人材の育成
  2. 従来の「店舗小売・販売」偏重から、「ECを含めたオムニチャネル販売」に対応した学びと実践への移行
  3. ファッション業界を目指す若い層の拡大、新規入学生の優位的獲得
  4. 当学院が標ぼうする “DX教育コンテンツの導入・推進” に向けた具現化と積極姿勢提示

同校経営企画室の豊田晃敏氏は、「新型コロナウイルス感染症拡大による影響で衰退が顕在化するファッション業界において、上昇気流を生み出すクリエイティブな人材をマーケットに送り出すこと、またそれによりファッション業界に活気を取り戻すことが当学院の使命」とし、今後の展望を以下のように語った。

―― 豊田
「DX対応をはじめとした『教育の本質価値』と『学生の人財的価値』を高めるためのコンテンツ刷新、協業、投資を積極的に進め、変化の激しい時代にも世界で活躍できる人材の育成に努めてまいる所存です。

デジタルを正しく理解し、活用法を身に付けることは、ファッション領域のみならず、それ以外の分野・事業においても大いに有用で、「活躍する場の選択肢を拡げる」ことにつながります。この教育の革新が、未来ある学生にとって有意義なものであるとの強い信念のもと、挑戦を続けてまいります!」