失われゆく豚肉、AIによる養豚自動化で供給の減少・価格の高騰を防ぐ

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Photo by Peggy Choucair on Pixabay

Eco-Porkは11月29日、養豚場で収集したIoT、豚育成データをもとに、豚肉の生産性、資源効率性を改善する「畜産自動管理システム」の実証開始を発表した。育成条件や環境をAIで自動的に最適管理および制御するもので、国際特許出願済みだ。この自動管理システムによって、生産量50%向上(日本平均比)を目指す。

また、この「養豚自働化プロジェクト」において、Eco-Pork、田中衡機工業所、リバネスの3社が業務提携したことも明かされた。

将来的に豚肉不足に陥る可能性、価格も40%高騰か

2025年~2030年、世界的にたんぱく質の供給量が需要に追いつかなくなる可能性を専門家が報告している。これは、世界全体での人口増加の加速と、中間所得層の拡大によって肉・魚の消費量が増加したためだ。

とくに養豚においては、ほかの産業よりも早く、2021年には需要と供給のバランスが崩れる恐れがある。これにより、ひとりあたりの分配量が減少し、価格はおよそ40%も高まると予想されている。

養豚は全世界の米の生産量の1.3倍もの穀物、人類使用量の1.2倍の抗生物質、18億トンの水など多くの資源を使っている。その生産量を増やすことで今後多くの社会課題の原因となる可能性がある。そのため、資源効率性の改善に取り組む必要があるという。

すでに、豚肉不足という課題は世界最大の豚肉消費国の中国ですでに発生している。アフリカ豚コレラにより生産量が減少し、一部の州で豚肉の配給制度や価格の70%上昇という問題に直面。世界中で豚肉不足という問題は現実になろうとしている。

生産量と資源効率の課題を解決するシステムを作る

Eco-Pork、田中衡機工業所、リバネスの3社が協業して目指すのは、「テクノロジーによって豚肉の未来を創出する」ことだ。まずは、ICTにより養豚データを蓄積、さらにデータを活用した飼養方法最適化のAIを開発。そして、AIが出した最適値を機械設備に展開することで、給餌・給水などの最適な自動オペレーションを実現し、データによる改善のサイクルを構築する。これにより生産量・資源効率の課題を解決し、豚肉の未来を創出していくという。


<2048年には、食卓から魚が消える可能性も>

豚肉だけでなく、我々がふだんから口にしている「魚」も食卓から消える可能性があるされている。いわゆる「2048年問題」(技術的特異点の「2045年問題」ではない)だ。いま現在の漁獲や環境の状況が変わらなければ、2048年には食用の魚介類が絶滅する可能性があるそうだ。

技術の発達によって、代替食品が作られる可能性も大いにあり得るものの、まずは無駄な食品ロスなど身近な問題の解決を求められそうだ。

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