約9割の教師がプログラミング教育で負担増 小学校でのプログラミング必修化の課題は「教師」と「環境」

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リトルソフト株式会社は5月10日、全国の小学校教師1000名強を対象とした、「プログラミング教育必修化」に関する調査結果を発表した。

2020年度から「小学校でのプログラミング教育の必修化」として、小学校の国語や算数、理科などの各教科にプログラミングを交えた教育方法が導入された。

小学生にプログラミングを教える主な目的は、「プログラミング的思考」を養うことにある。文部科学省の小学校学習指導要領には、「コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え、これらを適切に活用した学習活動の充実を図ること」とあり、実際にコンピュータを使って文字入力といった基本的な操作を学んでいくことも目的の1つだ。

そこで今回、実際の小学校の教育現場はどのようになっているのかを調査すべく、全国の小学校教師を対象に「プログラミング教育必修化」に関する調査を実施した。

プログラミング教育の必修化で、約9割の教師が負担が増えたと回答

小学校の教師に対し、「プログラミング教育が必修化前は、どのくらいプログラミングの知識をお持ちでしたか?」と質問したところ、「専門的な知識を持っていた(21.0%)」「教育に必要な知識は持っていた(45.0%)」「あまり持っていなかった(23.5%)」「まったく持っていなかった(10.5%)」という結果となった。

プログラミングが必修化する前からプログラミングの知識を持っていたという教師が多い一方、そうではない教師の割合も一定数いることがわかった。

また、「プログラミング教育の必修化により、授業にかかる負担はどのくらい増えましたか?」と質問したところ、「大きく負担が増えた(32.7%)」「やや負担が増えた(54.8%)」「変わらない(10.5%)」「負担は減った(2.0%)」という結果となった。

「大きく負担が増えた」「やや負担が増えた」の合計が約9割となり、プログラミング教育の必修化が教師に負担を与えていることが判明した。

前の質問で「負担が増えた」と回答した教師に、もっとも大きな負担を感じることを聞くと、「教科内容の理解や指導計画など準備が大変な点(45.1%)」という回答が最も多く、次いで「情報機器(端末)の操作を覚える必要がある点(23.6%)」「教材やカリキュラムなど用意することが大変な点(22.2%)」と続いた。

主に授業の事前準備が大きな負担になり、これまで使ったことのない情報端末の操作方法を覚えなければならないといった点にも負担を感じていることがわかった。

教師の約3割がプログラミング教育に手ごたえを感じていないと回答

小学校の教師に対し、「現在実施しているプログラミング教育に手ごたえを感じていますか?」と質問したところ、7割以上が「大きな手ごたえを感じている(14.7%)」「ある程度の手ごたえを感じている(55.7%)」と回答した一方、約3割の教師が「あまり手ごたえを感じない(25.9%)」「まったく手ごたえを感じない(3.7%)」と回答した。

前の質問で「手ごたえを感じている」と回答した教師に、「児童のどのような様子を見て、手ごたえを感じましたか?(上位5項目まで)」と質問すると、「プログラミングを体験しながら学習活動ができている(56.0%)」という回答がもっとも多く、次いで「プログラミング的思考(論理的思考力)が身についてきている(37.3%)」「文字入力などの基本的なPC操作が習得できている(37.2%)」と続いた。

一方で、「手ごたえを感じない」と回答した教師にその理由を聞くと、「プログラミング教育の環境に不備があるから(39.9%)」と回答した方がもっとも多く、次いで「自分が納得できるプログラミング教育ができていないと思うから(35.0%)」「児童が成長している実感が湧かないから(30.4%)」と続いた。

プログラミング教育の課題は「教師」と「環境」 手探りでの指導に不安の声も

小学校の教師に対し、「指導する教師についての課題は、どのくらいあると思いますか?」と質問したところ、「大きな課題があると思う(40.8%)」「やや課題があると思う(55.1%)」「課題はないと思う(4.1%)」という結果となった。

また、「課題があると思う」と回答した教師に、「教師がプログラミング教育を行う際、課題があると感じるのはどのような点ですか?(上位5項目まで)」と質問したところ、「具体的な授業の進め方や指導方法などが決まっていない点(51.4%)」と回答した方がもっとも多く、次いで「プログラミングを使った授業に不慣れな点(42.2%)」「プログラミングを指導するための教員研修プログラムが稚拙な点(42.2%)」となった。

ほとんどの教師がプログラミング教育をする教師自身に課題があることを実感し、プログラミングを使った授業にまだ慣れていないことや、プログラミング教育の研修プログラムがまだきちんと整備されていないことなどを課題に感じているようだ。

教師が考える、プログラミング教育推進に必要な環境とは

小学校の教師に対し、「小学校の教育環境の課題に対して、どのような対策が必要だと思いますか?(上位5項目まで)」と質問したところ、「インターネットや無線LANなどの通信環境の整備(47.1%)」と回答した方がもっとも多く、次いで「ICT環境の整備(児童数と教育用コンピュータ台数の比率改善など)(38.8%)」「電子黒板、実物投影機などの補助機器の整備(35.3%)」と続いた。

また、「今後、小学校のプログラミング教育を推進するためには、さらなるICT環境の整備が必要だと思いますか?」と質問したところ、約9割の教師が「はい(89.6%)」と回答した。

同社によると、小学校のプログラミング教育の必須化に関する課題として、「教師」と「環境」という2つの課題が明らかになった。プログラミングに関する知識はあるものの、指導すること自体に慣れていない教師が多く、指導する教師への教育がまだ整備や浸透ができていない。多くの教師は負担が増えたと感じているため、教師への指導も早急に対策が必要だと考えられる。

また、教育環境において、教育用コンピュータが足りないなどの根本的な課題もあることがわかった。ICT環境以外にも、インターネットや無線LANといった通信環境や電子黒板・実物投影機などの補助機器も現場では不足していることが判明した。同社は、ICT環境の整備は教師への指導よりも短時間で済むため、まずはできることから始めるべきだとしている。

調査概要は以下のとおり。

概要:「プログラミング教育必修化」に関する調査
【調査期間】2022年2月14日(月)~2022年2月16日(水)
【調査方法】インターネット調査
【調査人数】1,024人
【調査対象】全国の小学校教師(教員)
【モニター提供元】ゼネラルリサーチ

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