AIがサビを検知して劣化度ごとに可視化、河川ポンプの診断に貢献

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クボタ機工株式会社とAutomagi株式会社は7月28日、業界初となる排水機場の河川ポンプ内のサビをAIが検知するツールを共同で開発したことを発表した。

このツールは、クボタ機工がこれまで点検した動画データをもとに教師データを作成し、Automagiの保有するサビ検知AIの開発技術を応用して開発された。

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AIがサビを検知し劣化度を可視化、点検の効率化に貢献

大型河川において河川ポンプは、降水量が増加し、本川から支川へ逆流するのを防ぐための樋門(ひもん)が閉じられた際に、行き場を失った支川の水流を本川へ汲み出すために排水機場に設置されている設備だ。

クボタ機工は全国の河川ポンプの管理保全をしており、各自治体や事業会社からの要請を受け、一箇所に対し、実地での撮影点検、判定、報告書作成までを2、3人の点検員が1週間~2週間かけて実施していた。

ポンプの点検方法は、内視鏡カメラをポンプ内に挿入し、映し出された映像を人が目視で確認する。そのため、内部の腐食・異常を発見するのに時間がかかっていた。また、判定するのに一定の経験や技術習得が必要という課題も抱えていた。

今回、クボタ機工らが開発したツールは、クボタ機工がこれまで点検した動画データをもとに教師データを作成し、Automagiが保有するサビ検知AIの開発技術を応用したものだ。

サビ検知AIは深層学習による画像映像解析を活用している。Automagiの独自技術を併用し、膨大なサビデータを学習させたモデルによって、画像や動画からサビを98%の精度で検知し、腐食の進行度に応じた劣化レベルを表すことができる。

これにより、人では見落としてしまっていた箇所までAIが網羅的に検知でき、補修の必要性を判断するサポートもできる。さらに、動画のどの部分が特に劣化度が大きいかが可視化されるため、全体の点検の効率化にもつながる。くわえて、AIが統一基準で検知するため、人による判定のばらつきをなくすことが可能になる。

内視鏡カメラで撮影された動画データをクラウド環境上のAIに転送し解析すると、元の動画上のサビがある場所に対して劣化度ごとに色付けされたデータを確認できる。サビ部分の劣化度が可視化されるため、より定量的かつ客観的な河川ポンプの診断が可能になる。

Automagiは、目視で判断していたサビ以外の劣化や異常を並行して検知するモデルを構築しており、順次実装を予定しているほか、現地ですぐに結果が見られるリアルタイム化も見据えて検証・開発を進めているという。

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水道管の劣化をAIが予測 更新計画の最適化へ

人が判断するのが難しいインフラの劣化診断などで、AIの活用が始まっている。

水道インフラ企業のFractaは2020年5月25日、愛知県豊田市上下水道局と業務委託契約を締結し、AIを活用した水道管劣化予想技術を全国で初めて愛知県豊田市に実践導入することを発表した。

多くの水道事業体では、主に水道管の設置年数に基づいて水道配管を更新しているため、配管周囲の環境が与える劣化への影響を十分に配慮できていない現状となっている。

Fractaでは、AIを活用した独自のオンライン管理診断ツールを用いることで水道配管の劣化状態を予測診断し、更新計画の最適化を可能にする。

愛知県豊田市との業務委託契約では、Fractaがもつ水道管理に関するデータと、独自に収集した1,000以上の環境変数を含むデータベースを組み合わせて開発したオンライン診断ツールを活用し、豊田市上下水道局の管路の劣化状況を詳細に把握し、配管の破損・漏水事故を最小限に抑えることを目指していく。