経営・監査の進化を阻害する根本要因とは?PwC主催『AI・データ分析によるリスク管理・内部監査実務』セミナーレポート

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2019年9月27日、PwCあらた有限責任監査法人が主催するセミナーイベント『AI・データ分析によるリスク管理・内部監査実務』が東京 大手町で開催。

「AI、データを活用する上で発生する様々な可能性やリスク、先進的テクノロジーを活用したガバナンス・リスク管理、コンプライアンス(GRC)ならびに内部監査について考察する」と銘打たれた本イベントに、レッジCMOである中村もゲストスピーカーとして招待・登壇させていただきました。

以下は当該イベントのサマリーレポートとなります。

最新事例の紹介、および各種導入・開発プロジェクトを止める根本リスク要素について

株式会社レッジ CMO 中村健太
セッション:日本企業におけるAIユースケースのご紹介


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ゲストスピーカーとして招待・登壇させていただいたレッジCMOの中村は、主に国内事例を中心にデータ活用やAI導入に関する体制・構造的リスクについて解説。

主に『自社に閉じた体制』『失敗を許容できない評価構造』『高すぎる基準とリスク回避スタンス』が実際の導入フェーズにおいて発生させてしまうさまざまなリスクを解説し、回避策についても提唱させていただきました。

――中村
「従来のシステム開発と『データ活用』や『AI活用』といったプロジェクトを混同しないほうがいい。インプットからアウトプットを確定できない(させない)構造となるため、そもそもが失敗を織り込まなければ前に進めることができなくなる。

もちろんその進め方は自社だけで進めるにはリスクが大きい。よりオープンで柔軟な、開いた考え方をマネジメントレイヤーが持たないかぎり事業にも社会にもAI・データ活用は浸透しない」

アシュアランス提供者としてのAI・データ活用の是非、そして生まれる新たな課題の整理とは

PwCあらた有限責任監査法人 マネージャー 武田智行氏
セッション:内部監査業務におけるデータアナリティクスやAI利活用のポイント

続いて登壇されたPwCあらた有限責任監査法人のマネージャー、武田氏が語られたのは、主に「回避できない近い未来に業界として考えるべきポイント」に関してでした。

監査ワークフロー(≒人間の知的作業)を『作業』『認識』『判断』と定義し、それぞれの領域に対するAI・データ活用の可能性について解説。それぞれの領域を内部監査業務に当てはめ、いかに情報を単純化し、拡張し、実業の支援に使うか? といった観点でセッションを実施。

弁護士資格を持つ法務の専門家としての立ち位置から、主に社会的なリスクとの向き合い方に関するお話を展開いただきました。

――武田
「AIの内部監査業務での利用については、“技術的な可能性”とともに、“アシュアランス(保証)の提供という観点からAIを用いることの是非を検討”する必要がある。

後者を検討するに際しては、AIが提供する情報の射程を理解し、どこまで依拠してよいかを慎重に検討・判断することが求められる。今後、AI利用に対する社会的コンセンサスの形成とともに、内部監査業務におけるAI利用の範囲は拡大されると予想され、それに伴って内部監査人の役割や、求められる資格は変化していくと考えられる」

非構造化データの爆発的増加に伴うデータ解析・活用への期待。業界が抱える現状と課題について

PwCビジネスアシュアランス合同会社 シニアマネージャー 熊田 淸志氏(上)、マネージャー霜坂 秀一氏(下)
セッション:PwCのデータアナリティクスサービス・AIソリューションについて

ラストに登壇されたPwCビジネスアシュアランス合同会社 シニアマネージャーの熊田氏、マネージャーの霜坂氏が語られた内容は、全3部構成(内容的には前後半)となり、前半はPwCの進めるAI・データ活用を進める上でのガバナンスに関する考え方、および具体的な推進方法について解説。後半では現在に至るまでのテクノロジーの盛衰と今後の展開について紹介されていました。

すでにPwC内部で行われたいくつかの実証実験結果について解説し、そこで活用されたデータ、要素技術、推定される価値などについても開示。大規模サンプル数をとったCEOメッセージ調査など興味深い調査結果などについて報告いただきました。

――霜坂
「まだまだ “AIが人間の代替になる” という段階には至らないと思うが、すでにデータは氾濫し、そこに対する『経営観点での示唆が得られるのではないか』という業界の期待は伸び続けている。

しかし、一方で、利活用に向けてのリテラシー向上には課題が残っているのではないだろうか。多くの人が考えているよりもはるかに小さな労力と時間でさまざまなことが可能になってきていると自覚し、活用を進めていかなければならない」

総括:多くの企業が抱える課題と『あるべき論』との乖離

いわゆる内部監査に関連する業界の方(社外取締役などを複数やられている方など)が多く参加されていた本イベント。全体の認識としては以下のような課題を共有し、考える場となっていました。

  • 業界全体としての意欲は高いものの、利活用に向けてのリテラシー向上が課題
  • そのため逆に Tech系ソリューションやデータ活用のレバレッジが効きやすい
  • 結果重要なのはガバナンスであり、マネジメントレイヤーへのナーチャリングが遅れていると認識する必要がある

多くの業界、特に国内において古くから存在するマーケットにおいて確かに存在するリスクに対し、何をどう考え、どう実行していけばレバレッジを効かせるチャンスに変えることができるか。

そんな示唆に富んだセミナーイベントでした。同様の課題感を共有していることが分かったため、また近いうちにイベントやプロジェクトを一緒に進められるよう、我々も準備していきたいと思います。