日本の量子コンピュータ市場規模、2025年度には550億円 2030年度には2940億円に

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株式会社矢野経済研究所が10月に発表した、日本の量子コンピュータ市場に関する調査において、国内量子コンピュータ市場規模(サービス提供事業者売上高ベース)は2025年度には550億円、2030年度には2940億円に達すると予測されている。この記事では、本調査で取り扱う具体的な予測を紹介したい。

国内量子コンピュータ市場規模推移と予測

2024年度〜2025年度

2024年度〜2025年度には、化学、金融、広告など先行分野を中心に一部業務での本番運用に向けた動きが始まるほか、その他の分野でも一部業務を対象とした実証実験から他の業務への横展開など実証実験が増加すると予測している。

スーパーコンピュータで扱ってきた領域のうち、新機能材料や化合物の探索など一部で量子コンピュータに置き換わる動きが出てくると見ている。

量子ゲート型において2024年度からはNISQ(※)の本格的な活用が始まり、量子化学計算や量子機械学習を中心に実証実験が増えていくものと考え、2025年度の同市場は550億円になると予測する。

(※)NISQ(Noisy Intermediate-Scale Quantum Computer):量子ゲート型の量子コンピュータ。汎用型量子コンピュータの前段階に位置づけられる。

2026年度以降

2026年度以降には、金融分野ではダイナミックプライシングのほか、製造分野では大規模な数値流体力学や空力特性での活用、化学分野における有望な化合物の構造予測など、シミュレーション領域での活用が本格化するという。

EC分野ではレコメンドでの活用に加え、検索結果やサジェストの最適化が見込まれる。エネルギー分野でも、資源開発に向けた探索やVPP(仮想発電所)における最適なエネルギーミックスの実現をはじめとした省エネ高度化への寄与が期待できる。

2030年度

2030年度には、自動運転に向けた車両用バッテリーの開発や、医療分野での本格的な量子コンピュータの活用が始まり、予防医療や先制医療をはじめ革新的な治療法など社会的にインパクトの大きな取り組みが徐々に登場してくるものと考え、2940億円に達すると予測している。

本調査における量子コンピュータは、「量子状態を管理し、特定のルールで操作することにより、粒子と波の二重性や重ね合わせ、量子もつれなどを利用し計算をする計算機」と定義した。対象は量子ゲート型のコンピュータや輸送経路の最適化に向けた飛行機やトラック、鉄道などの組合せ最適化問題に特化したイジングマシンまでを含む。

調査概要

  • 調査機関:2021年6月〜9月
  • 調査対象:国内外の量子コンピュータ関連企業
  • 調査方法:同社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mailによるヒアリング、文献調査併用

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