人種を検知?ロシアのスタートアップが開発中のAIが物議を醸している

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ここ数年、急速なグローバリゼーションの影響により、日本でも多くの旅行者や留学生、外国人労働者を目にするようになりました。他国でも同様で、さまざまな国の人々が同じ国で共生する必要が出てきています。

このような社会の変化に伴って、人種や民族などといった人々のルーツに関する話題は日本を含む世界中で議論の的になっています。そんな中、ロシアのスタートアップが開発を行っている「人種を検知するAI」が今、海外で物議を醸しています。

NtechLabは顔認証システムを開発するロシアのスタートアップ

NtechLabは、AIや機械学習を利用し、主に画像認識顔認証システムの開発、研究を行っているロシアのスタートアップ企業。

NtechLabの顔認証システムは、アメリカ商務省とワシントン大学によって独自に検証され、称賛されるほどの正確性を有しているとか。同社はこの正確な顔認証システムを活用し、人の顔のパーツを分析し、人の「人種」を特定するAIの開発を進めています。

人種検知により、サービスの質の向上を図る

NtechLabはこのAIを利用し、正確でタイムリーな人種の統計を取ることで、小売、医療、エンターテイメントなどの業界におけるサービスの質の向上を目指しているといいます。

たとえば、特定の病気をもつ患者たちに同じ薬を投与しても、人種や民族によってその効果が変わってくるという問題があります。この問題を、自動で人種を分類し、人種と治療薬の効果をまとめた統計データを作成することで、従来より効率的に治療薬の研究を進めることができるということです。

こう聞くと大変有益なように感じますが……。

レイシャル・プロファイリングを助長?巻き起こる賛否両論

しかしこのAIの開発は、アメリカなどで特に頻繁に行われるレイシャル・プロファイリング(警察が、人種によって調査対象を絞って捜査を行うこと)の自動化や、さらなる人種差別を促す恐れがあるとして、賛否が真っ向から分かれています。

人類は人種差別の問題で暗い歴史を歩んできましたが、長年にわたる人々の努力により、現代社会は人種差別をなくそうという方向に少しずつ進んできています。それでも今なお、人種差別は無くならず、根強く人々の中に残っているのが現状。

このAIの登場は、世の中のシステムの効率化を推し進めるかもしれません。しかしそれと同時に、今なお残る人種差別の問題をさらに大きなものにする可能性もあります。

テクノロジーは誰のためにあるか

地域ごとに、顔認識テクノロジーに関する人々の価値観は違っています。アメリカやヨーロッパでは、プライバシーの問題として捉えられ、多くの人がタブーとして考えています。一方で、中国などの国では肯定的に捉えられ、かなり使用されているよう。

テクノロジーの発展とともに、多くの企業が新たなシステムの開発、自動化を進めてきました。しかし、この記事で紹介した顔認証システムのように、新たなテクノロジーの開発にはプラスの側面とマイナスの側面が存在します。この人種検知AIも国によって賛否が別れ、受け入れられ方も変わってくると思われます。

テクノロジーは企業の利益追求のためだけのものではなく、世の中をより良くするためのもの。経営者や開発者は「このテクノロジーがどのように使われ得るのか」「本当に社会をより良くするのか」など、開発前に時間をかけて考える必要があります。

Source:Russian startup is building a controversial ‘ethnicity-detecting’ AI