AI本書評:『マンガでわかる人工知能』(三宅陽一郎監修)

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概要:ゲームAIをフックにした「マンガでわかる」形式のAI入門書

人工知能が搭載されたロボットを仕事で使うことになった商社マンが、AI開発者との会話を通じて「AIとはなにか」を知っていくストーリー。監修が『ゲームAI技術入門』を上梓したゲーム開発者の三宅陽一郎氏ということもあり、ゲームを起点にして人工知能とはなにか?を考えるところから、人工知能と人間との付き合い方、人工知能がもたらす社会の変化・未来まで網羅している。

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ターゲット層

  • はじめてAIを学ぶという人
  • AIがどんなものかを短時間でざっくり知りたい人
  • ゲーム×AIにちょっとでも興味がある人

マンガ、図解の要約、詳細解説の構造で理解が深まる

この本の章立ては以下の通り。

序章 人工知能ってなんだろう
第1章 人工知能はどうやって生まれた?
第2章 どうすれば人工知能は成長するの?
第3章 人工知能は人間を超え始めた!
第4章 人工知能は社会をどう変えていくの?
第5章 私たちと人工知能の未来を見つめる

各章のはじめに6〜8ページ程度のマンガがあり、その章の大テーマを「1分でわかる」図解ページで解説、細かい少テーマを見開き2ページで解説、という流れで進んでいく。全体像で大枠をつかんでから詳細を知るスタイルで理解しやすい。

初学者向けなので細かい流れは割愛されているものの、小テーマの用語説明がうまくされていると感じた。AI入門書を何冊か読んでいると、この本で得られる新たな知識はそう多くないかも知れない。でも「”誤差逆伝播”を一言で表すとこういえるのか」といった発見があって興味深い。

ゲームAIに関するコラムがおもしろい

人工知能を知るきっかけとして、ゲームAIを取り上げているのもこの本ならでは。じつは欄外部分にもちょっとした学びがある。

個人的に興味深かったのが、コラムの「ゲーム開発に見る日本と欧米の違い」。かつて日本のゲーム会社は「賢く見えるようなAI」を作っていたのに対し、欧米のゲーム会社は「本当に賢いAI」を作っていた。第三次AIブームを迎える前、日本のゲームは世界を魅了したが、コンピュータの性能が上がったいまは、本当に賢いAIを搭載した欧米発のゲームが人気、という歴史の流れに、なるほど、とうなってしまった。

そもそも第一次AIブームは、チェスやパズル、迷路といったマニュアル化しやすいゲームで使われて花開いたもの。ゲームを切り口に人工知能を知ることは、ある意味「王道」なのかもしれない。

「人工知能をマンガで理解する」本はいくつかある

著者・発売元は違うものの、本書と同じようなマンガはいくつか刊行されている。それぞれどんな違いがあるのか?を、筆者(非技術者)目線ではあるが述べてみたい。

『マンガでわかる人工知能』(インプレス)

女性向けAIメディアを企画する編集者が、人工知能について学んでいくストーリー。大学教授への識者インタビューといった読み物ページもある。2017年7月発売。

『マンガでわかる!人工知能』(SBクリエイティブ)

監修は松尾豊氏。本文も同氏の『人工知能は人間を超えるか』(角川EPUB選書)をベースにして書かれている。登場人物のセリフがやや長く多め。主人公(非AI専門家)の理解力がとても高い。2018年5月発売。

AIの問題点やビジネス活用事例紹介は少なめ

全体的にポジティブなレビューになってしまったが、気になった部分もある。この本では基本的に人工知能を良いものと捉え、ポジティブな結論で終わる。しかし、AIを使う上で考えるべきことや、AI活用の問題点にはあまり触れられていない。より深く知りたいなら『深層学習教科書ディープラーニング G検定(ジェネラリスト) 公式テキスト』などを読むと良いと思う。

また、ビジネス向けという観点ではやや弱いかもしれない。「人工知能を使いこなした者がビジネスを制す!」といった小テーマもあるがコンシューマー(toC)ビジネスの事例紹介がほとんどだ。

とはいえ「AIについて何も知らない人がざっくり理解する」ために読む最初の一冊として、間違いなくおすすめできる。

書誌情報

著者三宅陽一郎 監修/備前やすのり マンガ
発売日2017年11月13日
出版社池田書店
ISBN978-4262155616
価格1,350円(税抜)

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