概要:AIビジネスに必要な知識を網羅
最先端技術を図解でポップに説明してくれる『未来IT図解』シリーズのAI版。
ディープラーニングやニューラルネットワークといったAIの基本用語の説明や、実際にAIが使われている事例の紹介、開発工程、PoC(実証実験)の課題、クライアントとベンダーの役割分担など、AIビジネスに必要な知識が網羅的にカバーされている。あわせて、これからの時代に必要なスキルや社会変容など、AIだけではなく、ビジネスパーソンが知っておくべき話にも触れられている。
>>書誌情報
ターゲット:AIについてちょっと勉強したい人。初歩の初歩
- 時代の流れを追いたい人
- いま流行っているAIって何? というレベルの人
豊富な図で気軽に読み切れる
AIを初歩から学びたい人には、おすすめの一冊。どうしてもとっつきにくい印象を与えがちな「AI・人工知能」というものを図解でポップに説明していて、自動運転など多くの人が注目するトピックも出てくる。なおかつ150ページほどの文量なので、気軽に読めるところもポイントだ。
基本的に1つのトピックに対して見開き2ページで解説するようなスタイルで、ほとんどのページが独立しているため、目次で気になったページから読むことも可能である。
出典:ページ見本
本書は下記のように、大きく5部構成になっている。
- PART1:人工知能とは何か
- PART2:AIビジネスの登場
- PART3:AI活用の時代
- PART4:AI時代の人材
- PART5:変容する社会における企業の姿
PART1は主に前提となる用語や歴史の説明、PART2が事例紹介、PART3はAIビジネスの条件やクライアントとベンダーの役割分担など、プロジェクトを検討するにあたっての必要知識、PART4はこれから必要となるスキルについて、PART5はSDGsや日本が策定している技術計画Society5.0などの、時代が向かう方向性について書かれている。
冒頭に述べたように気軽に読める本ではあるのだが、難しいことは省いているがゆえに、説明が必要とされる部分もさらっと流されているので、つまる人はつまるかもしれない。例えば、「データとデータとの距離」「隠れ層」という言葉が説明もなしに急に出てきたりする。
また不要な部分で図を無理やり使っている印象を受けるページもあった。
将来のAIビジネスについては補完する必要あり
この本はあくまで、浅く広くAIに関わるいろいろな事柄をまとめているものと位置付け、あまり気にせずに読み進めて、つまったところやもっと詳しく知りたい部分を他の本で補完するような読み方がオススメだ。
もう一点、「これからのAIビジネス」というタイトルからは内容がちょっとずれている印象も受けた。AIのついての話はPART3までで、PART4とPART5はどちらかというと今後のIT業界や日本においての話がメインとなっている。
つまり、これまでのAIについては書かれているのだが、これからのAIについてはあまり量を使って書かれていない。なのでどういう期待値でこの本を手に取ったかによって、大きく読了後の満足感が変わる気がする。
これからの時代に必要な能力とは
PART4では、いろいろな引用を使ってこれからの時代に必要な能力を説明しているのだが、そのどれにも「課題設定力」が挙げられているのは興味深かった。またその上で、筆者は「今後は美意識が必要になる」と主張している。データでいろいろなことがロジカルにわかるようになってきたことがゆえの、データに落とせないことの価値を示唆しているようでおもしろい。
どんどん新しい技術が出てくる速度は増すばかりである。本書でも述べられているが、生涯スキルのアップデートが求められている。ずっと学び続けないといけない時代において、本当に必要なスキルは自分のモチベーションや時間を自分でコントロールできる、セルフマネジメントスキルなのかもしれないと思った。
書誌情報
著者 | 谷田部 卓 著 |
---|---|
発売日 | 2018年10月30日 |
出版社 | エムディエヌコーポレーション |
ISBN | 9784844368236 |
価格 | 1,500円(税別) |
※画像をクリックしてから商品を購入すると、新しい書籍を買えてLedge.aiでもっとの多くのAI本を紹介できます!やったー!