「テストを解いたことがない人はテスト問題を作れない」Kaggle Master以上が直接コンサル、サービス立ち上げの狙い

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DX文脈においてもデータサイエンスが注目を集める中、データサイエンスのコンペティションプラットフォームである「Kaggle」が今、注目を集めている。

課題を持つ企業が同プラットフォーム上でデータサイエンティストへ課題とデータを提供し、データサイエンティストはそれらを使ってモデルの精度を競う。多数のデータサイエンティストが集まるため、Kaggleは世界中のデータサイエンティストが集まるコミュニティという側面も持つ。

そんなKaggler(Kaggleに参加しているデータサイエンティストの通称)を積極的に採用しているのが、京都にある株式会社Ristだ。同社はKaggleの成績に応じて業務時間中にKaggleへの参加を認めるなど、Kaggleに関する制度が充実している。

そのRistは昨年12月、Kagglerがコンサルティングを行うサービス「Rist Adviser Service」をローンチ。一体どのようなサービスなのか?Ristの3名に詳細を聞いた。

勝 啓太朗
株式会社USEN にて情報システムの企画、開発業務に従事した後、2012年京セラコミュニケーションシステム株式会社入社。デジタルマーケティングプラットフォームの企画やデータ分析、データ活用に携わる。2020年3月よりRistにて企画として製造業向けの外観検査やデータ分析事業を担当。


三舩 哲史(Kaggle Master)
2020年2月Rist入社。前職ではシステム開発に従事する傍ら、様々なデータ分析コンペティションに出場。2019年にSIGNATEコンペティション「飯田産業 土地の販売価格の推定」で準優勝。またデータ解析・アルゴリズムソリューション・システム開発を行うatma株式会社が主催するCA×atmaCupにて優勝。現在はデータ分析サービスDeep Analyticsにて予測モデルの開発などを行っている。


蛸井 宏和(Kaggle Master)
2020年3月Rist入社。これまでに金融業、通販業、製造業など幅広い業種でのデータ分析を経験。業務以外に国内外の様々なデータ分析コンペティションに精力的に参加し、2020年6月にはatma株式会社が主催するデータコンペティションatmaCup#5で優勝。現在はデータ分析サービスDeep Analyticsにて予測モデルの開発などを行っている。

Kaggle Grandmaster・Masterを多数擁するRist

はじめに、RistのKaggle制度はどんなものか振り返っておこう。

前述のKaggleの成績に応じた業務時間中のKaggle参加を認める制度のほか、社内で過去に開催されたコンペに取り組むことで、知見の共有を図っている。Kaggleにはさまざまな業種の課題が存在するため、日常的にデータ分析コンペに参加することで、多業種の知見をストックできるという。同社に在籍するKaggle Masterの蛸井氏はこう話す。

――蛸井
「業務時間でKaggleに取り組める環境は非常にありがたいです。Kaggleで結果を出すことはもちろんのこと、業務に活用できる知見を得ることも意識しながらKaggleに取り組んでいます」

Kagglerにとっては理想的ともいえる環境だが、採用条件も厳しい。入社時に求められる条件として「Kaggle Master」以上に加え、更新時の条件もその条件に見合ったメダル数が定められている。

▲Kaggleランクによる採用時・年間更新時条件。Ristホームページより抜粋

ちなみに、Kaggle登録者数500万人以上の中で、Grandmasterは世界でも200名前後、日本では10数名、Masterは世界で1,500名程、日本では100~200名程ほど(2020年12月時点)と言われている。RistにはGrandmaster2名、Masterは4名が在籍中だ。

Kagglerによるアドバイザリーサービスを立ち上げ

そんなKagglerを多数擁する同社が昨年12月に開始したサービスが「Rist Advisor Service」だ。企業の直面するAI活用の課題を解決し、企業のAIチームの強化を導くため、世界トップランクのデータサイエンティスト(Kaggler Master以上)が直接アドバイスを行うという。

Rist社でデータ分析事業のオーナーを務める勝氏はこう話す。

――勝
「近頃は、多くの企業がAI活用を始められています。しかし、まだまだAIを適切に活用できていない状況や、AIチーム発足から次の一歩を踏み出せない企業も多く見受けられます。



Ristではさまざまな業種におけるAI活用の知見を持つKagglerが在籍しているため、ピンポイントにアドバイスできれば、お客様の課題解決にダイレクトに貢献できる可能性があります。お客様と一緒に課題を解決することにより、企業の課題の突破口を切り拓けると思い、本サービスを立ち上げることにしました」

アドバイザーサービスの対象としては以下のような企業だ。

  • 社内AIプロジェクトで思うような結果が出ていない
  • 社内AIチームをより強化したい、またはこれから立ち上げたい
  • DXを本格的に進めたい

最大の特徴は、やはりKagglerの中でも世界トップクラスの人材がアドバイスを行う点だろう。

Ristのメイン事業のターゲットは製造業ということもあり、世界トップクラスのKagglerの課題解決能力を活かすことで、製造業における、パッケージ製品では解決できないタクトタイムの厳しさや、不良品データ不足といった課題に対応できるのが強みだという。

数多くの課題に向き合ってきたKagglerだからできること

では、具体的にKaggle Masterたちはどのような支援を行うのか?

同社によれば、支援は幅広いものの、一例として課題設定支援やPoCの評価方法支援、データ分析支援などが挙げられるという。

特に企業がAIプロジェクトを推進する場合、課題設定の段階でつまずくことが多い。AIに過度な期待を抱いているケースも多いが、そもそも課題設定を行うには、企業が持つドメイン知識に加え、課題を解くことができる技術的な知識、つまりエンジニアの知見は不可分だからだ。多くの場合、企業側ではそのような人材を用意するのは難しいケースがある。

▲課題設定ワークショップイメージ。Rist Adviser Service資料より

そこで、アドバイザーサービスとは別にAIプロジェクトの課題設定支援として、Kaggler陣による課題設定ワークショップが用意されている。AIプロジェクトを始める際、何から手をつけていいのかわからない、といったケースでおすすめだという。こちらも対応するのはKaggle Master以上の称号を持つKaggler陣だ。

同社のKaggle Masterのひとりである三舩氏は、課題の設定からKagglerが介在することによるメリットは、『数多くの課題に向き合ったことがある』ことだと語る。

――三舩
「テストを解いたことがない人がテスト問題を作れないのと同じで、問題を解くことによってどういう問題が良い問題かを経験的にわかっていることが、Kagglerが介在する強みです」

数多くの課題を説いてきたKagglerの中でもトップレベルの層の知見と企業のドメイン知識が組み合わさることで、ゴールへの最短ルートを意識した課題設定ができるという。

課題解決に力を発揮するKagglerの知見

AIがバズワードになってから数年たち、昨今ではすでに社内で一度でもAIプロジェクトを回したことがある、という企業も増えてきた。一度トライして失敗し、今後どのようにAIを現実的な形で業務に適用していくのか。現在Ledge.aiのようなサイトで情報を収集している人はおそらく、そのような層が多いと感じている。

失敗を経験し、より高度な課題解決力が必要だと感じた企業は、データ分析の課題に向き合い続けてきた熟練のKagglerによるアドバイスを頼るのもありだろう。Ristへの問い合わせは以下から。