レスポンシブルAIを実現するシリコンバレー発AIスタートアップ・Robust Intellience Inc.(以下 ロバストインテリジェンス)は2023年2月24日、Databricks Inc.(以下 データブリックス)と協業契約を締結したことを発表した。この度の協業により、ロバストインテリジェンスが開発提供するAIガバナンスプラットフォーム『Robust Intelligence Platform』をデータブリックスの『データレイクハウス』上に構築し、AIを活用する企業の迅速かつ効率的なガバナンス構築を支援するとのこと。
背景
昨今、様々なデータを活用したAIモデルがビジネスに導入される一方で、予測精度の劣化による利益損失や差別的予測による倫理的問題など、AIによるインシデントが発生し、こうしたリスクがAIがもたらす本来のイノベーションの実現を阻害していると同社は述べる。
協業の概要
2019年にハーバード大学の研究者たちによって創業されたシリコンバレー発のAIスタートアップである同社は、企業のガバナンス構築を支援し、企業の健全なAIモデルの運用「Responsible AI(レスポンシブルAI)」の実現を目的としたプラットフォーム『Robust Intelligence Platform』を開発しているという。
同プラットフォームは、AIモデルの開発から運用に至るまでEnd to Endでリスクを防ぐため、下記の3つのサービスから成る。
『Robust Intelligence Platform』
1.開発時にモデルをテストする「AI Stress Testing」
2.運用時にモデルを保護する「AI Firewall」
3.モデルを継続的に検証する「AI Continuous Testing」
これにより、開発段階からのAIモデルリスク管理や運用時の継続したAIモデル検証が可能となり、AIリスクを未然に防ぐことで、企業による「レスポンシブルAI」の実現に貢献するとのこと。
協業するデータブリックス社は、同じくUS発の最先端のスタートアップ企業。オープンソリューション「データレイクハウス」を提供するという。同ソリューションにより、データの準備からモデリング、インサイトの共有といったデータサイエンスのワークフロー全体の合理化が可能となるとのこと。
(データレイクハウス:画像、動画などの非構造化データを含むあらゆる種類のデータを一元管理し、ダッシュボードでの可視化やAIモデルでの活用を可能にする)
特徴
協業により提供される価値は以下の3点
1.テストの一元化によるデータサイエンティストの工数の大幅な削減
2.各種ガイドライン・規制への準拠や、市場の関心にあわせたリスク対応
3.モデルカード(「AIモデルの通知表」)などのコミュニケーション機能による、社内のガバナンスプロセスの明確化
特に日本では、大量のデータを保持する大企業によるデータ活用の余地が大きいため「AIガバナンス×データプラットフォーム」の組み合わせは、企業のAI活用への挑戦を後押しする強力な武器となり得ると同社は述べる。
【Robust Intelligence会社概要】
・設立年:2019年
・所在地:US 94107 California San Francisco 1400 Tennessee St
・従業員数:70人
・代表者:CEO & Co-Founder Yaron Singer、Co-Founder Kojin Oshiba(大柴 行人)
・主な投資家:Sequoia Capital、Tiger Global、Engineering Capital、Harpoon Ventures、In-Q-Tel
・URL:https://www.robustintelligence.com/
導入企業 東京海上ホールディングス株式会社、株式会社セブン銀行、株式会社NTTデータ、NEC日本電気株式会社(NEC Corporation)、PayPal Holdings Inc. 、Expedia Inc.、アメリカ国防総省など
2022年「世界で最も有望AIスタートアップ100社『AI100』」に連続で選出