日本初、山陽電鉄がAIの「踏切障害物検知システム」を導入 ベビーカーや車椅子など検知

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山陽電気鉄道株式会社(以下、山陽電鉄)は、人特化型踏切障害物検知システムの導入を2021年7月から始める。歩行者やベビーカー、車椅子など、これまでの障害物認知システムでは検知できなかった「人」をAIで検知し、踏切での接触事故を減らす。

踏切事故の45%が歩行者と列車の衝突

踏切内の立ち入りや横断中の事故(踏切事故)は、保安設備の整備などで年々減少傾向にあるが、鉄道運転事故の3割強を占めている。『令和2年版交通安全白書』によると、2019年は208件の踏切事故が発生し、年間100名近くが亡くなっている(92名、負傷者を含めると年間208名が事故に遭った)。その踏切事故のうち45.7%が、高齢者の渡り遅れをはじめとする歩行者との衝突事故だった。


踏切事故は列車と歩行者との衝突・接触が最も多い(『令和2年版交通安全白書』より)

山陽電鉄で今回導入されるのは、株式会社オプテージが提供する「踏切AI監視カメラソリューション」。エッジデバイスで踏切映像をリアルタイム解析し、AIが人の立ち入り(異常)を検知したら停止信号を発光させて、運転士に緊急停止を促す。同時にネットワーク経由で運転司令室に異常発生を知らせ、現地の踏切映像を確認できるようにする。

画像はプレスリリースより

山陽電鉄は、昨年にオプテージと実施した実証実験の結果、従来のレーザーレーダー方式の障害物検知装置と比較して機能面で遜色がなく、 かつより安価なコストで運用できると判断した。オプテージのリリースによると、以下の情報も得られたという。

  • 歩行者以外にも、 車いす・電動カート・ベビーカー・手押し車などの帯同者を高い精度で検知可能
  • 誤検知による列車運行支障リスクが極めて低い
  • 異常を検知した場合、 特殊信号発光機(停止信号)を現示させて運転士へ危険を報知可能。 同時に運転指令室へ直ちに警報発報が可能
  • 交通量の多い踏切道でも問題なく動作可能
  • 既設の光センサー式障害物検知装置にアドオンし、 レーザーレーダー式障害物検知装置と同等以上の機能を安価に提供可能

オプテージは今後、 通行量調査や駅ホーム上での事故防止、 支援が必要な方を見つけるなどといった応用も検討していくとのことだ。

他鉄道会社もAIでの異常検知に関心、導入検討進む

山陽電鉄のリリースによると、同様のAI監視システムを導入する事例は国内初とのことだが、踏切内のAI異常検知の注目度は高まっている。昨年から小田急電鉄富士急行電鉄が実証実験を進めている。

小田急電鉄1回目の実証実験については、過去にLedge.aiで取り上げている。

>>プレスリリース(山陽電気鉄道株式会社)