後発…じゃない?自動運転の先と周辺を見据えるSBドライブのアップデートモビリティ戦略

当時29歳のiPhone販売戦略担当者が社長に直談判して作ったSB Driveが考えるアップデートモビリティ戦略とは
このエントリーをはてなブックマークに追加

おはようございます。アズマです。

ソフトバンクグループでは、これからの成長分野として『AI』『IoT』『スマートロボット』が位置づけられているそうです。

たしかにどれも伸びそうな分野ですが、この3つの分野すべてが関わるところなのが自動運転なんだそう。

当時29歳でスマートフォンの販売戦略を担当していた佐治友基さん(現SBドライブ 代表取締役社長/CEO)がソフトバンクの宮内謙社長に直談判し、SBドライブという自動運転を活用したサービスの事業化を目指す会社を立ち上げました。

いったいどんな会社なのか?何をしようとしているのか?お話をうかがってきました。

決められたルートを走る自動運転車を増やすことでドアtoドアに近い環境に

―ソフトバンクグループが自動運転に参入するということで話題になりましたが、どんな自動運転車を作っているんですか?

佐治さん

―佐治
えーと、自動運転車も作ってはいるのですが…それが主目的の会社じゃないんですよ。

と、ご説明いただいたのは

自動運転車といってもマイカータイプではなく、シャトルバスのように決められたルートを走る路線バス型の自動運転車を作っている。ということ。

自動運転車というとアプリなどでコールすると迎えにきてくれて目的地まで連れて行ってくれる。駐車場の手間もなくラクラク移動できる…そんなふうに考えていましたが、どうやらそれはまだ少し未来の話のようです。

現在は決められたルートを走る自動運転車を増やすことで、ドアtoドアに近い環境にするという計画を進行中なんだとか。

にしても高齢化によるバスのドライバー不足解消、過疎地などの赤字路線対策など需要は多そうです。

ただ自動運転車は技術面が注目されがちですが、じつは実現するためにはローカルな面もたいへん重要なんだそう。

例えば、過疎地で赤字路線の解消のために走らせるという案は比較的簡単に思いつきますが、実現させるにはまず自治体と提携しその後…

  • 地元住民への理解
  • 地元交通事業者との連携
  • 運輸局、警察との調整
  • 道路の整備

などもろもろの対応が必要です。

SBドライブは自動運転車を作って売るというよりは、自動運転車が実用できるインフラを整える、AIやビッグデータを使い効率化(採算性を改善)させることを主目的にやっているそうです。

作りたいのは自動運転車ではなく”アップデートモビリティシステム”

―技術面だけでなくインフラも整えていかないと普及しない。まさしくその通りだと思います。SBドライブはインフラに注力していくということですか?

佐治さん

―佐治
そうですね。アップデートモビリティというものを提唱しています。

今後、自由に移動できるようになると公共交通、自家用車、シェアリングなどという区切りがなくなり、ひとつのモビリティ(移動するためのツール)という概念になる。さらにそこに加えられる高度なサービス環境も含めて、ひとつ上の次元にモビリティをアップデートさせる構想なんだとか。

例えば、自動で走るだけのバスを作っただけでは渋滞などにより定時にバス停に着くことはできません。

渋滞時には、例えばYahoo!道路交通情報やカーナビ機能などを掛け合わせて速度を調節したり、ルートの再設定をしてバスが定時に着くような仕組みが必要になります。

また、無人運行した場合には、乗客からの問い合わせ内容に遠隔で答えたりといったシステムが必要です。実際、バスに乗る人はリテラシーが高い人だけではなく、○○に行くにはこのバスであってますか?など質問も多いそう。

人間だからできていたこと、できなかったこと。AIだからできること、できないこと。この辺を洗い出してうまく調整するだけでもビジネスはたくさんありそうです。

ビッグデータを活用したリアルユーザーアプローチ

―インフラを作るときにグループのパワーが活きてくると。その辺のお考えをもう少し具体的に教えてもらってもいいですか?

佐治さん

―佐治
移動したい時は『Yahoo!乗換案内』、ホテルを予約したい時は『一休』、食事したいときは提携先のカカクコムの『食べログ』などグループにあるビッグデータを解析し最適解をだすことによりバスの乗車率をあげたり、車内広告のコンバージョンを高めたりといったことが可能です。

なるほど…。グループであらゆるシチュエーションに対応しているからこその強みを活かせると。

やはりwebとリアルの境界線は無くなってきていて、もう「ネットでは~」「実店舗の場合~」なんて考えは視野を狭くするだけなのかもしれません。

情報をwebで集めそのデータをwebで活用していた2000年代から、webとリアル相互で集められ活用される時代に向かっています。

経済産業省と国土交通省は2018年に、自動運転車を使った送迎サービスの実証実験を始めると発表しています。SBドライブでは2018年度の後半に公道での実証実験を開始予定。その後2年間をフィードバック、改善期間とし2021年には量産・商用化する計画だそうです。

あと5年…そう遠くない未来でなんだかワクワクしてきますね。

さいごに

グローバルな技術ローカルなデータ。

今後、大手じゃなくてもローカルデータという部分にビジネスチャンスはあるんじゃないかと思います。

地方の(ローカルの)個人タクシーや小さいバス会社でも、デジタルに顧客情報をためていくと将来役立つんじゃないでしょうか。

世の中が変われば需要も変わる。世の中が変わることを想像し需要に備えて用意する。

未来を見据えた計画に感服いたしました。

佐治さんお忙しいところありがとうございました。